はあはあしてる。
(森田)
かわいい子がいるって思ったのかな。
(シャッター音)
手術室へ向かう廊下。
お母さんの手をギュッと握るゆいちゃん。
ベイリーのリードを任されると→
ゆいちゃん
自分の足で しっかりと歩きだしました。
これまでも 手術に向かう時は
いつも ベイリーが付き添ってきました。
ここから先は手術室。
ベイリーが付き添えるのはここまでです。
お預かりしま~す。
お願いします。
行ってらっしゃ~い。
ベイリーが動こうとしません。
5時間に及んだ手術は
無事に成功しました。
翌朝。
ゆいちゃん 痛みがひどくてほとんど眠れませんでした。
しばらくは
刺すような痛みが続くといいます。
ちょっとだけ痛いって言ってて。
ちょっとだけ痛い感じ?
ゆいちゃん
ベイリーを なでたいのですが→
痛みで体が動きません。
ベイリーが ゆいちゃんに近づきます。
ベッドで一緒に寝てる?
あっ 布団で一緒に寝てます。
「おなかは痛いけど ベイリーがいると
リラックスできて うれしい。→
ずっと一緒にいたい」。
ドアの隙間から クンクンクンクンって。
30分後 森田さんが そろそろ行こうと
ベイリーを促します。
いつもは
森田さんの指示に忠実なベイリー。
珍しく従おうとしません。
そうしているうちに ゆいちゃんうとうとし始めました。
ベイリー 安心したのか
ようやくベッドを離れました。
ゆいちゃん ゆっくり やすんでね。
私たち人間と犬の特別な関係は一体 いつから始まったのでしょうか?
旧石器時代
農耕が始まった頃の遺跡に→
人と犬が 共に暮らしていたことを示す
最古の証拠があります。
埋葬された女性の骨。
その手元に 小さな骨が見えます。犬の骨です。
女性は 犬を抱きかかえるような姿で
埋葬されていました。
1万2,000年前のこのころ→
既に 犬は 人にとってなくてはならない存在だったのです。
人と犬の最初の出会いは
更に時代を遡ります。
私たちの祖先は 氷河期の
厳しい環境を生き抜いていました。
身近にいたのが オオカミです。
このオオカミこそ 実は 犬の祖先。
当時 人間とオオカミは
食べ物を巡って敵対する関係でした。
どうやって
協力関係を築くようになったのか。
この謎を 解き明かそうとしている
研究所があります。
研究者が案内してくれたのは
実験動物の飼育場です。
でも そこにいたのは オオカミ?
いや キツネです。
実は キツネも オオカミと同じく
イヌ科の動物なんです。
繁殖の難しいオオカミの代わりに
キツネで研究していますが→
オオカミ同様 とても凶暴です。
(キツネの鳴き声)
これは 威嚇の鳴き声。
手を出そうものなら…。
警戒心 丸出し。 キツネは
なかなか人間には なつきません。
ところが 別の飼育場には
随分と様子の違うキツネがいました。
(皿を鳴らす音)
なつかないはずのキツネが→
まるで 犬のように
尻尾を振って喜んでいます。
跳びはねている キツネまで。
おりから出し 抱きかかえても全く平気です。
実は 左は 野生に近い普通のキツネ。
右は あることをしたために人なつっこくなった キツネなのです。
この研究を始めたのは ロシア遺伝学の父
ドミトリー・ベリャーエフ博士。
1958年のことです。
博士が行った研究は こんな感じ。
キツネが赤ちゃんを産むと→
その中から比較的 穏やかなキツネを選び出します。
そのキツネが成長し 子どもを産むと→
その中から 更に穏やかなキツネを選び出す。
こうして 穏やかなキツネを選んでは→