◆こういうとこやね。
わかりました。
私、決めます。
正直、豆腐は足が速いといいます
けど、私は手が早いと、
キュッと抱きつく。
◆何を言うてまんの、ええ年して。何を子供の前で。
◆あんなん、木綿も考えとったん
やけど、もう出たもん。
◆そうですか。
えらいすんませんな。
◆さすがやないです。
◆足の早いのだけが残っておったんや。
◆何を言うてるんですか。

◆うわあ～やないです。当たってません。
ちょっと、真理恵ちゃん、たのん
ます、きょうは。
◆だから、すごい…。
いいですか。
◆何がすごいって、何がすごいか


って、
真理恵ちゃんは、答えを知ってる
んですよ。
知ってるのに、真理恵ちゃん、
どうですかって言ったら、今から
わざと間違った答えを言います！
◆違う！
◆真理恵ちゃん、どうぞ。
ここに答えが書いてあるんです！◆思いついたやつ言っていいです
んか。
だから、僕と結婚したら、毎日、
豆腐のベッドに寝かせてあげるよ。
◆ああ～！◆どうでしょうか。
答え知ってるのに、このかわいい
答え、どうですか。
◆かわいい！
かわいいけど、何か
どつきたなった。
◆底冷えしよる。
◆水浸しということか？
◆煮崩れすんで。
◆ちゃんと考えんでええんです。
雰囲気で、かわいらしいです。
正解はこちらでございます。
◆仕事、何やと聞くと、家はもう
ずっと豆腐屋やってると。
一番に浮かぶのは、朝が早いです
わね。
豆腐。
イメージで言うと…。

◆何もせんでええでと。
お父さん、僕が見てもわかります
よ。
エプロンつけて。
はっきりいって、お母さんが一番
動いてます。
プラス、家に帰って洗濯もしますよ。
家の用事します。
洗い物もします、
掃除もします。
お父さん、約束が違いますね。
何もせんでええと言われたんです
か。
◆何もせんでいい。
◆
昔は親も元気やったさかい。
当初は、せんでもいいと。
母親のぐあいが悪くなって。
◆お手伝いせざるを得ない。
◆何が一番大変ですか、豆腐屋さ
ん。
◆私も体が弱かったから、本当に
私がずっと足を引っ張ってきたか
ら。
◆一時、
注文が殺到したんですよ。
もう他府県の人から電話がかかっ
てきて、送ってくれと。
そしたら、
パニック起こして、

できひん！って言うて…。
びっくりしましたけど。
◆もともとは、何もせんでええって言われたんですから。
◆そうなんです。
◆それはそうですよ。
今からでも、
そこ、家庭裁判所がありますやんか、そこに。
今からでも走ってもいいぐらいで
すよ。
◆息子とも言うててんけど、
もし縁があったら、
何もそんなこと考えんでええし。
やらんでええって。
◆今、縁は？
◆ないんですよ。
◆そうなんですよ。
◆イケメンですやん。
彼女は？
◆もう全然…。
◆ご両親から、カメラに向かって、