2年前、19人もの命が奪われた障害者殺傷事件。
その直後の映像です。
一矢≫うー!
首などを刺され
心身ともに深く傷ついた男性。
一矢≫うー!
今、家族のもとで大きな変化が生まれ始めています。
和己≫行こうぜ!
私たちは事件のあと
当事者や家族の姿を
記録してきました。
見えてきたのは、一人一人が
一歩を踏み出そうとする姿です。
相模原市の
津久井やまゆり園で起きた事件。
元職員の植松聖被告は
「意思疎通のできない人間は生きる価値がない」という
身勝手な理由で命を奪いました。
拘置所で裁判を待つ植松被告。
自分を批判する人などに向けて
300通を超える手紙や手記を発信しています。
「生産能力のない者を支える
余裕は、この国にはない」。
主張を広めようとしているのです。
社会が事件を乗り越えるカギを探ろうと植松被告と
直接、面会する人も出てきました。
重い障害のある娘を育ててきた
社会学者。
獄中の被告から
突然、挑発的な手紙を
送りつけられました。
障害者殺傷事件が突きつけた
いくつもの問い。
この社会で
ともに生きようと模索する人々
2年の記録です。
事件直後から
新聞やインターネットで
発言を続けてきた
社会学者の最首悟さんです。
娘の星子さんはダウン症で重度の知的障害があります。
夫婦は40年にわたって
星子さんを自宅で介護してきました。
最首さんは新聞の論評で
植松被告は社会が作り出した病だと
指摘していました。
経済的に役に立つかどうかだけで人を判断する
行き過ぎた合理主義の風潮を
感じ取ったからです。
ことし4月、最首さんのもとに
論評を読んだ植松被告から
突然、手紙が届きました。
19人を殺害し裁判を控える植松被告。
拘置所で新聞記事や本を読み
自分の考えを否定する人やメディアに対し
手紙を送り続けています。
最首さんは植松被告が作り出したという
あることばに目を留めました。
「心失者(しんしつしゃ)」。
意思疎通ができない人は
心を失っていると決めつけていたのです。
娘の星子さんは、これまで
ことばを話したことは
ないといいます。
それでも海や公園に連れていくと
豊かな表情を見せてくれました。
最近、外出する機会が減り
表情の変化を読み取ることは
難しくなりました。
夫婦は星子さんの
ちょっとしたしぐさや声から心の内を感じ取ろうとしています。
事件から2年となる今月。
最首さんは植松被告からの手紙を受けて
拘置所で直接話すことにしました。
接見で植松被告は淡々とした口調で批判しました。
最首さんは主張を変えない
植松被告に語りかけました。
手紙を書くにあたり
最首さんの念頭にあったのは植松被告だけではありません。
ネット上に今なお存在する
植松被告のことばに同調する声。
社会に潜む、そうした声にこそ
自分が感じてきたことを伝えたい。
最首さんは
植松被告への手紙の内容を公表するつもりです。
なぜ
19人を殺害するに至ったのか。
NHKは
植松被告に接見を繰り返し
それを探ってきました。
2年前の7月26日未明
植松被告は車で乗りつけ
かつて働いていた施設に侵入しました。
狙われた津久井やまゆり園には
当時、およそ150人が入所していました。
植松被告は
入所者が眠る部屋を回り
意思疎通ができないとみると
刃物で次々と刺していきました。
無残に命を奪われた