♪♪~
<荒れ狂う冬の日本海>
<大海原で漁師達が追い求めるのは→
越前がにです>
≪5000円 5000円6000円…≫
<黄色のタグは
福井県で水揚げされたズワイガニ→
越前がにの証し>
<他の追随を許さないカニのトップブランドです>
<中でも
特大で形の良い越前がに極には→
数十万円の値が付きます>
<この越前がにの漁で30年以上→
地元で水揚げトップを誇る
共栄丸>
<率いるのは…>
<そして 父の背中を追う…>
<その栄光を支えて来たのは→
使い込まれた操業日誌の存在でした>
<カニ漁に懸ける親子→
13年の記録です>
<福井県
三国港>
<初めて
その親子に出会ったのは→
今から13年前の11月→
越前がに漁の解禁前夜のことです>
<乗組員6人の…>
<この頃 息子の嘉文さんは船に乗って まだ3年→
25歳でした>
<夜8時日本海沖の漁場をめがけ出港>
<解禁日は
そのシーズンを占う大切な日>
<お神酒をまいて
漁の安全と豊漁を願います>
<カニがどれだけ取れるかは
船長の腕に懸かっています>
(
五島精一さん) いつもこの辺にね京都の この辺に→
割とカニが集まるんです
この近辺にね。
だから
それが10m違うたら全然 入らない。
水深が10m違ったら
。
<4時間かけて
当たりを付けた漁場に向かいます>
<そして
日付が変わった午前0時>
(
ブザー)
<解禁を告げる合図とともに
網を沈めます>
<岩に引っ掛けないよう
潮の流れを計算しながら…>
<操業中
精一さんが何度も見返すノートがあります>
<精一さんの過去35年間の…>
<いつ どの場所でカニが取れたかなどが→
詳しく書き込まれています>
<このデータに加え潮の流れなどを分析>
<船の速度を
コントロールしながら→
底引き網でカニを捕らえます>
(ブザー)
<1時間後
網を巻き上げると…>
<いきなりのトラブル>
アシ引っ張ろう アシ…アシも引っ張ろう。
<急いで網を交換し→
2回目に挑みます>
<すると…>
<ついにカニが!>
<越前がにです>
<夜明けとともに海は大荒れに>
<チャンスは
あと1回>
<精一さんは操業日誌を頼りに→
岩だらけの困難な場所でも網を引きます>
<まずまずの解禁日と
なりました>
<港に戻ると息をつく間もなく→
家族総出で仕分け作業>
(
機械音声) 3L。
(
機械音声) 3L。
<越前がにの証し
黄色のタグを付けます>
<夕方6時からの競りまでは
時間との勝負>
(
五島嘉文さん)違う 30の前に…。
要は30載せて
また載せて…。
(
五島さん) 荷台持って来いやあっこにあるがいね。
(
五島さん) 大勢の人が行くがね。
≪5000円
5000円6000円 7万6000円…≫
<市場が1年で最も活気づく
初競り>
<精一さんの目の前で→
カニが高値で競り落とされて行きます>
<ここは
船長の腕が評価される場所>
<精一さんが家業を継いだのは
33歳の時>
<先代のカニ船が→
事故で沈没したのが転機となりました>
<新しい船を造り→
数億円の借金を背負っての再出発>
<それまでは
東京にある大手海運会社で→
エンジニアの仕事を
していました>
今までは相手が大体
お客さん人間だったのに 今までは。
今度
これからは海やもんね 相手がね。
あん時には
。
<33歳で荒海にこぎ出した
精一さんと共栄丸>
<新米漁師を支えたのは→
サラリーマン時代のエンジニアとしての経験でした>
<漁の仕方や漁場について
先輩の漁師からデータを集め→
独自に分析したのです>
ずっとデータの処理ができた→
うまいこと
データが集まったからやね。
だから素人でもやれたんだろうと
思うんだけど。
<三国港では
シーズンを通して水揚げ量を競い→
ナンバーワン
の船を 一番漁と呼んでたたえて来ました>
(
拍手)
<五島船長は
データの活用だけでなく→
水揚げを左右する
網の改良も手掛け→
30年以上にわたって
かに一番漁の座を→
守り続けて来たのです>
<幼い頃から そんな父の背中を見て育った嘉文さん>
<一度は大学に通うものの→
漁師以外の目標を見つけられず→
父の船に乗ることを決意します>
<しかし 海の仕事は想像以上にキツイものでした>
この生活に慣れるまでが…
休みが まず決まってないんで。
今まで
ず~っとサーフィンとか気ままに遊んでたんでね。
時間の配分が難しかったですね
自分の時間がないっていうか。
<この年はなぜか→
今まで取れた場所でカニが取れません>
<新しい漁場を開拓します>
今年はね 何か知らんけど→
今までの水深
深さにいないのカニが。
割と深いとこにいる…
深いとこっちゅうか→
水温が暖かいんやろな
多分底の水温が。
<
「今日は まったくダメの日」>
<
「頑張ってやろう!!」>
<カニは
どこにいるのか…>
<狙いは
高値が付く雄のズワイガニです>
(スタッフ)
ゼロ?ゼロですよ これ。
(スタッフ)
全然 取れなかったの?
<12月の日本海>
<荒波が容赦なく襲い掛かります>
<今度こそと挑んだ2回目も…>
<海が荒れて すでに1週間>
<
「12月に入り シケと雪が続き→
漁に出れず
」>
<悪天候が続くと→
天気図をにらみながら自宅で待ち続ける毎日です>
あ~あ
ため息しか出んわいね。
<網の修理は
漁のない日の大事な仕事です>
<手間取る若手の乗組員に…>
そんなとこでないやろ。
(
五島さん) いいかげんに。
<そんな父親は
息子にとって→
とてつもなく大きな存在でした>
ずっと目標でしたよあの人は すごい有名な人ですし。
何か…
一番漁も何年も続けてるし。
でも
船乗ってからの目標ですけど→
まぁ
でも 漁師って仕事に慣れれば慣れるほど→
どんどん
どんどん追い付けるんかな?って→
不安になりますね
。
<次のシーズン>
<嘉文さんが船に乗って6年目>
<この日は
父親と並んで→
操舵室に
嘉文さんの姿がありました>
だんだんと移行して行かなきゃね
。
フフフ
。
もう嫁さんもらうから
そろそろ変わってくれなきゃね。
(スタッフ)
どうですか?お父さんの話 聞いて。
ヤバいですよね
。
<父と息子が追い求めて来た
越前がに>
<今日も大漁となりました>
<翌年6月>
<
「嘉文の結婚式のため→
1日早く帰港
」>
<サーフィンを通じて知り合った
新婦 千春さんと→
晴れの日を迎えました>
(拍手)
<そして
この日嘉文さんが初めて→
父に明かした思い>
僕は 自分の両親を心から尊敬してます。
自分の両親のようになれるように
頑張りたいと思います。
親父さん→
もう一生言わないと思うので今 言っておきます。
今まで
ありがとうございました。
(
拍手)
これからも
あなたを目指して→
頑張って行きたいと思います
。
ありがとうございました
。
(
拍手)
<突風や波のうねり>
<操業中は 一瞬の判断が重大な事態を招きます>
<
「千歳丸 乗組員 落下!」>
<2014年2月>
<カニ漁の最中に→
共栄丸と同じ
三国港に所属する船から…>
<3日後
遺体を発見したのは→
仲間の捜索を続けて来た
共栄丸でした>
≪はい
行くよ…≫
(
泣き声)
≪お~い!!
お~い!!≫
≪お~い!!≫
(泣き声)
≪お~い!!≫
(泣き声)
(
泣き声)
<今から
およそ50年前→
海がにぎわいを見せた頃の
映像です>
<捕らえたカニを入れるのは
木製のトロ箱>
<ピーク時の
1960年代と比べ→
今
福井県内の漁業就業者はおよそ2割にまで減少>
<しかも全体の半数以上が
60歳以上です>
<高齢化と
担い手不足が影を落とす→
漁業の現場>
<人手不足が続く中→
今は
東南アジアの技能実習生が頼りです>
<共栄丸も去年→
2人のインドネシア人を受け入れました>
<しかし
彼らがいられるのは3年から5年>
<一時的な戦力でしか
ありません>
<越前がに漁
解禁の日>
<嘉文さんは初めて→
船長の仕事を任されることになりました>
<父親の船で修業を積んで
15年→
37歳の船出です>
<息子に船長の座を譲って→
精一さんは船を下ります>
(五島さんの声) 今までのデータをうまいこと活用しながら→
船を動かして行けるなと
思ったから→
まぁ
いいタイミングだなと思ってね交代したんだけど。
そういう準備も
しとったしさ。
<出港が刻一刻と迫る中→
父親から息子へ最後のアドバイス>
<父から受け継いだ
操業日誌を携え→
子供達に見送られての出港です>
バイバ~イ!
バイバ~イ!
<今シーズン 共栄丸のかじ取りを任された嘉文さん>
<全てを判断する船長は
孤独です>
(
嘉文さん) こればっか見てますよカニ 行ってる時は。
過去のノートをずっと見ながら
。
たまにね
書いてあるんですよ目標が。
ほら
「頑張るぞ!!」って書いてあるでしょ。
何年たっても挑戦しながら
やってるんですよ 親父もね。
俺みたいに入らない時とかに→
やっぱ 同じように不安になったりしながら→
探してる感じがするので
。
親父から引き継げた
すごいノウハウだし…。
<嘉文さんが船長となって
4か月>
<そこにはもう
父の姿はありません>
(
アラーム音)
<カニは
どこにいるのか…>
<微妙な潮の流れを計算して→
船の進路を調整しながら網を入れて行きます>
(
嘉文さん) あれ 後で取れば…。
巻いてまえ!
<カニは入ったのか?>
<網いっぱいの越前がにだ>
≪入ってる…≫
<船長を交代して
初めてのシーズンも終盤>
<水揚げも上々で→
皆 確かな手応えを感じていました>
(
五島さん) 嘉文君が船頭になってみんなのおかげで→
頑張って来れてるので
安心しております。
乾杯!
(一同) 乾杯!
みんなさ
継いだらよかったね よかったね→
…と思うかも知らんけど
言うけど みんなね→
俺は
大変やなと思った。
(
嘉文さん) この日が来るのが嫌だったっていうか もう→
常に自分が船頭…
初日やる日が→
いつか来るんだなと
思いながらやってて→
ついに来た時とかは
ホントに寝れなかったですもん。
(
五島さん) 何十年やって来ても毎日が初め→
1回目
1回目のつもりだからさ。
プレッシャーがなかったら
もっと楽なほうばっか→
逃げるんじゃないですか?
言い訳ばっかして。
ホントに…→
言い訳ばっか考えつくんですよ自分でも帰りたい時は。
帰る言い訳ばっかり考えつく
。
「
帰って来んな!」って言います ハハハ…。
「
帰って来んな!」。
<30年以上
水揚げトップを走って来た→
父の背中を追う嘉文さん>
<その まなざしが捉えるのは→
今年も
かに一番漁>
<かつて国が強制した不妊手術>
<なぜ子供を産み育てる尊厳を奪ったのか>
<忌まわしい記憶を
57年間 秘めて来た→
ある夫の告白です>
2018/04/09(月) 00:55〜01:25
読売テレビ1
NNNドキュメント「かに一番漁〜親子をつなぐ操業日誌」[解][字]
越前がにを追って日本海の荒波へ―。福井県三国港で30年以上、水揚げトップを誇る父親とその背中を追う息子。引き継がれた操業日誌。カニ漁にかける親子13年の記録。
詳細情報
出演者
【ナレーション】
磯部弘
番組内容
越前がにの産地 福井県三国港で30年以上、水揚げトップを誇る共栄丸。この船を率いてきたのは、五島精一さん(69)と今シーズンから船長を務める息子の嘉文さん(38)親子です。厳しい自然を相手にした過酷な環境の中、頼りにするのは父から子へ引き継がれた操業日誌です。乗組員の命を預かり、その家族の生活も預かる船長の孤独・・・。カニ漁にかける親子の13年にわたる記録です。
制作
福井放送
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント