植松被告と接見すると聞き
みずから希望して
接見に立ち会いました。
植松被告は
「日本は多額の借金を抱えていて障害者を支える余裕はない」
と繰り返しました。
今月、佐藤さんは授業で障害者施設を初めて訪れました。
重い知的障害のある人など
70人以上が暮らしています。
一人の女性に話しかけた
佐藤さん。
しかし、何度声をかけても
アルバムをたたき続けるだけです。
ところが福祉が専門の
指導教官が声をかけると…。
佐藤さんが話しかけたときと
違う反応が返ってきました。
≫先生の大学の学生さん。
佐藤さんね。
事件を機に
新たに障害者支援の仕事に就く決断をした人もいます。
愛知県に住む勝田雄一さん。
事件当時、自動車の部品工場で働いていました。
単純な作業の繰り返しで
生きる意味に悩むことさえあったという勝田さん。
殺人という行為は許せないものの
植松被告のことばが自分自身にも重なったといいます。
ところが、事件の5か月後。
(ラジオ)「12月16日」。
ラジオに出演していた
障害者とともに働く男性のことばを偶然、耳にします。
勝田さんは
ラジオで話していた人に連絡を取りました。
勝田≫こんにちは。
訪ねたのは横浜でパン屋を営む高崎明さんです。
≫パン!
高崎さんの店では
重度から軽度の知的障害がある人
およそ40人が働いています。
≫ベトナム、ハノイ、ホーチミン
フエ、ホイアン、ハロン…。
養護学校で30年以上
教員を務めた高崎さん。
8年前
障害のある人が働きながら地域との接点を持てるように
店をオープンしました。
高崎さんにすすめられ1日、一緒に働いた勝田さん。
気付かされたことがありました。
去年10月。
勝田さんは
重い障害のある子どもたちを
支援する仕事に就くことを
決めました。
障害のある人と
毎日、接するようになった
勝田さん。
折にふれ、高崎さんに悩みを相談しています。
≫いってきまーす。
勝田≫いってらっしゃい。
一日一日を
作り上げていった先に
どんな風景が見えるのか。
模索は始まったばかりです。
19人の命が奪われた
障害者殺傷事件。
現場となった施設には
今も犠牲者を悼む人たちが訪れています。
植松被告との接見を終え
社会に向けたメッセージを書き始めた最首悟さんです。
娘の星子さんは
毎週、お気に入りのある場所に通っています。
商店街にある小さなカフェ。
地元の人たちも集まる店内。
その一角に星子さんの
お決まりの場所があります。
20年近く重ねてきた
日常の光景です。
重い障害のある人たちに
どんな意思がありどこまで近づくことができるのか。
最首さんは娘との41年間で
みずから問い続けてきたことをつづり始めています。
人がともに生きる意味を
投げかけたいと考えています。
最首≫タコがいいしね。
星子≫タコ!
社会に芽生えた兆しを
私たちは確かなものにしていけるのか。
障害者殺傷事件から2年の
問いかけです。
♪~
2018/07/21(土) 21:00〜21:50
NHK総合1・大阪
NHKスペシャル「“ともに、生きる” 障害者殺傷事件 2年の記録」[字]
19人が殺害された相模原障害者殺傷事件から2年。NHKは、命を狙われた入所者を事件直後から取材してきた。事件を乗り越えようと模索を続ける人々の2年を見つめる。
詳細情報
番組内容
19人が殺害された障害者殺傷事件から2年。「意思疎通できない障害者は不幸しかもたらさない」。植松被告が語った動機は大きな衝撃を与えた。NHKは、命を狙われた入所者を事件直後から取材。障害者の意思をくみ取る支援を受けながら、新たな暮らしが始まっている。さらに社会では、被告との接見にのぞみ、事件を乗り越えようとする人たちも相次いでいる。被害者や家族、そして事件と向き合う人たちの模索の日々を見つめる。
出演者
【語り】磯野佑子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 報道特番