2018/09/26(水) 19:30〜20:45 NHKスペシャル「“樹木希林”を生きる」[字]


落として帰っていくっていう生活だったけど
今、考えると
しんどかったんだろうなと思うよね。
あれで、だいぶエネルギーを
消耗したわね。
一人になって
考えるってことがないから。
うちでは
台本を開く暇がないから。
気持ちに余裕がないから。



だから出来が悪いのは、みんなあなたのせいということで。
どういうのがおもしろいのかね。
もう、みんな私は好きですけどね。
3本続けてやったのは。
それぞれの監督もそれぞれの主演者も
とてもよかったですね。
終わり。とりあえず終わり。私の…。
それから2か月後
連絡の途絶えていた希林さんから久しぶりに電話がありました。
新聞社の取材に
同席してほしいというのです。
木寺さん、そのソースのさ
端っこ、もうちょっとくれる?
それ、ソースの残り。
木寺≫入ってないですよ。樹木≫全く入ってない?
なぜ、この場に呼ばれたのか
見当もつかないまま時間は過ぎていきました。
コーヒー出してあげて、3つね。
それで、実は、その…
なんできょう、NHKの方に
ここに来ていただいたかっていうとですね
本当は密着だからスタッフもいて
来るんですけども
私が、そんなに大勢
この仕事場とか
あるいは別のところに大勢いたら
もう、それだけでくたびれちゃうから
自分一人で来てくれって
言ったもんだから、かわいそうに
重たいもの持ってくるんですけど

ただ、ずいぶん7月から撮ってんですけど
なんにもね、これといった
目玉商品がないわけですよ。
それで、もうこの辺で
肝を決めてくれないと
作品としては
出来上がんないんじゃないかと。
ただ、お金は使ってないのね。
お金は使ってないからね。
それ精算して、なしっていう
話もあるからっていうね
ここが、もう
きょうの正念場なんですよ。
木寺さんにとっても。
どういう目線でもって私をつかまえるのかっていうのを。
新聞社のカメラマンが去ると
希林さんが思いがけない話を切り出しました。
じゃあ、今からね
私が、きょうの話を…。
これがね、私が今までに…。
がんになって…。
2016年っていうと
平成27年か。
そのときの11月に撮った
PETっていうのが
これなんですね。
これはね、この黒いのはおしっこのところらしいんです。
そして、1年半ぐらい
行かなかったんです
PET撮りに。

要するにピンポイント放射線っていうのをね
当てに行かなかったんです。
そして、2018年の3月5日に行ったらね
これだけ全身に転移してるの。
ものすごい骨…。骨転移。
それでPETの先生が
「この状態で、どのぐらいいけますかね?」って言ったら
「ことしいっぱいでしょ」
っていうことなんで。
ね、これもうPETの先生が見て
いや、こんなになってましたかと。
これはもう、そいで
ピンポイントの先生も
もうピンポイントでは
処置できないから
あとは抗がん剤か
要するにホルモン剤とかって
もし効けば効果があれば
ということだけど
私は、そういうのやらないから
変わらなく生きるわけですけどもそのように…なんですよ。
だから、それで、ことしいっぱい
って言ったけど
ピンポイントの先生は
もっと早いかもしれない。
延びるってことはなかなか難しい。
木寺さんに対してもう1年間こうやって、1年近く
密着っていう形できたけど…。
何か、めぼしいものが
見っかったような