Categories: 未分類

2020/12/29(火) 05:10〜06:00 NHKスペシャル「ヒグマと老漁師〜世界遺産・知床を生きる〜」[字][再]


逃げられるようになっているという。
すべてを 取り尽くさないことが

長く続けていく秘けつだ。
漁を終えて 港に戻ると…。
あっ 来た。
ヒグマが 港で待ち構えていた。
ルシャにはおよそ60頭が住みついているという。
魚のにおいに誘われてやって来る
ヒグマたち。
襲ってこないのか?
漁師たちは 決してヒグマに魚を与えようとしない。
そして ヒグマが漁の邪魔をするときは…。
≪おい!
おやじを見習って 大声を出して追い払う。
この日も漁師たちはルシャの恵みにあずかった。
≪ゆっくりよ。
≪ありがとうございます。
おやじたちが ほっと 一息つくのが
夕食の時間。
ばか…!


「ばか」って 何?
多いっぺや こんなに…。
いいって いいって!食べなさいっての。
ハハハハ…!
ただ 食べ物のにおいには要注意。
ほ~ら 来た。
番屋の周りを ぐるぐる歩き始めた。
さすがに 眠っている間は
ヒグマを叱るわけにはいかない。
(取材者)気をつけます。
うん。
(取材者)おやすみなさい。
はい。
しばらく 未練がましく
番屋の周りをうろついていたが…。
諦めたのか ねぐらに戻っていった。
この満天の星のもと→
人とヒグマの不思議な営みが
半世紀にわたって続いてきた。
このルシャで 人が一度も
ヒグマに命を奪われなかったのは→
おやじの叱りがあったからだ。
その1 「腹の底から大声を出す」。
その2 「絶対に目をそらさない」。
その3「勇気を出して 足を前に踏み出す」。
おい! こらっ!
おやじは いかにして この叱りの極意にたどりついたのだろうか。
おやじは 青森の漁師の家に生まれた。
しかし 生活は厳しく23歳のとき ふるさとを離れた。
出稼ぎの漁師として

知床にやって来たおやじ。
しかし 条件の良い漁場は
すでに ほかの漁師たちの手に。
残されていたのがルシャだった。
「吹き出し風」と呼ばれる強風が頻繁に吹くため→
船を出せない日が多い。
(咆哮)
しかも ルシャは ヒグマの巣窟だった。
(咆哮)
「これでは 漁ができない」。
おやじは 漁の妨げになるヒグマの駆除をハンターに頼んだ。
しかし 命を奪うことに
後味の悪さを感じていた。
10年ほどたったとき
ある出来事が起きた。
こんなふうに
夢中で仕事をしていたとき→
背後から ヒグマが忍び寄ってきた。
ヒグマは ほとんど足音がしない。
驚いたおやじは
苦し紛れに大声で怒鳴りつけた。
すると
ヒグマは静かに去っていったという。
ヒグマの命を奪わずに済む
という思いから→
夢中で叱り続けたおやじ。
叱っても逃げないときは棒を持って追い払ったこともある。
やがて おやじは
自分なりの考えにたどりついた。
ヒグマの親子が鍵を握っていた。

母熊は1年から2年をかけて付きっきりで子育てをする。
この間に
叱られたら逃げる母熊の姿を見て→
子熊は 人間が怖い存在だと学ぶ。
子どものころから→
人間のほうが強いということを
繰り返し学習させることで→
人を襲わなくなることが
分かったという。
30年かけて→
人がヒグマと共存できる環境を作り上げたおやじ。
今では ヒグマが何を考えているのか
手に取るように分かる。
ヒグマは おやじの予言どおりに現れた。
今 番屋には→
アイヌの老人をかたどった像が
掲げられている。
アイヌの人たちは
ヒグマを 山の神と敬い→
自然と共に生きてきた。

Page: 1 2 3 4

ikatako117

Share
Published by
ikatako117