実は どんな魚にもある大事な感覚器。
「側線」と呼ばれるもので→
周りの水の動きなどを感じ取る役割があるんだそうです。
側線は 顔にもありますが→
ほとんどの魚では皮膚の下に隠れていて見えません。
ギンザメの仲間の側線は
溝のように くぼんでいます。
だから 体の外側からでも
つぎはぎのように はっきり見えるんです。
さらに ギンザメの仲間には
ほかの魚にはない特徴があります。
頭の 白く見える この部分。
「前額把握器」と呼ばれる器官です。
飛び出すと こんな形。
長さ3cmほどの突起で→
内側はトゲトゲに
なっています。
ふだんは頭の中に収まっていますが
自在に動かすことができます。
でも その…
実は今回 取材班は→
その役割の撮影に
世界で初めて成功したんですが→
詳しくは 後ほど お伝えし…。
お~ なんで! 気になる 気になる!
あ~ ヒゲじい まあ慌てないで!
前額把握器の役割は 番組の後半でたっぷりお見せしますから。
う~ん もう もったいつけちゃって。
その前に最初の謎。昼間の観察で 幽霊ザメが→
浅い海に来る理由かもしれない
不思議な行動を目撃したんですよ。
あ そう。 そっちも気になる!
早く教えて!
観察を続けていると→
幽霊ザメが 岩に顔を近づける動きを→
何度も繰り返していることに
気が付きました。
一体 何をしているのか?
あっ 岩にかみついた!
こちらでも!
岩をよく見るとかじった跡が白く残っています。
実は 幽霊ザメが かじり取ったのは→
岩に びっしりと張り付いたフジツボです。
フジツボは エビやカニの仲間。
かたい殻を持っているため食べにくそうですが→
幽霊ザメの大好物の一つ。
かたい殻も お構いなし。
丸ごと かじり取って
食べてしまいます。
こんなことができるのは
特殊な口に秘密があります。
これが 幽霊ザメの口。
板状の歯と 強いアゴの力で→
かたいものでも
砕いて食べることができるんです。
口の上の2つの穴は鼻。
その上には「ロレンチーニ器官」と呼ばれる感覚器があり→
獲物が出す微弱な電気を
感じ取ることができます。
このロレンチーニ器官のおかげで→
砂の中に隠れている獲物でも見つけ出すことができるんです。
おや? こちらでは何かをくわえて
飲み込もうとしています。
これは ヒトデの腕。
深海に比べ 浅い海は獲物が豊富。
実は 幽霊ザメが
この海に現れる最大の理由は→
食事のためと考えられているんです。
あっ 危ない!
食べ物が豊富な浅い海には
同時に 危険な敵もたくさんいます。
幽霊ザメの すぐそばを泳いでいるのは→
大きさ1m以上にもなる 大きな魚。
肉食魚の キンムツです。
キンムツが丸飲みにしているのは30cmもあるメバルの仲間。
捕らえた獲物は決して離しません。
大きな口で一気に襲いかかるどう猛なハンターです。
さらに巨大なハンターもいます。
トドです。 体長は3m。
猛スピードで泳ぎ回り あらゆる魚を
捕らえて 食べてしまいます。
あっ 幽霊ザメがキンムツの目の前に。
でも 恐れる様子はありません。
背ビレをよく見ると 前のほうに
鋭いトゲがあるの わかりますか?
このトゲには強い毒が含まれており→
刺されたトドが命を落とした例もあるといいます。
だから 幽霊ザメを襲うものは
ほとんどいません。
毒のおかげで 悠々と
泳ぎ回ることができるんです。
そんなある日 取材班のもとに→
幽霊ザメが大集結する場所があるという→
驚きの情報がもたらされました。
現場は バークレー湾の入り口の近く。
海岸沿いに たくさんのコテージや
桟橋が並んだ のどかな港町です。
ここは 夏の間 カレイやサケなどの
大物を狙う釣り客で にぎわいます。
地元の漁師さんの情報によると