ほら 血じゃねえかよ。
んにゃ みんなから
生き血を搾り取るのではごわはん。
徴兵制度のこっじゃ。
徴兵?
ああ。 こいからは侍だけではなく→
全ての民の中から国を お守りする兵を募るこつになった。
ってことは何かい? これからは
うちのせがれたちが 国をお守りする→
お侍になるかもしれないって
そういうことかい?
国を思う気持ちに 侍も百姓も商人もなか。
こん子らが侍に…んにゃ お大臣になってもよか。
そげな世にしたかち思っちょっ。
おい 早く西郷先生にお前 髪切ってもらえ。
次 うちだ!
先生! 先生!
俺が先! 順番では 俺が先だった!
ああ~ よかった! あたしゃ最初っから疑ってなんかいなかったんだよ。
ねえ 熊吉っつぁん。
へ?
<この徴兵制度をはじめ→
学校教育制度 地租改正→
鉄道や製糸場の開業→
太陽暦の採用裁判所の設置など→
父の留守政府は→
後の世につながる大きな成果を上げていったのです>
♪♪~
(物音)
三条様! こんな夜中に どうされました?
西郷 ほんまにええのか?
岩倉たちがおらん間に→
こない勝手なことばっかりして。
なんぼ帰りが遅れてるゆうても→
今の政府の顔ぶれを見たら何を言われるか…。
御心配には及びません。 こちらの働きは
向こうに逐一 知らせておりますゆえ。
そやけどな…→
このところ 夢にまで岩倉が出てきて→
ろくに寝られへんのや…。
大変でございます! きゅ… 宮中より→
火の手が上がっております。
何じゃち!?
(桐野)天子様を お捜しせい!
(一同)はっ!
半次郎! 天子様は どこじゃ!?
<天子様は 無事に避難されましたが→
約3時間燃え続けた この火事で
宮殿は焼失。→
明治6年5月5日未明のことでした>
(いびき)
いまじゃった。
おやっとさあでござ…。
若さぁ! そんお姿は?
お城の火事に飛び込んだとじゃ。
心配いらん。
すぐに お拭きしもんで。ああ。
うっ…! あ…。
若さぁ!
ああ 大丈夫じゃ…。
若さぁ! 若さぁ!
西郷さん 大丈夫かね?
そうだね。
ああっ 西郷さんが お気付きだよ!
兄さぁ。若さぁ。
おはんら どげんした?
兄さぁは おとといの朝家に帰るなり倒れて…。
お城が火事になった日の朝だよ。
丸2日も寝ちょったとか。
若さぁ…。 よかった よかった。
熊吉っつぁん 泣かないで。 ほら。
医者の見立てじゃと
心の臓が弱っちょっち。
毎日毎日 根を詰めて働き過ぎじゃ。→
しばらくは動いたらいかんど。
そうか 分かった。
兄さぁ 休んじょってくいやんせ!
休んじょっ時じゃなか。
(一同)ああ~!(熊吉)若さぁ!
うわっ 重か! ちょっ肥え過ぎじゃち
医者も言うちょった!
もう46じゃ! 父上が亡くなられた年と
変わらんたっど。休んじょってくいやい。
分かった。
今の「分かった」は 本当じゃ。 ちょっ休む。
ああっ…。
あ~ こいはいかん。
♪♪~
<療養中の父が不在でも留守政府の面々は→
とどまることなく
政にいそしんでいました。→
そんな中 大久保が
使節団より一足早く帰ってきました。→
予定より8か月も遅れた上に
さしたる成果も上げられなかったという→
肩身の狭い帰国でありました>
(手をたたく音)
皆 どないしたんや? 大久保や。
大久保が 我らの求めに応じ一足はよう帰ってきてくれたんや!
大久保[外:725B24C5997D38268FD2127520E5B3E8]