敵も味方も大勢倒れちょっ!
町も民も みんな焼け出され…!
こいは戦じゃ!
そいでも まだ兄さぁは…。
信吾?
信吾! 信吾~!
<戦況は 大坂にいる慶喜に逐一 伝えられました>
(うめき声)
上様!上様!
上様 何とぞ 御陣頭に!
何とぞ 御陣頭に!
♪♪~
信吾兄さぁしっかいしてくいやい!
信吾兄さぁ! しっかい!
ここに置いてくいやんせ!ここに。
そ~っとじゃ! そ~っとじゃ。
(お虎)信吾はん?
信吾はんやおへんか!
西郷様の弟御です!助けておくれやす!
急ぎ手当てをしてくいやい!
こいは…。もう助からんど。
お願いします!
大事なお人の弟さんなんどす。
とにかく血を止めっとじゃ。
ああ! 替えの布を持ってくっで。
(お虎)小兵衛はん
しっかりしとくれやす!
小兵衛はんは はよう
西郷はんを呼んできとくれやす!
ほれ はよう!
兄さぁは… 来ん。
へ? 何でどす?
戦を続けちょっ。
(川路)我らは 明日
木津川を渡り 淀川を下って→
大坂城まで追い詰めもす。
(新八)んにゃ まだ油断はできん。→
山崎には 津藩の軍勢がおる。
対岸から砲撃されては→
かなりの痛手を被る事に…。
≪ご注進!
どげんした?
申し上げもす。
山崎に布陣しておる津藩が
我が軍に寝返りもした!
何じゃち!
ほうか。
徳川の軍勢に 砲撃を
始めておるとの事でございもす。
(どよめき)
(半次郎)やりおったか。
こいで 我らの勝ちが見えもした!
西郷先生 もう ここはおいたちで十分でごわす。
吉之助さぁは 急ぎ信吾のとこに
行ってくいやい。
そばにおってやった方が
信吾も心強か。
戦は まだ終わっちょらん。
(新八)吉之助さぁ!
私情を挟む暇はなか。
(慶喜)また裏切りか!?
(板倉)兵たちの中には
あの錦の御旗とやらに→
やいばを向ける事をためらい
逃亡する者たちも…。
(定敬)何が御旗じゃ! そのような
いかがわしいものに→
惑わされおって!
(容保)上様!(定敬)上様!(板倉)上様!
かくなる上は 城に籠もり
迎え撃つが最上の策と心得まする。
(定敬)
籠城にて敵をくぎづけにして→
その間に江戸より 新たに兵を
呼び寄せればよいのです。
(板倉)偽りの官軍など
恐れるに足りず!
我ら
負ける道理などござりませぬ!
(一同)上様! 上様…!
相分かった!上様!
そなたらの忠義の心
身にしみて うれしく思うぞ。
余は戦う! 余についてこい!
(一同)ははっ!
(一同)お~!
誰か!?
失礼つかまつりました!
(慶喜)行け。はっ。
参れ。
上様 いま一度 お考え直しを。勝てる戦なのですぞ。
上様さえ
陣頭指揮を執って下されば→
戦の流れは再び我らの手に。
黙らぬと置いていくぞ。
上様!
<慶応4年1月6日。→
慶喜は 味方の兵を置き去りにし→
ひそかに大坂城を抜け出したのです。→
戦が始まって