欠かさず→
どんな話題も取りこぼさない。
もっと大きい声で…。
日々の1分1秒を
どう積み重ねて生きるか。
それが本物の芸者をつくり上げると
育子は信じている。
レベル10ぐらいにしといて。 レベル10。
そして 一日の最後。
ルームランナーで20分間
足腰の筋力維持に努める。
あと3分。
これが 芸者 育子の日常だ。
皆さんから
そう言われちゃうんですけど…。
おつきあい程度の
何杯かは飲めますけどね。
でも 自分からは飲まない。
今 飲んでますけどね ちょっとだけ。そうそう そうそう。
パチンコ屋さんに入った時っていうのは…
え~ 難しい!
好きな男性のタイプ…。
そういうのがやっぱり すてきだなと思う。
ご自分のことだったら サラッと流して→
「いやいや 違うんだよ。 そんなもんだよ」とか 言って下さる人の方が→
スッと入っていけるタイプに
なってっちゃう 今はね。
そうですね 苦手な方っていうのは…
いるじゃないですか しつこくって…。
そういう人 あんまり 他の女性も
好きじゃないと思いますけどね。
お客さまに?
ホホホホホッ。数えきれないかもしれませんよ…。
うそです。 そんなに
恋する時間はございませんでした。
1月。 育子は芸者衆を連れ
生まれ故郷 熊本を訪れていた。
おめでとうございます。
見習い時代に修業を積んだこの老舗料亭で 踊りを披露する。
育子は こうした地方の料亭からの
依頼にも 積極的に応えてきた。
♪♪~
午後6時。
宴席が始まった。
この日は 2つのお座敷を掛け持ち100人の客をもてなす。
一番の見どころは→
育子が1人で7分間 踊り続ける「雪の山中」。
♪♪~
30分にわたって 踊り続けた育子たち。
(拍手)
休憩もせず すぐに次のお座敷へ。
♪♪~
はぁ はぁ…。
苦しそうに呼吸を整える育子。
実は8年前から 肺気腫を患っている。
だが お座敷に呼ばれたら
決して弱音は吐かないと決めている。
(拍手)
一席一席 踊れることが何よりの生きがい。
ありがとうございます。
また来年 来て→
皆さんのお顔が拝見できるように
頑張りますので→
どうぞ いつまでもお元気でいて下さい。
お酌にまいります。
ありがとうございます。
(拍手)
(育子)ありがとうございます。
ありがとうございます。
(育子)ああ うれしい。
ありがとうございま~す。
育子は言う。
芸者は お座敷に呼ばれて なんぼ。
時代にそっぽを向かれたら
それで おしまい。
ありがとうございました。
ごゆっくり~。
(育子)9 10 11…。
だからこそ 常に 全身全霊。
♪♪~
ありがとうございました。
宴席は 予定を1時間オーバーして
大盛況のうちに幕を閉じた。
アハハハッ…。
ハハハッ!ンフフッ…。
(育子)こんにちは。
誰にでも 忘れられない思い出の味がある。
上京したての20代の頃
毎晩のように食べていたそう。
(育子)いきま~す。 いただきます。
おいしい ハハッ。
おいしい~。
なんか思い出しちゃった…。
実は お好み焼きを食べるのは 50年ぶり。
つらい思い出の 味だった。
泣けちゃった。
でも… 今のこの感じた おいしさは→
昔は感じなかったと思うよ。
悔しさが入ってるから。
育子さんは一体 どんな芸者人生を