全部 再構成しはったんですけど→
もともとは旅ネタなんで これも
どこでも終われるようになってるんです。
つまりですね あの~ まあ
先 説明しておきますと→
至る所に 「ここ オチ違うんか!」
みたいなところが出てきます。
「えっ もうオチ?」て思うんですけど
私が「オチや」言うまで オチではないです。
分かりますね?
ですから 勝手に「オチや」思て→
「もう終わった!」思わんといてね。 ねっ?
どこでも終われるだけに→
オチっぽいところが
いっぱいありますから→
私が「オチや」言うまで おつきあい下さい。
え~ ここにございましたある男 鯖を食べまして→
くう~と意識がなくなりまして
空々寂々とした世界。
ふっと気が付きますと
辺り一面 真っ黒けでございまして→
ぎょうさんの人が
前をぞろぞろ ぞろぞろ歩いております。
皆が経帷子 白い装束を着まして→
頭にはですね三角の白い布をあてがいまして→
首からは 頭陀袋をさげております。
遠いとこからは 糸より細い声で「おい お~い」。
♪♪~
「何や 何や? ぎょうさんの人が死に装束で歩いてるがな。→
なな… 何や これ。
どないなってんねん?→
えっ? わいも おんなじ格好してるがな。
ほな わい 死んでしもたんか?→
あっ あそこにいてんの
3か月前に死んだ先輩やがな。→
ほな わい 死んだんか?
先輩に話聞こう。→
あの~ 先輩 先輩!」。
「おっ 田中やないか! 久しぶりやな!元気か?」。
「いや ちょっと待って下さい。
もう死んでまんねやろ これ」。
「うん そや。 ここ 冥土や」。
「ほな あの世ですか?」。「何を言うてんねん。→
生きてる方が あの世になって
こっちが この世になんねんな」。
「あ~ なるほど。
入れ代わりまんねんな。→
ほな ここにいてる人ら
皆 死んではりまんのん?」。
「そうやがな」。 「へえ~。 こっちは
有名人いっぱいいてまんねんな」。
「そら いっぱいいてるがな。
こっちはな 有名人だらけやで。→
そうそう さっき
落語会のチラシもろてん」。
「えっ? 落語会のチラシ?」。
「そうやがな。 東西名人会。 なっ?→
やっぱりな
もう 娑婆の落語なんか聴かへんで。→
こっち 名人ばっかり
いてんねんさかいにな。→
え~ 上方はな 松鶴 米朝
五代目 文枝 三代目 春団治。→
四天王がそろてるなあ。
で 東京方も豪華やなあ。→
古今亭志ん朝 立川談志 桂 歌丸
ほいで 柳家小三治」。
「いや すんまへん。
それ まだ生きてまっせ。→
死んでへんのと違いまっか?」。
「ここに ちゃんと書いてあるやろ? 注で。『近日来演』」。
「怒られまっせ。 大丈夫でっか?→
このあと これ 皆 どこ行きまんねん?」。
「さあさあ
この行列に付き添っていったらな→
パスポート… 入館許可証みたいなもん
くれはんのやな。→
冥土のパスポートみたいなもんや。
とりあえず ついていこう ついていこう」。
行列に ぞろぞろ ぞろぞろ連なって
ついていきますと→
大きな鉄の扉がございまして
横手には「受付」と書かれておりまして→
「マイナンバー発行所」と
書いてありますね。
パソコンが1台 置いてありまして→
紫色の鬼 緑の鬼 ピンクの鬼なんかが受付をしております。
「あれ? 先輩 何や 何や 紫とかね
緑とか ピンクて珍しいでんな。→
普通 赤鬼とか青鬼とか違いまんのん?」。
「さあさあ 何や聞いたらな→
1本角の青鬼とな 2本角の青鬼
で 1本角の赤鬼 2本角の赤鬼→
1本角の黄色 2本角の黄色
この6体の鬼はな→
この事務方から もう6体の鬼は
こいつらあかんいうて外されてん。→
閻魔大王に言われて
もう外されてん」。
「えっ? どういう理由で?」。