1時間半あれば巻き上げられます。
これが針を動かす装置。
ええ。
では こちらの大きな歯車は
何をするものですか?
15分ごとのチャイムを鳴らします。
チャイムというのはディンドン ディンドンって…。
15分ごとに動きます。
ああ すてき。なでてあげましょう。
あなたは これに「おはよう」って
声をかけたりしますか?
ええ。
そうだと思いました。
私たちは とても長い間
この機械の世話をしていますから→
友情のようなものを感じているんです。
友達のように声をかけたくなる気持ち分かります。
「よく頑張った」とかね。
この機械は一度 深刻な故障に見舞われもう少しで時計が崩壊するところでした。
チャイムを鳴らす機械は
1976年に一度 壊れました。
この下の1トン以上あるおもりが
制御不能になって落下したんです。
原因は上の方にある軸が
壊れたことでした。
こちらのワイヤーを巻いた大きな装置が
ガタガタと音を立てて回り出し→
機械は ついに大破したんです。
この部分全体が バラバラに。なんてこと。
部品が壁に飛び散りました。
大変でしたね。けが人がいなくて良かった。
ええ。
それで分かりました。
だからこそ皆さんは 全ての部品を→
こんなに念入りに手入れしているんですね。
故障は時計の針を止めるだけでなく→
機械全体を吹き飛ばすことさえあるから…。
当時 壊滅的なダメージを受けた
ビッグベンは9か月間 動きを止めました。
これから先 もし あの有名な文字盤の裏に
最新の装置が置かれ→
電気の配線が
張り巡らされるようなことがあれば→
その時こそ ビッグベンの歴史が
終わる時です。
今なお あの文字盤の後ろには
1850年代に造られた機械装置があり→
今後も使用されることが決まっています。
今回の大修復プロジェクトでは→
その機械装置の修復が
重要なポイントになるでしょう。
もし あの装置が止まり 時計が
電気で動くようになったとしたら→
ビッグベンの魂が消えてしまいます。
修復作業に向けて本格的な準備が始まります。
時計台の中の物を撤去するために
20人の作業員が集結しました。
ビッグベンには 12のフロアがあります。
かつての議会の執務室 作業室→
素行の悪い議員たちを閉じ込めたという
部屋まであります。
11階には機械室があり そのまわり4面を
大時計の文字盤が覆っています。
そして一番上の階に鐘があります。
アマンダ・レックは長年 この時計台で働いています。
(レック)全てシートで くるんで下さい。
そうします。
(レック)必ずね。
はい。あちらに緩衝材のシートが。
(レック)塔の中が こんなに空っぽになるのは
初めてです。
ここには大切な物が たくさんあります。
歴史ある家具のコレクションとか貴重な美術品とか建築物の材料などです。
心配だわ。 ガラスなの。
無事に戻りますように。
寂しいけど これは必要な作業です。
ペンキの剥がれや壊れた しっくいなどを修復しないと。
個人的な感情は脇に置いて
仕事に集中しています。
物を運び出すには往復で およそ700段の
階段を上り下りしなくてはなりません。
次は椅子を運んで頂けますか。
一脚ずつね。
扱いに気をつけて。
時計整備士たちが世界で最も有名な時計を分解するための準備に取り組んでいます。
時計整備士の作業室は
国会議事堂の地下にあります。
「ビッグベン」というのは
時計台の愛称ですが→
皆さんは何と呼ぶんですか?
私たちも「ビッグベン」です。失礼じゃなければね。
なんだ 皆さんも同じなんですね。
毎朝 出勤の時に ビッグベンを目にしてどんなことを思いますか?
不思議なことに毎朝
地下鉄の出口を出ると→
必ず最初に
ビッグベンを見上げます。
腕時計をしていても大時計を見ますね。
(ロバーソン)ちゃんと動いてるか心配で。
腕時計の時間と違ったらパニックですか?