◆ヘロー！
◆びっくりした！
奥さん？　びっくりした。
円広志さん？
いやいや、
ハグハグハグ。
◆うそやん！
実物、会うたん初めてや。
◆ずっと見てるやん。
◆そうですか。
ありがとうございます。
◆まだ信じられんわ。

◆何やってるの。
◆喜んでるところがかわいい。
◆かわいいね。
◆ちょっと中、案内してもらって
いいですか。
◆上がってください。
すんませんな、奥さん。
◆いやあ、うそ。
◆そんなこと言うてもらってうれしいわ。
◆奥さん、これ、ご主人の作品ば
っかり？
◆これすごいわ。
◆ほんまやんか。
◆これは何？
◆これは、私の独自発想で、
絵を平面から独立した。
◆これは変わってますわ、
確かに。


◆ありがとうございます。
◆ちょっと凹凸というか、何とな
く浮き上がってるような感じがあ
りますね。
◆そう。
それが狙いなんですね。
さっきの高所作業車、あったでし
ょう。
あの上に上がってわかったことが
あった。
視野は球体です。
◆どういうことですか、視野が球
体というのは。
◆球体的に感じられるわけね。
目は目玉じゃないですか。
頭も球やな。
だから、人間の動きは丸いのよ。
見る視野、球体的に感じるの。
◆人間って？◆人間って。
これ潜在意識の段階だよ。
気がつかない。
◆僕なんか、平面になるように見
えているけど、実は、こういうふ
うに球体になってるものなんです
か。
◆そう、そう。
だって、ここを見ているけど、
こっちも見えてるでしょう。
だから、丸く感じてるじゃないで
すか。

◆そういうことか。
◆たまたま出会った植木屋さんに
頼み込み、
高所作業車に乗せてもらったとこ
ろ、視界が自然と丸みを帯びてい
ることに気がついたというブライ
アンさん。
この感覚を表現に生かそうと、
キャンパス自体を曲げたり、
ゆがめたりする曲面絵画を生み出
したのです。
◆これ、琵琶湖ですか。
◆琵琶湖。
◆朝方ですか、これ。
◆朝、朝。
◆ようわかりますね。
◆うれしいなあ。◆すごいなあ。
◆同じとき、月の出も描いたわけ
ね。
◆ここに住むというふうに決めた
のは奥さんですか、
ご主人？
◆彼ですよ。
そら、滋賀県の琵琶湖の広がりが
美しいもんな？
◆琵琶湖に魅せられたんですか。
◆そう。
◆サラリーマン、
家を買うときに
駅まで何分ね。

３０年間の返済。
私は自分の題材まで何分。
◆なかなかもう…。物すごい格好いい形で。
題材まで何分って…。
ほー。
ということは、
琵琶湖に魅せられたというのは、
初めて琵琶湖を見たのは？
◆琵琶湖に魅せられたの、
延暦寺に行ってみたらって