ンネルの入り口から5キロほどの
所ですが、ご覧ください。
すでにトラックの長い列が出来て
います。
>>大陸とイギリスを結ぶ物流の
大動脈、ドーバー海峡の海底トン
ネルに向かう高速道路です。
ことし10月ごろから交通量が急
増し、連日、
トラックの列が10キロ以上続い
ています。
>>その理由は、
移行期間が終了する年末を前に、
イギリス側で在庫を増やしておこ
うという、いわば駆け込み需要。
年明けから始まる通関手続きでは、
荷物の内容などの申告が必要で、
手続きに不備があれば、国境を通
過できなくなります。
イギリス側で懸念が強まっている
のが、
およそ4割をEUからの輸入に頼
る野菜や果物の供給です。
>>ロンドン西部の青果店です。
年明けの物流の混乱を見越して、
オリーブオイルやトマトの瓶詰と
いった日持ちする商品は、1年分
の在庫を確保しました。
しかし、
野菜や果物を今のうちから置いて
おくことはできないため、
対策に頭を抱えています。
>>こうした中で年末に期限を迎えようとしているイギリスとEU
の自由貿易協定などの交渉。
ただ、合意できるかどうかは不透
明な情勢です。
>>ではここからは、ロンドン支
局の向井支局長に聞きます。
向井さん、新型コロナと、
このEU離脱の2つの難題を抱え
ているというような印象ですけれ
ども、どうでしょう、仮に自由貿
易協定が結べないとなった場合、
どんな事態が予想されますか。
>>変異したウイルスの拡大によって、急きょ、
厳しい感染対策が導入され、
小売り店は閉鎖、クリスマスを前に、
にぎわいを見せていた街は閑散と
し、
社会には動揺が広がっています。
それに加えて、
先が見通せない交渉の行方は大き
な不安材料です。
イギリスとEUの間では、すでに
物流の混乱が生じていますが、
実際に年明けから通関手続きが始
まれば、物の流れがさらに滞り、
イギリス政府は輸送に最大2日の
遅れが発生する可能性もあるとし
ています。
その上、さらに自由貿易協定が結
べなければ、双方の貿易に新たな
関税が発生し、物の値段まで上が
ることになります。
食料品から自動車まで、
その影響は広範囲に及びます。
経済界などからは、
政府は年明け以降に向けて準備を
するようにというが、交渉の先行
きが見えない中でどう準備すれば
いいのかと、焦りや怒りの声も聞
かれます。
>>向井さん、年末まではあと1
0日ですけれども、合意はできる
んでしょうか。
>>合意できるかどうかはまだ分
かりません。
新型コロナウイルスで経済は大き
な影響を受けているだけに、
双方とも合意してさらなる打撃は
避けたいというのが本音です。
それでも簡単に譲歩すれば、イギ
リスにとってもEUにとっても、
政治的に大きなダメージとなりか
ねません。
イギリスのジョンソン首相は、E
Uから離脱したのだから、
独立した国家として主権が尊重さ
れるべきだと強く主張しています。
新型コロナウイルス対策などを巡
り、支持率が低迷しているだけに、
弱腰だと受け止められるわけには
いきません。
一方のEUは、残る27の加盟国
の結束のためにも、離脱にメリッ
トがあると見られることは絶対に
避けたい考えです。
年末が迫っても、
いまだに双方が相手に譲歩を求め、交渉が進展したとの情報はありま
せん。