＜明治５年５月。→
天子様は　山口　長崎　熊本などの
西国を巡幸なさいました。→
新国家の元首として　多くの臣民と
触れ合うことを目的とされたのです＞
出御である。
一同　面を上げよ。
＜じかに　天子様のお姿に接した人々は
驚きました。→
なんと　天子様は…→



洋服姿だったのです＞
な…　ないごて…。
国父様。
「方今　宇内列國開化の時に際し→
我國の舊制を更革して→
列國と竝馳せんと欲す。→
汝等能く斯意を體し→
朕が期望する所に副へよ」。
国父様。
海江田。
はっ。
まさか　こん目で
天子様のご尊顔を拝せるとはのう。
はい。　何でも　道中　民草にも→
そん玉体を　お見せあそばされたとか。う～ん。
畏れながら　国父様…。
分かっちょっ。
ついてけ！
♪♪～
西郷
お前には　言いたかこつが山ほどある。
じゃが…。
じゃが　一つだけ聞く。
こいが…　お前が→
我が兄　斉彬と共につくりたかった→
新しか国か？
兄上が　今の日本をご覧になったらどげん思わるっか…。
国父様。
我らには→
思い描いた新しか国があいもした。

そいを実現せんがため→
時に国父様を欺き→
お心に沿わぬこつもいたしもした。
じゃっどん　今は…→
亡き殿と目指したところとはかけ離れちょいもす。
政府の腐敗一つ　とどめるこつもできん。
おいは　蹴り飛ばされるに違いなか。
こんままでは　国父様にも
命を散らしていった者たちにも→
徳川の方々にも　顔向けできもはん。
こんやっせんぼ！
やり抜け！
最後まで　やり抜くんじゃ！
♪♪～
やって…　やって！
そいでも倒れた時は…。
こん[外:D4F0B6247BBB9102758D1F4A06506C9F]摩に帰ってこい！
あとは　若い者に任せればよか。
国父様…。
西郷。
新しか国っちゅうとは→
こいからの若い者のためにあっとじゃ。
♪♪～
お言葉　あいがたく頂戴いたしもした。
下がれ。
♪♪～
いや　待て。
天子様のお召し物　あいは　いか～ん！
いかん！　すぐに考え直せ。
♪♪～

はっ。
♪♪～
お帰りやったもんせ。糸。　みんな　変わりはなかか？
はい。
旦那さぁ　休んでくいやんせ。
夕げの支度をしもんで。
ああ…。
父上　お帰りやったもんせ。
菊次郎　背が伸びたのう。
父上　母上　お願いがあいもす。
何じゃ？
おいも　異国で学びとうございもす。
そいは自分で　よう考えて決めたことですね？
考えても考えても…→
そいでも覚悟は決まらんかったです。
じゃっどん　今日　天子様のお姿を拝して
心が決まりもした。
天子様を…。
天子様のお姿は　きらっきらしく心が震えもした。
♪♪～
よう言うた　菊次郎。
行ってけ。
父上　母上　あいがとございもす。
気張れよ。
はい！
愛加那さぁの気持ちが　よう分かいもした。
子を手放すっちゅうことがどんなにさみしく　苦しいことか。
じゃっどん
菊次郎さぁが決めたことなら→
しっかい後押ししてやりたかち