(一同)ええ…。
何や もっと 話 したかったのに…。
今 どこにいてるて?
あっ 聞いてしまへん。
(一同)えっ!
けど 役者してるて。
(一同)ええっ!?
(ハナ)そら 面白おますなあ。
千鳥さんのおかげだす。
こないに うれしいもんなんだすなあ
お芝居して喜んでもらえるて。
どうして そんなに笑っていられるの?
私は自分の運命を恨んだり人を妬んだりしたわ。
心から笑えることなんてなかった。
うちも 昔はそうだした。
けど 今は帰る場所があります。
うちを待っててくれはる人たちがいてるさかい。
山村千鳥一座は 解散する。
何で…。
あなたのせいよ。
あんな芝居でも 本気でやれば人の心を動かせるってこと→
思い知らされた。
私 今 「あんな芝居」って言ったでしょ。
自分が最も嫌った見下す側の人間に
いつの間にか自分もなっていた。
それが何より許せなくて。
もう一度 一人で全国を回って 鍛え直す。
私も冒険したくなったの。
やあっ! はあっ!
鶴亀撮影所には
紹介状 出しといたから。
あそこの所長 昔のなじみなの。
自分の未熟さを 思い知るといいわ。
次に会う時には あなたの困り果てた顔
見るの楽しみにしてるから。
フフフ…。
そして 季節が変わり…。
入ってよろしの?
(守屋)どうぞ。
入ってしもた。
鶴亀撮影所を訪れた千代ちゃんを待っていたのは…。
女優の竹井千代さんですよね?
はい そうだす!
(片金)はっ! よっ! はっ! はっ!
この人が 千鳥さんのなじみの所長らしいけど→
えらい変わった人ですなあ。
うりゃあ~!(ジョージ)ノー!
けったいな人ばっかりで大丈夫かいな。
ガッデム!ハハ~。
失礼します。
ごめんやす。
この2人に
面接を受けることになった千代ちゃん。
立って。
はい!
右向き。
くるっと回り。
よっしゃ 合格や。
ありがとございます!精いっぱい気張らしてもらいます!
無事合格した千代ちゃんが案内されたんは
女優の大部屋。
(話し声)
今日から入りました竹井千代と申します。
(笑い声)
<にゃろ~!>
ほな 失礼して座らしてもらいます。
(弥生)何してんの?そこは 準幹部の席え。
準幹部?
主役やれるくらいの役者や。
あんたみたいな新入りは
入り口の一番そばや。
フフフ… ああ 忙しい忙しい。
(歌子)あなたの席 ないわよ。
この すかたん!
(小暮)何してんの?あっ あっ…。
ちょっといいかな?
えっ えっ えっ ちょっ…。
突然 千代ちゃんが連れていかれた先は
映画の撮影現場。
君は これを持って
ただ歩いてくれたらいいから。
えっ…。
はい 準備できました!
急病にかかった女優さんの
代役みたいやけど…。
歩いて向こうに向かって。
いきなり本番やて!
<けど みんながみんな
ただ歩いてるだけいうのも→
おかしいなあ。 よっしゃ>
おまんじゅう2つ。えっ?
千代ちゃん! 主役さんに かぶってるで。
スト~ップ!→
何してくれてんだ ユーは!
うち お使いの合間に→
こっそり おまんじゅう買いに来た
女中さんなんだす。
ただ言われたとおり動くだけでいいんだ!
せやけど こない おいしそうなおまんじゅう屋さん 素通りできます?
でけしまへんわ!