2018/09/09(日) 21:00〜21:50 NHKスペシャル「緊急報告 北海道激震」[字]


高橋≫北海道を襲った激しい揺れ。
発生から4日目の夜を迎えました。

身近な自然が、見慣れた住宅街が全く姿を変えてしまった
その衝撃は計り知れません。
私も赤松さんも北海道の出身ですけれども
本当に驚きました。
赤松≫驚きましたし
心配になりました。
そして、7月に起きた
西日本豪雨では
死者・行方不明者が230人。
つい先日の台風21号では
関西空港が機能不全に陥るなど
今、想定外ともいえる災害が
続いています。
そうした中で、今回
震度7の揺れを観測する地震が
北海道で初めて発生しました。
高橋≫今回もこれまでにない広範囲の土砂崩れと
大停電の被害が


引き起こされました。
なぜこうした災害が頻発するのか。
私たちを襲う災害は
新しいステージに
入ったのではないか。
取材を進めると
異常気象によって降る大雨と
地震が重なることで起こる
新たなリスクが
明らかになってきました。
≫きのう、新たに撮影された土砂災害現場の映像です。
山が尾根だけを残して
あらゆる方向に崩れ落ちています。
これだけ大規模な土砂崩れが
一体、どんな揺れによって
引き起こされたのでしょうか?
東京大学の古村孝志さんです。
今回、土砂災害を引き起こした
地震の揺れには
大きな特徴があることを
突き止めました。
山沿いのエリアで観測された
地震の波形。
激しい振動が1秒間に
2回以上も繰り返し襲ってくる
極短周期と呼ばれる
特徴的な揺れです。
しかも、その揺れの連打は
20秒近くも続いていました。
≫被害が深刻だった

厚真町周辺を襲ったのは
山の斜面全体を突き動かすような
小刻みで激しい揺れだったのです。
さらに、現地で行われた
地質調査から、被害を拡大させた
もう一つの要因が見えてきました。
北海道の土砂災害を専門に研究する石丸聡さんです。
きのう、これまで
調査できなかったエリアに
初めて入りました。
斜面をよく見ると崩れた部分には色の異なる土砂があります。
≫この周辺には、樽前山など
複数の火山があります。
はるか昔から噴火を繰り返し
大量の火山灰を
一帯に降り積もらせてきました。
今回、崩れた山肌を覆っていたのは
こうした火山灰の層です。
石丸さんが注目した土砂災害を拡大させる
もう一つの要因。
それは、火山灰の中から見つかりました。
≫ハロイサイトとは
表面を覆う火山灰が風化した
粘土状の物質です。
水を含むとぬめりを帯びた状態になります。
石丸さんが調査した山肌では
このハロイサイトの層の上に
火山灰などが、のっていました。
雨などが降ってハロイサイトに水がしみこむと
表面が滑りやすくなります。

そこに地震が起き土砂が一気に滑り落ちたと
石丸さんは考えているのです。
この1か月北海道一帯では例年より雨が多く
厚真町周辺の降水量も
35%多くなっていました。
地震前の雨が土砂災害を
拡大させたのではないかと
石丸さんは見ています。
≫大地震による土砂災害を一層、拡大させるおそれのある
ハロイサイト。
日本列島には火山灰が厚く堆積している地域が
北海道以外にも
広く分布しています。
こうした場所には地下に
ハロイサイトが存在している
可能性があります。
首都大学東京の鈴木毅彦さんはハロイサイトを含む
危険な地層に注目してきました。
≫富士山や箱根の山々からの火山灰が厚く堆積した、この場所。
ハロイサイトを含む