2018/08/19(日) 13:50〜15:00 あの日 あのとき あの番組・選「火星 大接近!〜宇宙の謎に迫る〜」[字]
特有の波形を示します。
この波形が いわば
岩石の指紋になるのです。
赤外線観測装置を使えば→
直接触れなくても 指紋である波形を照合するだけで→
それが何という岩石なのかが
分かるのです。
火星の周囲を回る…
この火星探査衛星にもクリステンセン博士の開発した→
高性能の赤外線観測装置が
搭載されていました。
1998年1月の事でした。
衛星から送られてくるデータを見ていると→
これまで見た岩石の波形とは
似ても似つかないものを→
発見したんです。
火星によくある 溶岩が固まって出来た岩石でない事だけは→
分かりました。
私は とても興奮しながら→
それから数か月をかけて→
その波形が どんな岩石なのか調べていきました。
博士は 300種類を超える
岩石の波形を集め→
一致するものを探していきました。
その結果火星で観測された波形は→
地球上にある
ヘマタイトという岩石の波形と→
ぴったり一致したのです。
博士は 火星のほかの場所にもこのヘマタイトがあるかどうか→
赤外線で 徹底的に調べました。
しかしヘマタイトが見つかったのは→
メリディアニ
ただ一か所だけだったのです。
メリディアニに
ヘマタイトを発見。
この報告は 世界中の
火星の研究者を驚かせました。
なぜ ヘマタイトの発見が→
それほど大きな意味を持つのでしょうか?
数十mも噴き上げる間欠泉や
高温の水の湧き出る温泉など→
地下のマグマの熱で
温められた水が→
独特の景観をつくり出しています。
地質学者の…
博士は イエローストーンのような
環境が→
太古のメリディアニにも
あったのではないかと→
考えています。
博士が特に注目しているのが→
この さほど大きくない泉です。
赤黒い色から チョコレートポットと呼ばれています。
鉄分を大量に含んだ 熱い水が→
地下深くから湧き上がり酸素と反応し→
この赤黒い沈殿物を
つくり出しているのです。
こうして出来る岩石が…
ヘマタイトはこの場所を見ても分かるように→
地球上では 水と熱がある環境で
出来るものです。
火星に ヘマタイトがあった
という事は→
火星にも この水と熱という環境が
かつて あった→
可能性が高いのです。
博士は この水と熱のある環境こそが→
生命発見の可能性が最も高い
環境だと考えています。
実際 博士は これまでの調査で→
チョコレートポットにある石の中に→
バクテリアがいる事を
確認しています。
火星に 水と熱が共にある
環境があったのなら→
化石などの生命の痕跡が
残っているかもしれません。
火星で 太古の生命を発見できる
可能性があるのです。
だからこそ 火星に
ヘマタイトを発見した事に→
大いに興奮しているのです。
これは ローバーが立体パノラマカメラで→
実際に撮られた写真を基に
再現した→
メリディアニの様子です。
先生 これ 先ほどのグセフクレーターと比べると→
表面の色も違いますよね。
それから 私たちの足元には→
ほとんど
石が見当たらないですね。
あまりの 石の少なさに→
NASAの科学者たちも皆 驚いたそうですね。
あ~ そうなんですか!
はい。
これまで見た事のある
火星の表面とは全く違う風景が→
ここ メリディアニには
広がっていたんですね。
はい… さあ この中に 問題の