(宇海直哉) 今日 部屋あります?予約 お願いします。
総支配人って
すごい人になってみたら→
意外と大変で
向いていないなって…。
(
桜井佐那) 違います。
私にとっては
思い出の詰まった大好きな場所なんです。
(
時貞正雄) バリストンホテル?副支配人!?
ステキなのは箱だけです
この建物だけというか…。
それに
誰だろうと→
ゲストを大事にするのが
ホテルマンじゃないんですか?
私は
この場所を夢の場所にしたいんです。
だから…
。
ここで私達と→
一緒に働いてください。
フッ…
いいですよ。
ここから
また この場所が→
もう一度
夢の場所になれたとしたら→
それは
このホテルの名の通り→
最高の大逆転です
。
(
うなり声のような音)
(
うなり声のような音)
はぁ…
。
絶対
みんな怒ってるな。
あんなこと言われた人に
一緒に働いてくださいって。
自分も
めちゃくちゃ言ったしな。
完全に勢いだった
。(目覚まし時計のアラーム)
≪第三百十七条
旅館宿泊の先取特権→
旅館の宿泊の先取特権は…≫
何?
≪宿泊客が負担すべき
宿泊料および飲食料に関し→
その旅館にある
その宿泊客の手荷物について存在する≫
(
目覚まし時計のアラーム)
(
目覚まし時計:男性)第三百十七条旅館宿泊の先取特権→
旅館の宿泊の先取特権は…
。何? これ。
(
目覚まし時計:男性)宿泊客が負担す…。
あ~!
あ~。
あ…
あの ちが… 違うんです。
あの
これが ずっと鳴っててそれで止めようと思っただけで…。
それ
懸賞で当たった六法全書目覚ましです。
ベルの代わりに
さまざまな条文が流れるんですけど…。
壊れてまして
。
懸賞は
いいですよワクワクします。
あの…
本当に こんな所で寝泊まりするんですか?
はい
私 24時間ホテルに いたいんですよ。
なので
ここに。
あっ
便利ですよすぐ流しもあって→
歯磨きとかも
とても楽で。
はぁ
。
どうぞ
。
あっ
僕 インスタントのダメなんです。
あっ
でも はい 気持ちだけ。
あの~
こんなこと伺うのもあれなんですけど→
バリストンの副支配人を
辞めてまで→
本当にいいんですか?
えっ!?
支配人が頼んだんですよ
。そうなんですけど→
どうして
承諾してくださったのかなって思いまして。
小さい頃
立ち入り禁止の看板ってワクワクしませんでした?
はっ?
いや もちろん入っちゃダメですよ。
禁止なんで
でも想像するんです。
森の小道に掲げられた
立ち入り禁止の看板。
その奥には何があるのか?
友達と話したり夜 寝る前に考えたり。
もしかしたら
クマが相撲を取っているかもしれないし→
一日で大木が
伸び上がってるかもしれない。
すみません
何を言ってるのか分かりません。
このホテルに対する
世間からの評判は今や→
高いお金を払って
行ってはいけない→
ほぼ立ち入り禁止の場所です
ですが その立ち入り禁止の奥が→
実は
ステキな何かが得られる場所だとしたら→
それは最高の夢の場所になる
。
そんな楽しい挑戦は
したことがありません。
ホントに
ここをどうにかしようとしてくれてるんですね。
しかし
最終的に→
このホテルのことを決めるのは→
総支配人の→
あなたです
。
はい
。
なので
あなたがノーと言えば私も従いますので。
分かりました
。
でも私は
あの時→
あなたに懸けてみたいと
思ったんです。
だから…
。
よろしくお願いします
。
フッ…
。
じゃあ
早速ミーティングしましょう。
いや~
楽しみですね。
何せ
このホテルの名前は…。
♪♪~
あの 皆さんあらためて ご紹介いたします。
ここで一緒に働くことになった→
宇海直哉さんです。
よろしくお願いします
。
では
宇海さん お願いします。はい。
では
早速ですが→
まず
人事の発表をさせてもらいます。
人事ですか?
あなたに そんなことを決める権限あるんですか?
まず初めに
時貞さん。
副支配人から
宿泊部主任に降格してもらいます。
はぁ!?
代わりに新しい副支配人は→
私
宇海が務めさせていただきます。
いや
ちょっと待ってください。
私はですね→
佐那さんのお父様が総支配人をされてた時からの…。
で…
。総支配人! ちょっと!
いいんですか?
(梢) ハハハ…!
(
丹沢) 痛っ!ハハハハ!
すいません
。続けます。
調理部ですが
江口さんは料理長から→
スーシェフに戻ってもらいます
。(江口) はっ?
新しい料理長を
鳳来ハルさん お願いします。
(
一同) はぁ!?(ハル) 私ですか?
そうです
。ハルちゃんは→
まだ入ったばかりの
パティシエで…。
はい
でも抜群の味覚センスを持っていますし→
実家は料理屋で
幼い頃から本格的に料理を学んでいると。
いや…
定食屋だよこいつの実家は。
あっ
でも父は優秀なコックでしたよ。
お前…
お前さホテルの総料理長だぞ なぁ。
何年も何年も働いて
やっと たどり着ける→
ポジションなんだよ
いきなり無理に決まってんだろ。
ですかね?
そして 明日から数日間→
このホテルは
閉めさせていただきますので。
(
一同) はぁ?
幸い
団体予約なども入っておりませんし→
この期間を利用して
ハード面の改修をします。
例えば
全室の水栓の取り換え→
2ハンドル混合栓だと
お湯の調整が大変ですので→
サーモスタット混合栓にしたり
。
なので
丹沢さん銀行に追加融資をお願いします。
いや
不可能です!あの 宇海さん→
現在
当ホテルの負債がいくらかご存じですか?
2億7300万円
。
NNF銀行から
借り入れてるんですよね?
借金つくったのは
総支配人のお兄さんだけどね。
大丈夫です
幸い 部屋数も少ないですし→
工事はできる限り
手作業で行いますので。
こう見えて
私水回りは得意なんです。
(
丹沢) あの いえ そういうこと言ってるわけではなくて。
あの
この状況では金額が多少 減少しても→
追加融資なんて
許してくれるはずありません。
では
メーンバンクを変えるという選択肢も考えなくてはですね。
え~!
そんなことはできませんよ!
どうしてですか?
(目覚まし時計のアラーム)
(
目覚まし時計:男性)刑法二編三十八章 横領第二百五十二条→
一
自己の占有する他人の物を横領した者は→
五年以下の懲役に処する
。何だ?
これ
壊れてまして。
どうしたんですか?
そんなに慌てて。
いえ
。
改修をしている間の
皆さんですが→
清掃部は全館の徹底清掃を
。
調理部
サービスはともに発注ルーティンの整理。
時貞さんと枝川さんは
その経過を報告してください。
丹沢さんは
個別に融資金額の相談をします。
大田原さんは特別に
笑顔の練習も。
そして…
。
それは何ですか?
このホテルの宝物です。
これまでの顧客名簿
これを全部 読んでください。
申し送りから感想→
さまざまな情報が入っていますので。
これは
ホテル グランデ・インヴルサの歴史であり→
財産なんです
。
私
いろいろと混乱してます。
え?
もちろん 何か考えがあると信じてますけど。
でも
あんな人事の話をいきなりしかも みんなの前で。
何か問題ありましたっけ?
いや その何というか空気というか 順序というか…。
あっ!
すごいですよ この方。
1か月で7度も訪れてくれてます
。
はぁ~!
朝食 スクランブルエッグだって。
普通です
。
主任に降格って
どういうことだよ!
くそ~!
お前 自分は安泰だったと喜んでるんだろ?
違いますよ
。だったら 何で→
律義に顧客名簿
読んでるんだよ!一応 言われたんで。
はぁ…
。え?
読まなくていいんですか?
副支配人→
いや
宿泊部主任は。わざわざ言い直すな。
読むわけないだろ
。
何が
「このホテルの財産です」だよ!
調子に乗りやがって!
追加融資 どうしましょう?
ダメだったら
メーンバンク変えるって。
そんなことになったら
不自然な金の流れ→
バレちゃうだろ
。ええ。
(
氷を割る音)
な~に
ブツブツ言ってんだよ。
あんなヤツらに
いいようにされっぞ。
分かってます
服部。(服部) はっ!
あっ
ビックリした!何か役に立ちそうな→
情報があったら全部
持って来いいいな?(服部) はっ!
よくないって
よく…。
うわっ!
(阿部) あいつ 初っぱなから相当 かまして来よったな。
(
尚美) あれは反発 出るわね。
ギャ~!
(阿部) どうした!?
あっ!
あんた こんなとこで何してんの?
(ピエール
田中) 終わりです。何? どうしたん?
さっき
見てましたよね?
時貞さんと江口さんが
いきなり降格させられたの。
あの人達
比較的 優秀な扱いだったじゃないですか。
なのに…
。
僕みたいな無能
すぐ解雇されるんですよ。
何?
お前。
さっきので
そんなモード入ってもうたん?
僕
兄弟5人いるんですよ。
3番目が今年
大学受験で→
親からも
お金の工面 頼まれてたのに。
終わりだ
。
終わりました
田中家は。
あっ
あんた 名字 田中だったね。
いや
大丈夫やて。
こんだけ少ない社員や
そう簡単にクビにせぇへんて。
だって
僕 外国人のお客様の前から逃げ出したの→
宇海さんに見られてるんですよ!
さっきだってみんなに業務の指示出してる時→
僕だけ
1人何も言われてないんですよ!
ちょっと
やめてくれや もう!
落ち着いてくれよ
。ふぅ…。
もう
終わりなんです。
(ピエール)
うわ~!
すいません!
サボってないです!
ん~!
う~ 固っ!
う~!
うわ!
はっ!
江口さん 江口さん! 江口さん!(江口) 何だよ?
これ
10年前のなんですけど→
やたら
1つのケーキがおいしかったってコメントが→
出て来るんです
どんなケーキなんですかね?
(
江口) 知らな~い。
あれ?
元気ないですねどうしたんですか?
分かんだろ
お前…。はっ!
思い付いた!
思い付きました~!(江口) ちょ…。
聞けよ
。
(
ドアが開く音)(ハル) 支配人 支配人 支配人…!
幻のケーキを復活させましょう!
えっ?
(
ハル) 書いてあったんですすんごく おいしかったって。
せっかく
準備期間があるんだから→
私
それ作ってみたいんです今は幻になっちゃった→
そのケーキ!
ハルちゃん ちょっと落ち着いて。
今
私が読んでたのにも確かに書いてあった。
昔
お父さんが誕生日に→
持って帰って来てくれたりしてた
ケーキだと思うんだけど。
でも
そんな急には…。
それ
いいアイデアですね。
(
ハル) えっ!?そのケーキを復活させて→
で
プレオープンのイベントをやるんです。
ケーキフェアを
。ケーキフェア?
(
丹沢) うわ! ちょ… あ~。
丹沢さん
プレオープンのイベント行いたいんです。
これまでの
全ての宿泊客に対しての→
告知をお願いします
。え?
また
お金かけるんですか?で 総支配人→
味を知っているのは
支配人だけです。
なので
ハルさんと協力して→
幻のケーキを
復活させてもらえませんか?
でも
子供の頃に食べただけなので。
やりましょう!
佐那さん お願いします!
ケーキフェア!?
何だよ そんな ちんけなアイデア。
これまでの宿泊客
全員に告知しろって。
とにかく失敗させて
あの男を追い出さないと。
よ~し
江口を巻き込むか。
あいつも降格されて
いら立ってるだろうし。
ケーキの味を
落とせばいいんだからさ。
味を落とす?
うん 砂糖と塩を入れ替えたりな。
チンパンジーの…
いたずらじゃないですか。
いいか
今 大事なのは→
俺達が
しっかりと手を組むことだと思うんだよ。
手を組むこと
。何かさ→
俺達さ
こうすっかり悪役みたいな感じだけど。
俺達?
正義は こっち側だろ?
まぁまぁ…
。このホテルで ずっと働いて来た→
プライドがあるわけだから
。まぁ プライドはありますね。
(
梢)だったら徹底的にやらないと。
え?
フッ。
そんな作戦じゃなくて→
私に考えあるから。
さすが
枝川さん。
そうとなったら
味方 増やさないと。
丹沢
服部に他のヤツらの状況を探るよう言っとけ!
分かりました
副支配人…いや 主任。
お前
わざと言ってんだろ。いや 違います…。
(
梢) フフフ…。
フフフ…
。ハハハ…!
(ピエール)
このホテルって意外と給料いいんですよね。
従業員の賃金だけは
落とさないって→
昔からの
しきたりなんだって。
ここ以上の条件なんて
見つからないんですよ。
はぁ…
。
親がポルトガル人ってだけで
親近感 持って応募したけど…。
はぁ…
何だかんだ結構 続いてますし。
(
大田原) ハハハ…!
(ピエール)
おはようございますサ… サボってないです。
支配人
ケーキフェア絶対 成功させましょう!
大田原さん
ほら 仕事!ハハハ…!
(ピエール)
ほら!ハハハ…!
(ピエール)
あっ お疲れさまです。(大田原) ハッハッ!
ハハハ…!
どうですか?うん。
だいぶ近づいてる気がする
。
このホテルのコンセプトが
ポルトガルだということを考えると→
パォン
・デ・ローみたいなもんだと思うんだけどなぁ。
江口さん
何か情報ないですか?
俺は知らねえっての
。
だったら
こんなもん読んでないで→
他のケーキの準備
お願いします!はぁ?
私
この幻のケーキに集中したいんで。
どうしたんですか?
いつもはブツブツ言いながらも→
いろいろやってくれるじゃ
ないですか。
ハルちゃん…
。
ハルちゃん
。何ですか?
江口さん
今は ちょっと…。
えっ
何でですか?
いや
だって 今日…。(ハル) 何でですか?
いじけているんだよ!
俺のプライドはどうなるんだよ? なぁ!
降格させられて
入ったばっかの若いパティシエの→
お前の下に
させられたんだぞ!
俺はな
こんなケーキフェアなんかな→
もう失敗すればいいと思ってる!
江口さん。
なるほど
。
ライオンの親が
子供を谷底に落とすっていうやつですか。
え?
私に対する愛情ですね。
江口さんの
。
すごいね
ハルちゃん。
はぁ…
。
みんな
完全に反発してるな。
こんな状態で
まともに営業なんかできるのかしら?
(
ノック)
はい
。
ちょっといいですか?
どうぞ。
これ見てください
。
プッ!
うぅ… フッ!
創業当時の制服です
。ええ。
ケーキフェアで
これを皆さんに着ていただこうと思っていて。
そうですか
。
宇海さんは
どれを着るんですか?
え?
え?ん?
ん?
あ~ それそれなんです 問題は。
あのですね
私 きちんとした格好をすると…。
すると?
もどしちゃうんです。
はっ?
これ 私の悩みです。
深い悩みなんです
。
そこがホテルマンとして
致命的なんです。
これまで何度も挑みました
でも問題は→
ネクタイなんですよね
あれをすると あ~!
ハァ…
考えただけで気分が悪くなって来る。
でも
前に雑誌のインタビューに載ってた時に→
ネクタイ締めてましたよね?
あれは どうしてもと頼まれて20分だけ。
その後
3日間 寝込みました。
で
ケーキのほうは?
ハルちゃんが
また試作に取り掛かってくれてます。
よし
。
いいですか?
あっ すいませんあと5部屋なんで。
いえ
ケーキの件なんですけど。
出来たんですか?
出来たには出来たのですが…。
何ですか?
これは。
いろいろ調整してるうちに
この量になりました。
全部で30種類!
多分 この中に正解があるとは思うんですけど。
だから
私のデザートの味を見抜いた宇海さんに→
判断してもらおうと
。えっ!
これ全部
食べるんですか?はい! お願いします!
うん
。
うんうん
。
ん~
。
これですか!
うぅ~。
うぅ…
。あぁ!
大丈夫ですか?
副支配人 どうですか?どれが幻のケーキですか?
ん?
胃薬を…。
え~!
分からないんですか?
(
ドアが開く音)
(
ハル) あっ 江口さん。
今
ケーキの試作をしてて もうどれが正解だか分かんなくって。
ポルトガルのお祝いとかで
使うやつなんだろ?
だったら
この卵黄クリームでコーティングされてるやつに→
決まってんじゃねえか
。あ~ 鋭い!
ってか
江口さん 何だかんだ協力してくれるんじゃないですか。
ツンデレ系に
クラスチェンジですか?
あら~
またツン。
見えて来ましたね
佐那さん幻のケーキ!
うん
。
胃薬…
バケツを!
バケツ…
あっ。
それでは
これから3日間ケーキフェアを行います。
清掃部の俺らも
ホール担当なんか?
社員だけで全部やるんだって
何考えてんだか。
え~
支配人が言うので仕方なく→
みんな
こんな格好してますが→
副…
。
副支配…
。
宇海さんは着ないんですか?
制服。
あぁ~!
あっ…。
いや
それがちょっと…。
私は水栓工事のほうも
まだ残ってまして。
事情があって
宇海さんだけはどうしても着られないんです。
え~?
いや それ おかしくないですか?
申し訳ありません!
それだけは それだけはどうしてもダメなんです!
なるほど
命令する側とされる側を分けたということですか。
違います
とにかく皆さんお願いします 頑張りましょう。
(
梢) このイベント 失敗したら→
宇海さんも
総支配人も→
責任取ってくださるんですよね?
え?
いらっしゃいませ
。いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ
お待ちしておりました。
お待ちしておりました
。いらっしゃいませ。
おま…
おま…お待たせいたしました。
ハァ…
ハァ…。
(
女性) すみません。はい… はい。
これは
どんなケーキなんですか?
えっと
これは 三角の… 黒い…。(女性) ええ…。
(
服部) こちらでございます。わぁ!
あっ!
すいませんえっと 1300円になります。
あれ?
ちょっと待って これ…。
あっ
また出た… ちょっ!
(
服部) お待たせいたしました。
江口さん
ちゃんとやってくれたんですかね?
俺達には分からないよ
。
塩と砂糖の
入れ替えじゃないんだよ?
絶妙にケーキを
まずくするというプロの技だよ。
どんなプロですか
それ。
ピエールにも
脅し かけといたから→
ビビって何か
やらかすぞ 絶対。
あいつ
ホントいないなぁどういうつもりだよ。
宇海さんですか?
あと ふた部屋で完成だって→
元気に
水栓 替えに行ってましたよ。
副支配人が自ら水栓工事って
どんなホテルだよ。
俺達に
こんな衣装 着せてイベントやらせといて…。
だけど
結構似合ってますよ副… いや 主任は。
うるせぇ!
お前 着ないのかよ。
私は事務側の人間ですから
。
(
梢) こちらの席になります。
では
よろしくお願いいたします。
(
牧田) よろしく。
えっ
誰?(丹沢) 知らないんですか?
牧田浩二さんっていう
ホテル専門の評論家をやってる有名な方です。
(
梢) 私が呼んだの。
あぁ!
3日間 今回のケーキフェアの密着記事を書いてもらうために。
え~?
どういうこと?
伝えたら
あの男も支配人も喜んでた。
本当の意味も知らずに
。
フッハッハッハ…!
あの人 「ホテル潰しの牧田」って呼ばれてますからね。
評価
厳しいしあの人に記事を書かれたら→
大体どのホテルも
一気に評価が落ちるんです。
よく見てください
鷹のような目をしてますから。
ハルちゃん
ケーキ 評判いいみたいよ。
はい
。
けど
大丈夫でしたかね?
ちゃんと幻のケーキが出来てるか
分かんなくて。
あっ
そういえば あのケーキの名前オリージェンにしたんですね。
うん
ポルトガル語で原点っていうような意味なの。
へぇ~
。
なるほど~
。
(ピエール)
お待たせいたしました。
いらっしゃいませ
何名様ですか?
(
茜)1人なんですけど ダメですか?
あっ
いえいえ とんでもないです。
こちらへ
どうぞ。
こちらのメニューから
ご注文ください。
どんなケーキか分からない
ようでしたら あちらのショーケース…。
このオリージェンっていう
ケーキをお願いします。
かしこまりました
。
ラスト1個!
あっ 何するんですか!
何やねん
これラストなんやろ?俺の客に出してええやろ?
はぁ?
頼むわ。
見ろ
。
いや
ダメですって。何がやねん 貸せ。
ダメです!
貸せ!
僕のお客様…!
(阿部) お前のとこ断って来い!
ダメです!
あっ あ~!
え~?
あ~!
あぁ~!
申し訳ございません。
こちらが
最後のオリージェンでして…。
明日また来ます
。
んあぁ…
。
う~ん…
。
お疲れさまです
。
ピエールさん
あんまり気にしないでくださいね。
あ~!!
あぁ!
支配人!
サボってないです!
明日は
ちゃんとしますのでホントに!
はい
。すいませんです!
いらっしゃいませ
お待ちしておりました。
いらっしゃいませ
お待ちしておりました。
本日も順調そうですね
。
お待たせいたしました
。
(
茜) オリージェン1つ お願いします。(大田原) 申し訳ありません。
オリージェンは
もう終わっておりまして。
そうですか
。
あの~
ちょ… あの少々お待ちください。
お待たせいたしました
オリージェンでございます。
昨日は失礼しました
。
(
茜) こちらこそ。
まだ残ってたんですね
。
実は
そっと隠して取っておいたんです。
えっ?
ありがとうございます。
いえいえ
。
どうぞ
。
(
茜の泣き声)(ピエール) えっ?
どうしました?
(茜の泣き声)
(
茜) 何でもありません…。
すいません
。
はっ?
あら。ん? どうした?
あの女子高生のコ
泣いてるみたいですね。
おいおい
ピエール。
何をしてくれたんだ?
えぇ?
牧田さん
すごい見てるなぁ。
見てるな~
。
いかがなさいましたか?
ごめんなさい ご迷惑掛けて。
もう帰りますから
。え?
来なきゃよかったんです
ホントにすいません。
いや
あの…!
(
茜) 熱い!あ~! すいません!
大丈夫ですか?
大丈夫です ホントにすいません。
お願いします
。はい あっ!
お願いします
あぁ…。
すごいな!
あんなピタゴラ的なオマケまで…。
これは記事にしやすいですね~
。
お客様
。
あの…
本当に申し訳ありませんでした。
せめて
クリーニング代だけでも。
いや
大丈夫です。
逆に
お騒がせしてすいませんでした。
いえ
そんな…。
明日まで
やってるんですよね?このケーキフェア。
ねぇ?
はい。
じゃあ
まだ食べるチャンスありますよ。
いや
でも…。すっごい おいしいですよ。
僕なんて
30個ぐらい食べましたし。
はぁ…
。
明日はステキな笑顔で
食べられますから 絶対。
ねっ?
え?
はい
明日も お待ちしております。
失礼します
。
ん?
ピエールさん今日のイベントが終わったら→
ちょっと支配人室まで
お越しいただけますか?
えぇ?
分かりました。
終わりだ…
。
宇海さん
ピエールさんを呼び出して→
何を言うつもりか
分かりませんけど→
もし
ミスをとがめるのだとしたら→
宇海さんや私にも
問題があると思います。
え?
もう少し 従業員の皆さんの気持ちも考えていただかないと。
私達が考えなければいけないのは
誰のことなんでしょうかね。
(
秒を刻む音)あっ 直った。
(
ノック)どうぞ。
あっ
宇海さん ちょっと待って宇海さん ちょっと待って…。
ちょっと話がありまして!
何でしょうか?
気になりますよね?
へっ?
どうしてケーキを見て
泣いていたんでしょうか。
あのお客様
。
え?
あの 僕の話じゃ…?
でも
ここからがホテルマンの醍醐味です。
醍醐味?
今日 悲しんでいた方を 明日はどうしたら笑顔にできるのか→
それを考えさせて
もらえるんですから。
気になりますよね?
ピエールさんも。
ええ…
はい。
じゃあ
一緒に考えましょ。はっ?
人間
背伸びして見せても隅で小さく縮こまっていても→
結局は何も変わらないんです
。
なら
今 精いっぱいできることで楽しいことを探しましょう。
おっしゃっていることは
分かりました。
でも
宇海さん あのお客様に明日は絶対 笑顔で→
…って言ってましたけど
その方法は?
これから探すんです
。
でも
明日来てくれるという保証も…。
だったら
それでいいじゃないですか。
私達にできるのは
お客様が来てくださった時の→
準備だけですから
。
あのケーキがあったのは
10年ほど前までです。
今
高校生ですから とにかくそのあたりのことを調べましょう。
幸い
今回のフェアを告知したのは→
以前
来てくださったお客様だけです。
ということは…
。
これの出番です
。
♪♪~
条件に当てはまるのはこの3つですよね。
(ピエール)
はいでも幼少時代の情報なので→
どなたか分からないですね
。
あっ!
どうしたんですか?
私
最初にこの名簿を見てた時に→
但馬様のページを見たんです
。
で
ここに書いてあるじゃないですか。
「
娘の茜さん 小学校入学の年に誕生祝い」って。
はい
。
私と同じ小学校だなと
思ったんです。
高校まである
付属小学校で。
それが
どうかしたんですか?
彼女
その高校の制服を着てたんです。
お~!
ファインプレーです 支配人。
あの方
但馬 茜さんですね。はい。
でも
だとしたら 誕生祝いの楽しい思い出のはずなのに→
どうして泣いたんでしょうね?
他の年にもいらしてるかもしれませんから→
調べましょう
。はい。
(
いびき)
(
あくび)(いびき)
(
梢) あ~ ○△□×☆※…フフフ…。
うわ~!
はぁ… 何?
お疲れさまです
。枝川さん まだいらしたんですか。
飲んでただけだけど
。
何やってんの?
あの今日の高校生のことを調べてるんです。
あっ…
ご苦労さまね~。
何か知りませんか?
知るわけないでしょ。
それに→
知ってても教えるわけないじゃない。
え?
どうしてですか?
あなた達が嫌いだから~
。
ん~
。
悲しいですね
。
そして
残念です。(梢) ん?
いや
例えば サッカーの選手。
世界のトップチームの人達も
結構 仲悪いらしいんですよ。
それが原因で
移籍までしちゃったり。
でも
嫌いな人でもその人がゴールを決めたら→
みんなで喜ぶんです
。
ホテルマンも
同じじゃないですかね。
たとえ
裏でどんな嫌なことがあっても→
お客様の前という
ピッチに立ったら→
一番の笑顔で協力する
ゴールは1つ。
お客様がステキな日だったと
思えれば それでいい。
誰の活躍でも
。
佐那さんのお父さん
昔の支配人は→
そういう方だった
って聞いてますけどね。
あっ…
。
何か
すいません。
あんた→
その名簿が このホテルの財産だって言ったけど→
もう一つ
見逃してるから。
え?
桜井さんがず~っと大切にしてたものは→
他にもあった
。
♪♪~
あんたが支配人と同じ例えをしたから。
あぁ
ちなみに桜井さんは野球選手だったけど。
♪♪~
あぁ。
これだ
。(ドアが開く音)
あ~!
お客様からのお礼状ですか。
はい
父は支配人時代→
お客様から頂いた
このお礼状をとても大事にしてました。
宇海さんと同じように
宝物だと言って。
♪♪~
全員集合って 俺らだけやん。
すいません
。
夜中だったので
連絡ついた方だけで。
何や
それ。で その但馬 茜ってコ→
ホントに
お礼状なんか出してんの?
いや
分かりません。
でも
あれば 彼女のことがもっと分かると思うんですよ。
あっ!
あと1時間しかない!
あっ
ねぇ これ見て。(阿部) ん?
「
掃除が行き届いてて…」って書いてある。
(
阿部) え? ちょっと…。
あれ?
これ見て。
俺ら働いてからやから
俺らのことちゃう?
ああ
うん。
ハハハ!
これ笑うね。
「
フロントの人 顔 怖いけど親切でした」。
(
2人) ハハハ…。
笑うてるやん
。
お~い
何してるんだよ。
すいません
今 但馬 茜っていうコのお礼状 捜してて。
はぁ?
この量から捜すって…。
またバカなことを
。
蒸すな~
。
ふぅ~
。
あ~
疲れた。
あれ…
今 何か隠しませんでした?
え?
別に。
じゃあ
最終チェックさ俺しとくからさ。
大田原さん!
(大田原) はい。
失礼します
。何してるんだよ!
俺を裏切るのか?
(ピエール) 裏切るとか ないですよ!
あっ
あれ… 痛い 折れる 折れるあっ こら!
おい!
ごめんなさいギブ… ギブ…。
ギブ…
。
はぁ…
そっか。
そうだったのか
。
これは…
。
私の得意分野ですね
。
いらっしゃいませ
。いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ
。
(
阿部) お待たせいたしました。
ソレイユショコラでございます
。
(
尚美) ロールケーキが450円。
950円になります
。
♪♪~
ありがとうございました。
間もなく閉店ですね
。
はい
。
やっぱり
いらっしゃらないんですかね?
あっ!
いらっしゃいませ。いらっしゃいませ。
すいません
学校が終わるの遅くなってしまって。
待ってると
言ってくださったので→
来てしまいました
。
うれしいです
。
オリージェンですよね?
はい。
どうぞ
。(茜) はい。
こちらのお席で
よろしいでしょうか?
あっ
はい。
お待たせいたしました
。
オリージェンでございます
。
どうぞ
。
おめでとうございます
但馬 茜様。
♪♪~
あの日 ここで誕生日を祝ってもらったんです。
ちょうど
この席で。
お父さんとお母さんと3人で→
おいしい おいしいって言って食べて。
それから半年後でした
。
両親が事故で亡くなったのは
。
あの
総支配人さんは?
私です
。え?
あの
私が知ってるのは桜井 剛さんという男の方で。
私の両親のことを知って→
毎年 誕生日に手紙のやりとりをさせていただく…。
父です
。
5か月前に亡くなりました
。
よろしければ→
私が送らせていただきますこれからは。
ありがとうございます
。
(
大田原:阿部)♪~ ハッピーバースデートゥーユー
(
4人)♪~ ハッピーバースデートゥーユー
♪~
ハッピーバースデーディア 茜様
♪~
ハッピーバースデートゥーユー
(
クラッカーの音)パ~ン!
(
拍手)
♪♪~
♪♪~
同じだ…
。
お誕生日
そしてご入学→
おめでとうございます
。
お礼状に
書いていただいておりました。
9年前
当ホテルのスタッフが→
お誕生日と一緒に
小学校のご入学を→
お祝いさせていただきました
。
なので
その頃と同じように。
えっ
。
今年の4月からですよね?
高校生になられたの。
やっぱり
お父さんが言ってた通りだ。
いっつも
このホテルのこと自慢してたんです。
まるで
家族みたいにしてくれるって。
温かく迎えてくれるって
。
高校生になったので→
もう一回 家族に会いたいと思って来たんです。
このケーキを食べて
勇気をもらおうって。
私のこと
こんなにも考えてくださって→
本当に
ありがとうございます。
いつでもお越しください
お待ちしてます。
(
阿部) せ~の。
(
一同)♪~ ハッピーバースデートゥーユー
♪~
ハッピーバースデートゥーユー
♪~
ハッピーバースデーご入学おめでとう
♪~
ハッピーバースデートゥーユー
♪~
ハッピーバースデートゥーユー
♪♪~
おいおい 何だ?あのいいこと起きてる感は。
泣いてますけど→
あれは絶対昨日とは意味合いが違いますね。
江口のほうは
どうだったんだよ?
確認したら
怒鳴られました。
料理人としてのプライドは
まだ残ってるんだそうです。
チョコクリームののった
限定ケーキも→
本日大好評
。まぁいい。
牧田さんが昨日の件で
下げ記事 書いてくれるだろ。
それが…
。
宇海さんが
楽しいことが起きるからって→
残っていただいたそうです
。
鷹の目に涙?
ハァ… ハァ…。
(
丹沢)でもどうして お礼状なんて捜してたんでしょうね?
(
一同)≪♪~ ハッピーバースデートゥーユー≫
≪♪~
ハッピーバースデートゥーユー≫
(
ドアが開く音)
(
ハル)はぁ~! 終わった~ 終わった!
江口さん
3日間ありがとうございました!
お疲れ
ほれ。
最後の但馬さんって客が
お礼状くれたぞ。
その場で書いて
。
オリージェン
9年前の思い出の味と全く一緒だったってさ。
よかったな
。
ん?
フフ 当ったり前じゃないですか!
はい?
だって私 天才ですから!
お前
すごいな。
(
ドアの開閉音)
よし
。
ねぇ
お父さん→
間違ってなかった
ってことだよね?
まぁ
変な人ではあるけど信じていい気がする。
(
ノック)はい。
呼ばれました?
これを。
えっ!
これはたらく車目覚ましの応募はが…。
えっ!
シール全部貼ってあるじゃないですか!
ええ
お礼です。おぉ~!
オッシャ~!
は~!
これ
知ってます?形は乗用車なんですけど→
計31種類のはたらく車の
音声が入ってまして。
ひと月全部
違う音色で起きられるというやつでして。
はぁ…
。
懸賞好きだったんですね
支配人も。
は?
ちょっと待ってくださいね。
今
すごい懸賞 募集してますから。
あっ
いや 全然違うんです…。
えっと…
どれだっけな…?
ロバの…
。
2018/04/22(日) 22:30〜23:25
読売テレビ1
崖っぷちホテル!#02[解][字][デ]
ついに始まる、崖っぷちホテルの大改革!その第一弾は、まさかの人事異動に、幻のケーキの復活!?破天荒に始まった小さなケーキフェアはやがて大きな奇跡に……。
詳細情報
出演者
岩田剛典
戸田恵梨香
浜辺美波
中村倫也
くっきー(野性爆弾)
チャド・マレーン
佐伯大地
鈴木浩介
西尾まり
宮川大輔
りょう
渡辺いっけい
番組内容
ホテル・グランデインヴルサに訪れた謎の客:宇海直哉(岩田剛典)が支配人の佐那(戸田恵梨香)の申し出により、ホテルマンの一員に。彼が起こす大革命に期待を寄せる中、宇海が最初に言い出したのは、なんとまさかの人事異動。降格処分をくらった時貞(渡辺いっけい)と江口(中村倫也)は猛反発をするが、宇海は気にすることもなく、かつてこのホテルに存在した「幻のケーキ」を復活し、ケーキフェアを行うことを提案して……
監督・演出
【演出】
猪股隆一
原作・脚本
【脚本】
土田英生
音楽
松本晃彦
【テーマソング】
「Strangers In The Night」フランク・シナトラ
制作
【プロデューサー】
福井雄太
柳内久仁子
【製作著作】
日本テレビ
【制作協力】
AXON
番組ホームページ
【HP】
http://www.ntv.co.jp/gakehote/
【Twitter】
@gakehote2018
【インスタグラム】
gakehote_ntv
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ