2018/08/27(月) 22:25〜23:10 プロフェッショナル 仕事の流儀「撮って、僕らのこころ〜昆虫写真家・栗林慧〜」[解][字]

国民のための政策が一部のものの
食い物になっていないかという疑
念に、国はしっかり応える必要が
あると思います。
(エンジン音)
大型三輪バイクで疾走する 79歳。
その正体は世界に名を轟かせる写真家。
撮るのは 人でもなければ
風景でもない。
小さな命に
温かな まなざしを注ぐ。
(シャッター音)
今にも 虫たちの声が聞こえてきそうな写真は→
世界で絶賛。
「虫嫌い」をも 一瞬で変える。
♪♪~(主題歌)
♪♪~
情熱を失いかけた 40代。
道を示してくれたのはアリだった。
初夏 夜空を乱舞するホタル。
生涯最高の一枚をねらった。
だが…。
(栗林)おっとっと!
老いと向き合いながら虫を追う。
永遠の「昆虫少年」に密着。
九州 長崎の北に浮かぶ 九十九島。
その更に 北に位置する平戸市。
栗林の自宅は
うっそうとした森の中にある。
その暮らしは 寝ても覚めても


昆虫漬けだった。
起きるやいなや 自宅の工房へ。
とりこになっている虫がいた。
栗林は無類のアリ好き。
クロオオアリは特に珍しいアリではないが→
子育てを観察するため
1週間前から飼育しているという。
(シャッター音)
母親が 卵を優しくくわえる瞬間を切り取った。
その頭からは 片ときも
虫たちが離れる事はない。
ありふれた蛾ですらも
栗林にとっては モデルとなる。
栗林の写真は 国際的な賞を
数々 獲得してきた。
その理由は 虫たちの
何気ない一瞬をとらえる→
独自のまなざしにある。
例えば ヘッピリムシのおならを世界で初めて→
超高速シャッターで
とらえた一枚。
2種類のガスを組み合わせ→
100度を超える高熱を生み出す仕組みが ロケットに似ていると→
アメリカのNASAから
問い合わせが入った。
気温が上がり
昆虫が活発に動きだす頃→
栗林も家を出た。
やって来たのは自宅から車で5分の昆虫自然園。
遠くに行かなくとも


身近なところに→
写すべき虫は いくらでもいると
栗林は言う。
ねらうのは
ごくありふれた虫たちの日常だ。
バッタの仲間 キリギリスが
ひなたぼっこをしていた。
だが バッタは触角が長く→
昆虫の中でも特に警戒心が強いという。
それでも 栗林には
秘密兵器がある。
20年前 自ら考案した…
撮影が始まった。
嫌がられる距離を探りながら→
じりじりとレンズを近づけていく。
また 虫を探し始めた。
草むらの奥に 体長5センチほどの大きなバッタを見つけた。
5分以上かけて
距離3センチまで近づいた。
(栗林)フフフ。
とらえた。
(シャッター音)
栗林にとって 虫たちはただの被写体ではない。
彼らを こう表す。
だが いくら友だちだといっても相手は昆虫。
思いどおりにいかない事のほうが
圧倒的に多い。
そんな時 栗林は
驚くほど動じない。
なんと 草むらで まどろみ始めた。

そんな栗林の目には 貴重な瞬間が次々 飛び込んでくる。
この日は 町外れの農道で→
チョウの一種ルリシジミに出会った。
湿った土から
水や栄養を補給する→
めったに見られない光景だ。
早速 虫の目レンズで迫る。
(シャッター音)
ストローのような口で→
水を吸う姿をとらえた。