≫それが、嗅覚、そして味覚とも
強く結びついていることが
最近の研究でわかったという。
ならば、味覚と嗅覚を刺激すること

白井さんの過去の記憶がよみがえ
るきっかけを作ることができるか
もしれない。
そこで我々は、
まず、白井さんが保護された場所の
浜松では、おなじみの料理を食べてもらうことにした。
≫ここ浜松は、餃子の消費量
日本一になったこともある餃子の町。
市内には、餃子専門店が
80店舗ほど。
もし、浜松周辺に過去住んでいたな
どの
経験があれば、一度は

浜松餃子を食べているはず。
≫浜松餃子、その味が
白井さんの過去の記憶につながるきっかけを
与えるのか。
≫浜松餃子は、白井さんの過去の記憶にはつながらなかった。
続いては、取材時に
何気なく差し入れたアイスキャンディー。
≫アイスはよく食べていて
好物はモナカ。
まずは一つ、手がかりがつかめた。
身元判明につながることはないか。
続いては、今人気のマスカットの和


菓子。
取材を始める前に
手土産として渡してみた。
≫子どもの頃から食べていたとい
うことは
その産地の周辺に住んでいたとも
考えられる。
そこで、マスカット・ベリーAの
主な産地を調べてみると…
栽培が盛んな地域は
西日本に多い。
味覚の記憶からつかんだ
ベリーA生産地は、西日本中心という情報。
実は、その西日本と白井さんの関係
を裏づける
事実に我々は気付いた。
≫関西弁のように聞こえないだろうか。
さらに…
≫これは一体、どこの方言なのか?
日本語学の専門家を訪ねた。
≫らく、という方言が使われているのは
兵庫県、岡山県、香川県
なんと、いずれもマスカット・ベリーAの産地。
さらに道中、白井さんは
こんな話をしてくれた。
≫確かにこの祭りでは
みこしではなく、屋台といい
男たちがふんどしで担ぎ
≫シデとは、この竹の棒の先に
赤い紙がついたもの。

この祭りの地域の人々は皆知っているが
みな知っているが、ほかの地域の人
には
なじみがない。
≫かけ声とかはどんな感じでした?
方言らくを使う地域は
兵庫、岡山、香川。
この中で、まわし姿で屋台を担ぐ
祭りは、兵庫県の7つの市町村で確認された。
白井さんは、この中のどこかで暮ら
していたのだろうか。
さらに絞り込む手がかりになった
のも
やはり、食べ物だった。
≫現在、暮らしている静岡のおでんは
だし粉という煮干しを削って
粉にしたものをかけて食べる。
一方、白井さんのいう
生姜醤油でおでんを食べる場所を
調べると、ある地域が浮かび上がっ
てきた。
スタッフがその地域の居酒屋を訪
ねると
確かに、おでんに生姜醤油を
回しかけて食べている。
≫兵庫県南西部のことを指す播州
地方。
先ほどの祭りの地域も
すべて、播州地方に含まれている。
最近のご当地グルメブームで

播州地方一帯に広まっている
生姜醤油をかけて食べるおでん。
しかし、そのような食べ方が
古くから根付いているのは
先ほどの祭りの7市町村から
さらに絞り込まれ
姫路市、加古川市
相生市、高砂市の4市町村。
食の記憶と方言から
白井さんに関係が深いであろう地