しかし 難題もあります。
地上に落下した観測機器を回収するには→
カナダの凍った大地を→
270キロ以上 追跡しなくてはなりません。
追跡用にGPS装置を付けます。
念入りに最後の点検を行います。
実験の準備期間は 6か月。
観測機器が持ち帰るデータに
研究の成否がかかっています。
本当に 神経がピリピリしています。
できることは全てやりましたが→
6時間後に
失敗している可能性もあります。
深夜0時32分 バルーンが放たれました。
行き先は はるか上空です。
翌朝。
カリーは空から観測機器を捜索するため→
飛行場へ向かいます。
しかし 捜索の範囲は広大です。
観測機器が見つかる保証はありません。
♪♪~
手がかりは バルーンから最後に届いた
GPSのデータと→
探知機に付けた赤いパラシュートです。
カナダの大地を270キロ飛んで目標地点に近づきます。
♪♪~
脈動オーロラの謎の解明はX線探知機の回収にかかっています。
20分間 空の上から捜索しましたが
手がかりはありません。
凍結した湖のそばに着陸し
歩いて捜します。
GPSの最後のデータによれば
落ちたのは向こうだ。
上空からは
一面真っ白で何も見えなかった。
諦めて 引き返すしかないのでしょうか。
≪(パイロット)おい クリス!
パイロットが呼んでるみたいだ。
何? 見えた?
向こうに見えたって?
(パイロット)ああ。
やった これだ! すばらしいよ! よし!
見つかって うれしいです。
ヘリコプターで ぐるぐる飛んでいる間→
見えていたのは銀世界と木々だけでした。
小さなパラシュートは
どこにも見えなかった。
最も近い人家でも
100キロ以上離れた場所で→
X線探知機が回収されました。
次に行うのは 入手したデータの分析です。
カリーは 実験で得たデータを
初めて目にします。
これは バルーンを飛ばした夜に→
カメラが撮影した映像です。
朝4時半ごろ 点滅する光が映っています。
脈動オーロラが現れているんです。
実際に空を観測していたら
まずカーテン型のオーロラが現れ→
ゆっくりと光ったり消えたりするのが
見えたでしょう。
その後 別の場所で光が点滅します。
それが 脈動オーロラです。
では 脈動オーロラが現れていたのと
同じタイミングで→
X線も出ていたのでしょうか?
これは 4時半ごろからX線が活発になったことを表しています。
ちょうど脈動オーロラが現れた時刻です。
脈動オーロラの出現と同時にX線も確認されました。
つまり
両方の現象を引き起こしているのは→
地球から2万5,000キロ離れた
宇宙で発生する→
コーラス波動であると考えられます。
コーラス波動がスイッチのような役割を果たし→
オーロラとX線を→
同時に強めたり弱めたりしているということです。
点滅する脈動オーロラは
カーテン型のオーロラとは→
発生する原因が
全く異なるというわけです。
カリーの実験は
オーロラの研究を一歩前進させました。
地上の観測カメラやバルーンは→
局地的なオーロラを解明するには有効ですが→
地球全体のオーロラを
捉えることはできません。
これは 国際宇宙ステーションから見た→
北極のオーロラ。
地球の400キロ上空の位置からでも→
一度に見渡せるのは ほんの一部です。
更に上昇すると ようやく
オーロラの だ円形の光の帯が→
地球の夜側の部分で
回転する様子が見えてきます。
こうした光の動きには
宇宙空間での現象が関わっています。
その一つが 太陽風です。
しかし 太陽風がどのようにして生じるのか→
まだ解明されていません。