♪♪~(出囃子)
笑福亭たまです。
今日は「地獄八景」を聴いて頂きます。
これは 桂 米朝師匠が→
1時間半ぐらいかけてやってるネタなんですね。
それを私は
30分ぐらいでやってるんです。
もともと 笑福亭松鶴→
五代目笑福亭松鶴師匠が→
「弥次喜多地獄旅行」
といいまして→
この
「地獄八景」の部分を→
短編で抜き読みした形で
やってたんですね。
それを米朝師匠が
全編通してやろうっていうので→
すごい有名になった噺なんです。
今 結構 若い人はですね→
また 抜き読みみたいな形でやるのが
はやってるんですが→
私は 間をとりまして→
米朝師匠の1時間半サイズをコンパクトに30分でお届けいたしますんでね→
「素人落語の人は ぜひ まねして
パクって下さい」と思っております。
今年の重大ニュースを見る形で
見て下さい。 まあ 時事ネタなんで。
それでは ご覧下さい。
「地獄八景」です。
♪♪~(出囃子)
(拍手)
ありがとうございます。
え~ 私の方は「地獄八景」というお噺を一席 聴いて頂きますが。
上方落語の中にはですね 旅ネタという
ジャンルがありまして ガイドするお噺。
現在で言いましたら
テレビの旅番組みたいなもんですね。
ストーリーがないんです。
「ここへ行きましたらこんなことが起きますよ」とか→
「こんな名所 旧跡がありますよ」っていう
紹介する落語→
こういうのが上方にはありまして
大概 前座ネタなんですね。 前座ネタ。
お客さんが だんだん増えてくるまで…
増えてくるまで しゃべってるんですね。
それとか 偉い人が来るまで
しゃべってるんです。
だから ネタ自体は
ものすごい長いんですよ。
で お客さんが いっぱいたまった。
おい もうそろそろ終われよみたいな時に ほなら バッて終わって→
適当なところで区切って終わると。
だからどこでも終われるネタっていうんで→
旅ネタというのが 上方にはあるんですね。
ほんで この時はですねどうやって終わるかっていうたら→
決まってるんですよ。
どっか適当なとこで ギャグ言うたら→
「ワーワー言うております。→
おなじみのお笑いでございます」って言うたら もう終わり。
どんな佳境でも→
「ワーワー言うております」言うたら終われるんです。
これが大阪です。
大阪は… 大阪は どこでも終わるんです。
「ワーワー言うております」て言うんです。
今からやる「地獄八景」は冥土の旅ですから→
米朝師匠が1時間以上かけて
全部 再構成しはったんですけど→
もともとは旅ネタなんで これも
どこでも終われるようになってるんです。
つまりですね あの~ まあ
先 説明しておきますと→
至る所に 「ここ オチ違うんか!」
みたいなところが出てきます。
「えっ もうオチ?」て思うんですけど
私が「オチや」言うまで オチではないです。
分かりますね?
ですから 勝手に「オチや」思て→
「もう終わった!」思わんといてね。 ねっ?
どこでも終われるだけに→
オチっぽいところが
いっぱいありますから→
私が「オチや」言うまで おつきあい下さい。
え~ ここにございましたある男 鯖を食べまして→
くう~と意識がなくなりまして
空々寂々とした世界。
ふっと気が付きますと
辺り一面 真っ黒けでございまして→
ぎょうさんの人が
前をぞろぞろ ぞろぞろ歩いております。
皆が経帷子 白い装束を着まして→
頭にはですね三角の白い布をあてがいまして→
首からは 頭陀袋をさげております。
遠いとこからは 糸より細い声で「おい お~い」。
♪♪~
「何や 何や? ぎょうさんの人が死に装束で歩いてるがな。→
なな… 何や これ。
どないなってんねん?→
えっ? わいも おんなじ格好してるがな。
ほな わい 死んでしもたんか?→
あっ あそこにいてんの