泣いた？うん。
いいんだよ 生きてるだけで。
そういう時間を過ごしたっていうことは政久さんにとって どういうことですか？
宝？
大げさに言っちゃうと。
老いた親を介護する中高年の子供。
その負担の大きさに絶えきれなくなる人も少なくありません。
９０代の母を ６０代の息子が
一人で介護している家を取材しました。
足が悪く 寝たきりです。
お変わりないですか？変わりはないですね。
息子の…
もとは 料理店のシェフでした。
５０歳を過ぎてから仕事を辞め→
病気がちの母の介護を１０年以上 続けています。
今日 夕方 午後には
外しちゃっていいですからね。
そうです。
そうですね。
僅かな年金で暮らす毅さんは
出費を減らすため→
診療回数を減らせないかと
相談していました。
ないんですか？
３か月でいいんじゃない？
どうも。
ありがとうございました。
２年後 介護の負担は更に重くなり
毅さんは追い詰められていました。
小堀先生は 息子のストレスを減らすため
ヨリさんの入院を勧めます。
結局…。
一生懸命… 僕も含めてだよ。
入院中のヨリさんを
息子は 度々 見舞いました。
ある時 酒に酔って
病室の床で眠り込んでしまいます。
だから だけど まあ そこで…。
まあ 後から いろいろ言えば…
６５歳で命を絶った息子。
いや ほんとに…
新型コロナウイルスの感染が
日本中で拡大していた今年の春。
感染リスクを避けるため→
一人のヘルパーが訪問できる件数は減らさざるをえなくなり→
人手不足が深刻化していました。
３月末 小堀先生が經さんを訪問診療する日。
ああ。
ああ そう？
何か 多分 そういうことだと思います。
都合が合わないからって。なるほどね。
おはようございます。
ああ おはようございます。
今までは 週１回 昼間だけ施設に行って。
月曜日だったかな？ あっ 火曜日だね。
それ 今度
４日間 泊まるんだよね。 連続で。
で その間 息子さんが
一人になっちゃうけど→
何か問題があれば また考えますけどね。
ヘルパーの訪問が減ると負担は茂章さんにかかります。
それを避けるため 經さんは 週４日
介護施設に泊まることになりました。
今後 胃ろうなど医療行為を担う
看護師の訪問も減る可能性があります。
よろしくお願いしま～す。
看護師が来られなくなる場合に備えて→
茂章さんは
胃ろうの練習を始めました。
おなかに 栄養 入っていきますね。
はい。
気持ち悪かったりしたら教えて下さい。
はい。
大丈夫ですか？
硬いです？
お父さんにとってね
この胃ろうっていうのは…。
あっ おはようございます。
この日 經さんが初めて 施設での宿泊に出かけます。
お父さん 茂章さん ４日間
一人になっちゃうけど 心配してない？
大丈夫？
うん。
いってらっしゃい。
いってまいりますね。よろしくお願いします。
一人になった茂章さん
父が大事にしていた本を手にしました。
ああ～。
知ってる 知ってますよ。
規制かな？
♪♪～
茂章さんは 父の歴史をたどるように
一冊一冊 読んで過ごしました。
父親の經さんが
施設から帰ってくる日の朝。
ああ そう…。
（鈴）
縁を切っていく？
うん。
やがて始まる たった一人の暮らし。