2018/09/26(水) 19:30〜20:45 NHKスペシャル「“樹木希林”を生きる」[字]


で、入れるときに
底の方から入れないと、だめ。
こんなの食べきれないよ。いくらなんでも。
底のほうから入れんだよ。
だから3人も来なくていいよ。あの人がやるって言うんだから。
底の方から小豆があるから
たっぷり入れてあげて。
木寺≫そこが

希林さんなんでしょうね。
希林さんは
日に日に体調の悪さが
目立つようになりました。
そして、半年になろうとする密着取材にも
いらだちを募らせていきました。
樹木≫だから、なんか悪いからしゃべんなきゃなと思って
しゃべってる
って感じするじゃない?
木寺≫それがちょっと
あんまりあれですもんね。
負担なりますもんね。


木寺≫ということでまた着いてしまいました。
樹木≫はいはい。
きょうは工事やってる。
ありがとうございました。
木寺≫また、ちょっとすいません。
考えます。
3本目の作品は年末に撮影を終えました。
私は、どう希林さんに
切り込んでいけばいいのか
答えを見つけられないでいました。
年が明け、中断していた「万引き家族」の撮影が
再開されました。
希林さん自身も、どう番組に決着をつければいいのか
考えあぐねているようでした。
そういう…映画をどう向き合ってるかって話を
撮るわけではないわけだからね
結果的に。
何に興味があって
何に興味がないのか
ちょっと教えてもらいたいわ。
あんまり反応が…。
私に興味を持つのは
何が興味、持つの?
NHKがちょっとやってみな
っていうから来たわけ?
木寺≫いや、そんなことないです。
樹木≫なんなの?
樹木≫ずいぶん漠然としてるよね
それではね。
仕事をする対極の…対象として

私が興味を持つ話もしてるけど
大体、反応で分かるんだけど
実に律儀な反応が返ってくるからはずんでいかないんだよね、話が。
どうするか、どうするかね。
私は自分自身の胸の内を必死に伝えました。
木寺≫すいませんね、なんか…。
甘え話みたいで恐縮なんですけど。
こういうふうに
こうやって撮ったやつ
あとで見るじゃないですか。
木寺≫はぐらかすっていうか笑ってごまかすっていうか。
たぶん、そうやって自分は
子どものころから
そういう生き方をしてきてるんで。
木寺≫そういうこと僕は結構、突きつけられてて…。
樹木≫私もさあ…
≫やります。樹木≫はーい!やりますか?
樹木≫はい。さあ、行こう。
また体が固まっちゃった。ちょっとたつとすぐ固まっちゃう。
全部、置いてっちゃう。
なんにも入ってないから。
希林さんに対して
私は自分をさらけ出すことしかできませんでした。
樹木≫どうだろ?
是枝≫逆だと、どうですか?
樹木≫こっちでもいいです。
1月15日。
「万引き家族」の
撮影最終日を迎えました。
この日は

希林さんの75歳の誕生日。
その日に演じるのは
突然、死を迎え床の下に埋められる場面です。
ないしょだぞ。
ばあちゃんは最初からいなかった。
あたしの場合は満で74歳で
きょうが75歳だから。
撮影が終了したあと
私は楽屋に呼ばれ
話したいことがあるから
カメラを回すように言われました。
≫オーライ、オーライ、オーライ。
一番最初は「モリカズのいる場所」。
これが7月の暑い中で、あなたが
転勤になったばっかりだったから
あなたを拾って、道が遠いから
横浜じゃない…
葉山まで行ったんだよ。
ほいで帰りは、あなたを落として
新しく住んだマンションまで