♪♪~
<
「被災者帰れ」>
<大震災の後
福島の人が→
同じ福島の人に
たたきつけた言葉>
<あの日
津波で家族や家をなくした人は…>
<原発事故で
故郷を追われた人は…>
(
男性) あんたらは…。
<原発事故の賠償金を→
もらったか もらわなかったか>
<同じ福島の被災者の間で
分断が起きていました>
<そんな福島の人達が
隣同士で暮らすことに>
<左は
原発事故からの避難者が暮らす団地>
<右は
津波被災者が暮らす団地です>
<道路一本
隔ててお互いを遮る 見えない壁>
<福島の
もう一つの現実です>
<福島県いわき市>
<東日本大震災で 6万3000もの住宅が全半壊しました>
<ここに立つ
公営住宅>
<いわき市の被災者向けに
市が整備した永崎団地です>
夏はベンチャーズだね
。♪~(スタッフ) ハハハ…。
<この団地の自治会長を
務めています>
(スタッフ)
これ 何ですか?(藁谷さん) これ? あっ これ?
これは
韓国の韓流の女優さん達。
私が見て…
あれしたやつ。
<藁谷さんは愛犬と夫婦2人で
暮らせる住まいを探し→
この団地を選びました>
(藁谷さん) ローソンっていうここの あれだけど 津波でな。
で
これは うち。
うちで
こうなって…。
こういう状態になったんだ
。(スタッフ) うわ~…。
<海から200mの
場所にあった自宅は→
津波の被害を受けました>
ここら辺にあったと思ったな。
ここら辺が
あれかな。
ここら辺にね
蛇腹式の門があって。
<60年あまり住んだ
わが家>
<春は藤の花が自慢>
<夏は庭先でバーベキュー>
<いつも笑い声が
飛び交っていました>
だけど…
。
今
年金生活してる人さ1000万の金っつったら。
<津波被災者への公的な支援金は
最大300万円ほど>
<やむを得ず土地を手放し→
慣れない団地生活に踏み切りました>
<一方
原発事故から避難している人は→
国や東京電力から
精神的苦痛や→
仕事
住まいへの賠償金が支払われて来ました>
<被災の状況にもよりますが→
世帯にすると数千万や億という額も>
<避難先で新たに土地を買い→
家を建てる人もいます>
<津波で被災した藁谷さんは…>
やっぱり そうなると…。
そこなんです
問題は。
やっぱり…
。
うまく
そういうとこは。
極端な話さ→
いつまで おめぇら補償もらってんだ→
…っていうような
そういうの あるわ。
自分の
これからの一生の人生の中で→
使い切れないほど
もらってる人もいるだろ?
<藁谷さんが住む市営団地>
<道を挟んで すぐ左隣には→
原発事故から避難して来た人達が
住んでいます>
<福島県が整備した
県営の下神白団地>
<入居から1年後>
こんにちは。≪こんにちは≫
<この日
お互いの団地の代表による→
初めての顔合わせが
行われました>
<こちらは
藁谷さん達 津波の被災者>
<反対側には
原発事故からの避難者>
(
佐山弘明さん) 65歳以上が…。
<テーブルを挟んで
向き合います>
一緒にできたらなと
。
<そして
原発事故で避難している佐山弘明さんから→
こんな提案を受けました>
…という形で催しております。
<原発避難者が秋に企画する
交流会に誘われたのです>
ふぅ~…
。
<30分ほどの短い顔合わせ>
<交流会の提案に 藁谷さんは…>
こんなこと言うと
自治会長さん 悪いんだけど→
ないな
。
率先して自分から
何でもやって行くってことは。
そういうの
あんまりない。
<参加する意味は
あるのだろうか?>
<悩んでいました>
<道を隔てて原発避難者が住む団地>
<交流会を呼び掛けた佐山さん>
<妻と2人で暮らしています>
<佐山さん達も
はじめ 交流会は考えていませんでした>
(
かをるさん)言われましたもんね。
はっきり言われましたから
。
やっぱり
お金って 人の…何て言うんですかね→
気持ちを
それだけ左右するっていうかね。
帰れないっていう部分を
分かってないのかなって。
いつでも帰れるんじゃねえの?
っていう。
なのに
補償もらってんじゃないのっていう部分なんじゃない?
<好きで
避難しているわけじゃ ない>
<部屋には
震災前の故郷>
<そして
わが家の写真>
<浪江町の沿岸部
請戸地区>
<佐山さんの故郷は
津波で壊滅的な被害を受け→
原発事故により
避難を強いられました>
ずっと塀に囲まれてて→
ここに 車庫兼物置があったんです。
車2台入って
物置になってて。
立ってて
。
<家族4人で暮らした
わが家>
<畑で野菜を育てることが
楽しみでした>
ここに来っとね
やっぱあれ 目に付くんだよね。
(
佐山さん) 原発があんなに近かったのって…。
<浪江町に戻ることも
一時は考えましたが→
先が見通せないため
諦めることにしました>
だから
賠償金もらったからそれでいいのかっつっても→
そうは
いかねえんじゃねぇって部分はあるし。
だったら
賠償金 返すから住めるようにしてくれよと。
<佐山さんのように
津波で家を失った場合→
建物に対する賠償はありません>
<中には 避難先での生活の再建が厳しい人もいます>
<新しい土地に早くなじみたい>
<佐山さんの交流会の提案には→
切実な思いが込められています>
<そんな交流会の打ち合わせ>
<何とか成功させたい
佐山さん達>
<一方
藁谷さんは団地の自治会長として→
毎回
顔は出すことに>
<この日は
チラシのデザインの打ち合わせ>
<藁谷さん達の団地の名前と
2つ並べて書くことに>
<初めての顔合わせから5か月>
(藁谷さん) こんにちは。(女性) こんにちは。
何?
(藁谷さん) チラシ配りに来たの。
(
女性) あ~ そう ハハハ…。
あ~
今度のね。お願いします。
はいはいはい
どうも。
<チラシ配り
それは自治会長の役目として>
≪何事?
お姉ちゃん≫(女性) ん?
今度ほら…
言うたっぺあっちと共同で秋祭りやるよって。
交流会ね
。うん だから 焼きそばも→
先着でやるから…
いろんなのやるんだよ。
出られる時は出っぺ
。
要するに…
。
格差なくすっつうのは
どうなんだろう。
<自分の力では
どうにもならない>
<自治会長としての立場で
迷いが生まれていました>
<自分達
津波被災者の団地でチラシ配りをするのは→
藁谷さん1人>
地味な人間だから…。
応援してくれないと
ああでもねえ こうでもねえって。
イベントあっても
。
今んところ見っと
みんな こうだもんな。
それこそ
メキシコの壁じゃねえけどよ。
<一昨年
11月>
<迎えた交流会当日>
♪~
<藁谷さんと佐山さんが
一緒に参加を呼び掛けます>
♪~
<2つの団地の住民が集まって来ました>
<目玉は
佐山さんの故郷のB級グルメ→
「
なみえ焼きそば」です>
<初めての交流会>
<壁を乗り越えるきっかけになるのでしょうか?>
何つうことは
ないんだけどやっぱし…。
でも
これ きっかけにね やっぱし1人2人でも ちょっとね…。
<2つの団地の間の距離が→
少し縮まったかなと感じていました>
<この時は>
<春>
<新年度になり
団地の役員が少し代わりました>
<初めての顔合わせです>
<津波の被災者と…>
<原発事故の避難者>
<2回目の交流会を提案した佐山さん>
<でも
話は思わぬ展開に>
勘違い
大いにしてますよ県営の方は いいなって。
毎月
優雅に…。≪それは ちょっと…≫
それこそね…
。
言ってますよ
みんな。
ここに残ってる方達→
仮設に入ってるとかまだ いますよね?
(
原発避難者) いますね。ここに 県営に入ってる人。
(
原発避難者)市民になればですね。うん 市民になればね。
私達は
そう願ってますよ。
ぜひ
この いわきに住所を移して。
(
佐山さん) それはね 市民の人が分かってないんだと思います。
あのね
私ら 避難してる人間の分が→
市に
1人当たり4万…9000円だっけ?
≪
2000~3000円ぐらいです≫
4
万2000~3000円 1人当たりいわき市に来てます。
住民税払ってない代わりに
。
<やはり
お金の話に>
<原発事故の避難者の多くは→
元の住まいがある自治体に住民税を納めています>
<その分
避難先の自治体には国から交付税が入ります>
詳しく説明していただかない…
。≪正しい情報をね…≫
そう
正しい情報していただかないと ホントに…。
いくら説明してもね→
今 おっしゃってるような感じで聞かれると→
あの…
伝わらないですね。
だから…
。
(
津波被災者) そこに買い物に来る人達が 原発の方達の→
札束を持って
札びら切って行くみたいな形で。
そうすると
そこにやっぱり変な感情が生まれてしまって→
そういうのが…
膨れ上がってしまうんですよね。
入っちゃってるんですよね
。どうしたらいいんだろうね?
違う違う
今…。
それがね
私達も そうではないですから。
<藁谷さん
気付くと間に入っていました>
やっぱり
故郷がないっていうのは→
何か
穴があいているような感じですよ。
<お互い
思っていたことをぶつけました>
そうだね
。
私らも
変なふうに偏見の目で見てましたからね。
だから
それをやりたいなと…。そうですね。
ああに話をしなきゃ
分かんねえんだ はっきり言って。
で
初めて分かったって言ったでしょ。
わだかまりは
ないよ 俺は。
ないっつうと
ウソになっかも分かんねえけど→
ない!
うん。
だって
わだかまりあったら話なんかできないでしょ。
(スタッフ)
それは 消してったんですかね?
消えてったんですか?
マジシャンじゃねえぞ 俺。
ハハハ…
。
まぁ
それはね ちょっとね何とも言えないけどね。
<それから5か月が経った
去年10月>
<2回目の交流会に向け→
2つの団地の住民が一緒に名札を作っていました>
<それぞれの団地と
役割も ちゃんと分かるように>
<交流会まで
あと1か月です>
<一緒に作った名札を着けて→
2回目の交流会が始まりました>
今日一日
よろしくお願いします。
え~っと
今日のスケジュールだけ発表しときます。
フフフ…
。
<あの日
お互いの思いをぶつけた2人>
<一緒に
お客さんを迎えます>
<2つの団地を
分け隔てて来た道路>
<その道を渡って
参加者が会場に向かいます>
はい
どうぞ。
<去年よりも
たくさんの人がやって来ました>
♪~
笑うがいいわ
♪~
あたなは あそびのつもりでも
<交流会も
終わりに近づいた頃…>
(
藁谷さん)あっ 佐山さん いるわ。
佐山さん
来たね。
<あの道を走って
藁谷さんの元へ>
(
藁谷さん) 終わりなんだって?
終わった
終わった。(藁谷さん) 帰んの? 帰んの?
帰る
今からちょっと シート買うシート… ブルーシート。
(
藁谷さん) あ~…ブルーシート買いに行くの。
ここ半年以上か
半年ぐらいかな?
そのぐらいの間に…
。
(
藁谷さん)うん そうだよね 話…。
今日も冗談言ってたけど
あそこの下 1つ空いてっから→
俺
越して来っか なんてハハハ…。
言ったけどもさ
。
<2人が話す機会は
随分 増えていました>
この間も
佐山さんと私と話 したけど。
これを…
。
(
藁谷さん) はい どうも。
<藁谷さんの中にあった
見えない壁>
<何度も
ぶつかりながらも向き合って来た2年半でした>
<そして…>
<今年の元旦>
久しぶり
。
<佐山さんが
孫と一緒に向かった先>
<地元
いわきの人に囲まれて→
初めて
避難先で初日の出を見ました>
何年ぶりだろう
こんなにキレイに見たのは。
こんなにキレイに見えたのは
何年ぶりだか分かんないけど。
今年は
いい年にしたいな。
落ち着ける年にしたい
。
いわきでね
。
<震災から7年>
<ようやく ここまでたどり着きました>
<補償の格差は
同じ場所で暮らす人達を→
分断させてしまいました>
<見えない壁と向き合い乗り越える>
<それは
みんなと同じ景色を見ていたいから>
再審開始決定!
<38年前に殺人犯とされた女性が→
ずっと無実を訴えています>
<90歳になっても始まらない再審 やり直し裁判>
<一体
なぜ?>
2018/02/12(月) 00:55〜01:25
読売テレビ1
NNNドキュメント「見えない壁 〜福島・被災者と避難者〜」[解][字]
福島県に津波被災者と原発事故の避難者が隣り合って暮らす公営住宅がある。賠償金による格差が軋轢を生む中、見えない壁を乗り越えようと1人の原発避難者が呼びかけた。
詳細情報
出演者
【ナレーター】
小野紗由利(福島中央テレビアナウンサー)
番組内容
太平洋に面する福島県いわき市。震災の津波で甚大な被害を受けた。その津波被災者向けと、原発事故で福島第一原発周辺から避難した住民向けの公営住宅が隣り合う場所がある。賠償金を受け取り続ける原発避難者とわずかな支援金しか受けられなかった津波被災者の間には、格差が横たわり軋轢を生んでいた。壁を乗り越え互いの距離を縮めたいと1人の原発避難者が呼びかけた。同じ被災者、悲しみと向き合いながら福島で生きていく。
制作
福島中央テレビ
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント