当直の夜 救急搬送されてきた3歳の男の子。
頭は内出血で腫れ上がり
意識はない。
両親は「寝ぼけて階段から落ちた」と
言ったが→
服を脱がせて驚いた。
タバコの火を押しつけられた痕や殴られた痕が 目に飛び込んできた。
懸命の治療のかいなく
3日後 男の子は息を引き取った。
「傷ついた子どもたちを救いたい」。
28歳の時 小児神経科医として子どもの「心」を診始めた。
でも 子どもは
簡単に心を開いてくれない上→
その心の傷は見えづらい。
しかも 薬を投与すればすぐに治るという治療とは 根本的に違った。
焦った友田さんは
子どもの親を 時に厳しく説教した。
すると 相手も心を閉ざし
診察は度々 行き詰まった。
患者と向き合う外来診察が
憂鬱になった。
上司に相談すると
引き止められた上 こう言われた。
カリスマ。
その人だけが持ちうる 特別な力。
そんなもの あるはずもなかった。
家に帰れば 幼い娘がだだをこね時には夜泣き。
仕事でストレスを抱え込んでいた
友田さんは→
つい 子どもに手を上げ
マルトリートメントに及んだ。
仕事でも結果を出せず
家でも いっぱいいっぱい。
「この仕事は 向いていない」。
5年間 もんもんと過ごした。
そんな友田さんを変えたのは
一つの出会いだった。
ある日 診察に訪れた女の子。
突然 学校に行けなくなってしまったという。
高校時代 助けることができなかった
親友と同じだった。
母親によると 娘を立ち直らせようと
父親のしつけがエスカレートし→
体罰が日常的に行われていた。
友田さんは ハッとした。
そして 言った。
自らも痛みを知ったからこそとっさに出た言葉だった。
友田さんは その女の子だけでなく→
家族と正面から向き合った。
やがて 父親は再就職。
家族に平穏が戻ると 女の子も回復し学校に通えるようになった。
友田さんに 一つの信念が生まれた。
♪♪~
私なんか 相当
失敗やらかしてきましたよ。
友田さんは 近所のおばさんのように
自らの失敗談を話し→
親を励まし始めた。
おせっかいと嫌がられようともどこまでも寄り添う。
カリスマなど 特別な力はいらない。
そう思えるようになった。
そして 子育てが落ち着いた43歳の時
ハーバード大学へ留学。
虐待が脳に与える影響を
世界で初めて明らかにした。
歩んできた道は
決して まっすぐではなかった。
でも 数え切れない失敗があったからこそ
今の友田さんがいる。
子育てに悩む全ての親に
伝えたい思いがある。
♪♪~
うんうん… そうね。
♪♪~
8月 友田は熊本に飛んだ。
かつて この地で診ていた子どもを
診察するため→
今も 月に一度
福井から通い続けている。
この日 母親とやって来たのは→
10年前から診察している自閉症の女の子。
この子には 自閉症の妹がいる。
うまく関係が築けず毎日のように けんかが起きていた。
母親は その対応に追われ
時に手を上げ→
姉妹に
マルトリートメントを行っていた。
友田は この日 いつになく
母親が痩せているのが気にかかった。
娘の世話に加え
手術したばかりの親の介護。
仕事が忙しい夫には頼れず→
自傷行為を繰り返すまでに母親は追い詰められていた。
友田は 夏休みの間だけでも
子どもを児童養護施設に預け→
入院して体調を戻すよう
母親に説いた。
フフフフッ。
だが 最後まで母親が首を縦に振ることはなかった。
友田は 夫を呼び出し