る。
4つ目の条件では、
3Dで計測されたデータを東京芸術大学に持ち込み、
水煙が傷んだところや、
過去の修理で穴が空いたと思われるところを、
3D技術を駆使して修正していき
ます。
「忠実に再現するということを条
件に、
つくりあげられるのか。かなりハ
ードルが高いんですね。
それをやり遂げられるところを募
ったという形になるわけです」
この難しい条件に挑戦したのが、
「伝統工芸高岡銅器振興協同組合」でした。
「富山県の高岡市にやってきまし
た。
ここであの水煙の復元が行われて
いるそうなんですが、
いったいどんなものなんでしょう
か」
「この丸いの、ドラえもんですね。
のび太くんも、しずかちゃんもいますけど。
これは銅でできてますね。金属で
すね。
高岡は、銅の町として有名なんで
すね」
高岡は、前田利家の長男・利長が
開いて以来、
400年の間、銅器の街として発
展していきます。
「こんにちは。ABCテレビ、キ
ャストの上田と申します。
どうぞよろしくお願いします」
「ここが工房というか」
「鋳造の現場ですね」
「初めてきました。見たことがない器具がたくさんあって」
「1300年ぶりに、
水煙をつくることになった訳じゃないですか。
正直その話がきたときは、どう思
われたんですか?」
「とんでもないプレッシャーとい
うか。
あれだけの日本を象徴する本当に
昔の鋳造の最高のもの、
それにかかわれることは、
とんでもない大きなチャンスであって挑戦であると」
高岡銅器関係者一同が、この大プ
ロジェクトに挑みました。
原型製作では、鋳物は収縮するた
め、
東京芸術大から送られたデータを、
1000分の15だけ大きく作ります。
その後、手作業で、バリなどを丁
寧に取り除いていきます。
出来上がった原型から鋳型を製作
します。
原型について取りにくい小さな「
よせ型」を
大きな鋳型に戻していきます。
その数は、200を超えます。
鋳造の前に、溶かした金属の流れ
をよくするため
バーナーで鋳型を熱します。
そして、2枚の鋳型を合わせます。
寸分の狂いも許されません。
新しく作った材料は
現代では全く使用されない未知の
もの。
そのため、材料を溶かす温度も
試行錯誤しました。
薬師寺・加藤執事長はじめ関係者
が見守る中、
法要が行なわれ、
いよいよ、水煙の鋳造が始まります。
鋳造に大切なことは、流し込むス
ピード。
一気に鋳型に入れていきます。
無事、鋳造は終わりました。
翌日、鋳型を壊します。
鋳造は成功しました。
「新たな命が、ここで皆様方の手
によってできあがったことに
とてもうれしく思うし、とても感
動しました」
しかし、完成まで、まだまだ難し
い作業が続きます。
着色作業。
1300年かかって出来た色に近づけなくてはなりません。
しかも色を塗るのではなく、酸や
アルカリの薬品をつけて、
水煙自身の発色を待ちます。
塗っては乾かし、色の確認を繰り返します。
水煙が自然発色した様子です。
納品ギリギリまで、白鳳の水煙に近づける作業が続きます。
水煙が薬師寺に納品されました。
加藤執事長に、特別に、水煙を見せて頂きます。
「すごい」
「二組の水煙。こちらが、1300年前につくられた
創建当時の白鳳の水煙。