＜何て工夫のないいたずら書きだろう＞
見つからないうちに
元通りにしまっておこう。
ヒック ヒック。
ふう…。これで ちょっとは 気が晴れた。
ちょっとだけね。 ヒック ヒック。
＜「ヒック ヒック」って これじゃ気の小さい酔っぱらいである＞
＜翌朝＞
じゃあね いってきます。
あ～ 寒い。
あっ サザンカが咲いてる。
今日 咲いたのか。
《いつ咲くかね》《ねえ》
（まる子・さきこの笑い声）
《お姉ちゃんもちゃんと見たかな》
うっ…。
フンだ。 見ても見なくてもどっちでもいいけどさ。
（たまえ）まるちゃん
カワイイ カーディガン 着てるね。
あっ これ？
お姉ちゃんのお古だよ。
いいな お姉さんがいて。
えっ 全然よくないよ。
だって 一緒に遊べるし 優しいし。
ちっとも。昨日だって 大ゲンカしてさ。
でも
それって お姉さんが悪かったの？
あっ… ねえ…。
フフフフ…。
ハァ…。
あっ。
《お姉ちゃん 走ってる》
《頑張れ》
《あっ！》
≪（戸川）さくらさん。はい。
（戸川）よそ見してちゃ駄目ですよ。次の所から 読んでください。
えっと…どこから読むのか分かりません…。
《お姉ちゃん 大丈夫かな》
ただいま。
お母さん お姉ちゃんは？
もう帰ってるよ。 部屋にいるけど。
また ケンカするんじゃないのよ。
お姉ちゃん。んっ？
見たよ 今日 転んだでしょ
どじだね。
何よ そんなこと
わざわざ言わなくてもいいでしょ。
嫌な子ね。
まる子を置いて→
先に
学校 行っちゃったりするから→
罰が当たったんだよ。
一緒に サザンカ 咲いたの見たかったのに…。
あっ…。
《まる子…》
フン。
ウフ。あした 一緒に サザンカ 見よう。
あしたも咲いてるか どうか
分かんないよ。
エヘヘヘ。 知らないよ まる子は。
実はね まる子に内緒でマフラー 編んでいたの。
えっ？
楽しみにしていてね。
うん。
（たまえ）《いいな まるちゃんはお姉さんがいて》
《一緒に遊べるし 優しいし》
＜そして 数週間後＞
はい まる子にプレゼント。
マフラーと これも。
わ～い！
《あっ あのノート…》
まる子 そのノート
すごく欲しそうだったから→
あげる。
あっ そう…。
＜まる子は
あのとき書いた この名前が→
自分に ぴったりだと思った＞
どうもありがとう…。
お母さん お母さん。
ちょっと どこにいるのかなお～い！
お～い おかあ
いないの？ お～い！
お母さん 今 留守だよ。
えっ いないのか。
どうしたんじゃ？
おじいちゃんに話してごらん。
あのね
あした 学校で 工作があって→
空き箱がいるんだよ。
空き箱？
よいしょ。 空き箱 空き箱。
お～ ちょうどいいのがあるぞ。
まる子の赤ちゃんのとき使ってた
おもちゃもあるよ。
あれ？ この下の段の箱は 何？
畳みたいので できてるね。
これか？
こりゃ つづらじゃよ つづら。
つづら？ つづらって→