2018/11/12(月) 00:00〜00:45 地球ドラマチック「ビッグベン 世紀の大修復プロジェクト」[二][字][再]
世界を代表する時計の整備ですから責任重大です。
時計台は いつも たくさんのカメラに
囲まれています。ええ。
何時だろうと お構いなくね。
朝の4時であっても 誰かが カメラのフラッシュをたいているんです。ええ。
今回の大時計の修復作業で
重要な問題点とは何ですか?
時計は正確に
時を刻まなくてはいけません。
しかし ビッグベンは以前に比べ
変動の幅が やや大きくなっています。
振り子に原因があると思うので
よく確かめたいです。
これは小さな時計の振り子ですが→
ビッグベンの振り子は長さが4メートル以上もあります。
一番上に付いている薄いスチールのバネは
前後に曲がるうちに いつかは壊れます。
これが ビッグベンの振り子をつるす
バネです。
これに振り子が
ぶら下がって揺れるんですね。
そう こんなふうに。
このバネにひびが入り始めているようです。
今回 交換しなければならない部品の
一つだと思います。
恐らく これが振り子の正確さに関わる
問題の原因の一つかもしれません。
複雑な機械の場合
分解するのも大仕事ですが→
それを元に戻すのも大変ですね。
部品が複雑で多いですから。
あなたにとって最も困難で
神経を遣うのは どんな時ですか?
部品の戻し場所が分からない時。
レックはビッグベンを去る準備をしています。
案内の仕事を中断する時が来ました。
あっ 動きだした。
寂しいです。
時計台に上がれなくなるなんて。→
私は大勢の人を
ここに案内する仕事をしてきました。→
みんなの顔が輝くのを見るのが
好きでした。
これは かつて
私たちが案内した来訪者の名簿です。
名簿には ビル・ゲイツの名前とか…。
このページの一番上には ウィリアム王子。
こちらは ミシェル・オバマ前大統領夫人と
2人のお嬢さん。
この時は私も案内を務めました。
ホワイトハウスの大勢のスタッフがツアーを一緒に楽しんで→
長い塔の階段を上ったんです。→
ミシェル夫人は ビッグベンが時を知らせるのを間近で聞いて→
興奮していました。
お嬢さんたちと 階段を弾むように駆け上がっていったのが→
とても チャーミングでしたね。→
ビッグベンは 数多くの偉大な出来事を目撃してきたからこそ→
歴史の遺産なのだと思います。→
ビッグベンは イギリスの議会民主主義のシンボルであり→
世界に誇れる建築物だと思います。
この夜 サマータイムの開始に伴い時計の針が進められます。
時計整備士にとっては 大時計を
止めることのできる まれな機会です。
実際に時計を止められる
数少ないチャンスです。
まず10時に時計を止めて
針を12時まで進めます。
その間が ちょっとしたメンテナンスや
点検を行う貴重な時間となるんです。
ふだん 時計は動き続けているので
手入れする必要がある時には→
時計が動いている最中に
行わなければなりません。
そうなると実に不都合が多くてね。
大時計の針を進めるためにまず鐘が鳴らないようにします。
まだ時計は動いていますが
鐘を打つ装置を止めたので→
時間が来ても鐘は鳴りません。
さらに 15分刻みのチャイムの装置も止めました。
次に人々が混乱しないよう
明かりを消します。
OK。
それから おもりを外して時計を進めます。
5 4 3 2 1。
いよいよ全装置を停止させます。
(ロバーソン)不気味なほど静かですよね。→
私たちにとって静けさはある意味「強烈な音」なんです。→
時計の音がしない方が不自然です。
ここを訪れた人はいろんな音に驚きますが→
私たちは ほとんど
意識したことがありません。
ここでは時計が止まることは
まず ありませんから。
よし。
再び時計を動かす時が来ました。
あと 35秒。
10… 5 4 3 2 1 今だ。
OK。
よしと。
およそ160年の歴史をくぐり抜けてきた