長い長いやつをば ザブ~ン。
櫓臍にガチャリとはめ込みますと→
船頭さん プッと きり水の一杯を吹いたところで→
赤松を割ったような
腕によりかけ こぎだした。
「やあ うんとしょ~い!」。
♪♪~
(笑い声)
♪♪~
「おいおい! 身ぃ乗り出すなよ 身ぃ!
はまったらな 生きるで。 気ぃ付けや」。
「え~? 船頭さん 船頭さん
せやけど ここね→
えらい富士山見えてまっせ 冥土やのに」。
「ああ。 プロジェクションマッピングでな安藤広重の富士山が 三十六景な→
ひゅ~んと瞬時に出てくるように
なったあんねん。→
スーパーコンピューター… 冥土一のな
スーパーコンピューターのおかげや」。
「ほう~ 三十六景いっぺんに出てくる?
何ちゅうコンピューター?」。
「富岳(富嶽)」。
「今のは言う思いましたわ」。
「そやねん。 富岳(富嶽)て
どこで使たらええか→
それこそ富岳に聞きたいぐらいや」。
「もう 何の話でんねんな」。
閻魔の庁が
だんだん見えてまいりますと→
「あ~ ここで裁きが行われるのか」と
皆が ドキドキいたします。
それまで にこやかにしておりましたが→
「あ~ このあと閻魔大王に会う」と思いますと→
皆の顔が ぞ~っと青ざめだすんですね。
生前行った悪行を悔いだすんですね。
「あ~ 何で あんなことしたんやろ?
せなんだらよかった」。
…と 悔やみだします。
悔やみだすのは当たり前!皆 後悔(航海)しております。
(拍手)
「ここ オチでっか?」。「いや まだや!→
もうちょっとあんねん。
もうちょっとあんねや」。
閻魔の庁へやって参りますと
辺り一面 真っ黒けでございまして→
もう 一面の暗闇。
遠いとこからは罪人のうめき声が聞こえてまいります。
「ひい~っ!」。
ピシッ ピシッ。
「ひい~っ!」。
歩いていきますとだんだん目が慣れてくる。
周りは 暗闇の中に
血の池地獄に針の山。
地獄の責め道具が並んでおります。
遠いとこからはですね罪人をムチで打ち据える音。
また うめき声が聞こえてくる。
ピシ~ッ! ピシ~ッ!「ひい~っ!」。
ピシ~ッ! ピシ~ッ!
「あっ… あ~…」。
ピシ~ッ! ピシ~ッ!
「あっ… はあ~ん」。
ピシ~ッ!
「あっ… あ~ん。 あ~… もっと~」。
いろんな罪人がいておりますが。
正面までやって参りますと 玉座閻魔大王が座る椅子がございまして→
閻魔大王が出てまいります。
閻魔大王というのはですね身には道服 中国の昔の服ですね。
これを身にまとっておりまして→
頭には 「王」と書きました王冠をかぶっております。
ひげだらけで
目がギョロっとしておりまして→
笏を持ちまして 芝居がかり
「閻魔の出御 下におろう~」。
♪♪~
(拍手)
♪♪~
「ははあ~」と 皆が平伏いたします。
「あ~ 一同の者
先代閻魔が本年は退陣いたし→
新閻魔の誕生につき恩赦をつかわす。→
自ら罪を名乗り出た者は減刑いたそうではないか。→
恩赦を与える。
誰か 罪を自ら名乗り出る者はないか?→
自ら罪を申告する者はおらぬか?
誰か? 誰かおらぬか?」。
≪「はい!」。
「おっ 出てまいれ!」。
♪♪~
(笑い声)
「そこへ座れ」。
「名前は何じゃ?」。笑福亭喬介と申します。
笑福亭喬介さんで~す!
(拍手)
「では その方 罪を申し述べよ」。
え~ 私はいいことをしたと思っております。
何年か前に
師匠の息子さんが就職した時に→
「祝いを持っていきます」と電話して
持ってったんです。
ほたら 大事に飼っていた犬のゲンキ君が