>>実は、
アドベンチャーワールドは、
野生パンダが生息する中国・成都にあるジャイアントパンダ繁殖研
究基地の日本支部。
出産時期が近づくと、
成都から経験豊富な飼育員が、
出産や赤ちゃんの飼育を手伝いに来てくれる。
>>これ、
ホルモンのグラフだけお渡ししておきます。
今の様子とかからして、
生まれるのが8月、
最短で10日ぐらい、
遅くて18ぐらいには出てくるんじゃないかなと考えていますね。
>>私たちの考えも、皆さんとほ
ぼ同じです。
>>パンダの出産において、一番
の心配事。
それは、
妊娠しているかどうかは生まれてみないと分からないということだ。
まず、
赤ちゃんが100グラムから200グラムと、
非常に小さく生まれてくるため、
人間と違っておなかが大きくならない。
パンダに近寄るのも危険なため、
エコー検査をすることも難しいんだって。
さらに。
>>パンダには偽妊娠というものがあるので、
必ず妊娠していると言い切れない
んです。
>>実際には妊娠していなくても、
妊娠と同じような行動や現象が見られる、
偽妊娠の場合もあるのだ。
>>生まれてみないと、
パンダは分からないという形なの
で、まだいないかもしれないし、
いたらいいなという感じです。
>>きたるべき時のために、ただただ備えるしかないってことね。
この日は、
一日中、落ち着きのない良浜。
おりの中をうろつく様子が目立っ
てきた。
>>ちょっと症状、出てきたかな。
>>ああなるともうちょっと?>>ああなると、もうちょっと。
>>もうちょっとかぁと思って。
日中?
>>時間帯は分かんないけど、
これからさらにうろうろってし始めてから、
さらに24時間とか。
>>まだ24時間前ではない?
>>今晩っていうことはないと思
うね。
>>きょうは帰りますか。
>>良浜は人間で言うと50代前半。
高齢になると、兆候が急に表れ、
出産が早まる可能性もある。
いつ赤ちゃんが生まれてきてもい
いように、24時間態勢で見守る
飼育スタッフ。
今夜も徹夜で大変ね。
夜中の1時から朝まで起き続けて
いる良浜。
頻繁に鳴いたり、生殖器をなめる
様子が見られる。
>>初鳴きはだいぶ前なんですけ
ど、
頻繁に鳴き始めたのが今さっきか
ら。
あと4時間から12時間ですね。
昼過ぎから夜にかけて。
>>お産が順調に進んでいるよう
に見えた、そのやさき。
今まで見たことのない赤い粘液が。
>>中国の成都に連絡して。もしかしたら赤い粘液は、
良浜にとっては初めてなんです。
中国ではあることだって言うんですけど、
可能性として死産、
流産も考えられる。>>その可能性はやっぱりあるね
ん。
>>朝とは打って変わって、ぐっ
たりした様子で眠ってしまった。
初めての事態に戸惑うスタッフ。
良浜は一体どうしてしまったのか。
>>中に入ってるのも最低限にして、休ませてやってよ。
>>ね。
>>ひとまず、
良浜を落ち着かせることが最優先。
夜勤のスタッフ1人を残して、
引き揚げることに。
出産は厳しいかもしれない。
チーム内に諦めムードが漂ってい
た。
しかし、
数時間後、
その時は突然、
訪れた。
スタッフたちが帰宅したあと、
良浜に急に兆候が表れ、そのまま出産を迎えたのだ。
>>もう瞬間だったんですよ。
変な声が聞こえまして、
まさかと思った瞬間、