2018/11/12(月) 22:25〜23:10 プロフェッショナル 仕事の流儀「生きづらい、あなたへ〜脚本家・坂元裕二〜」[解][字]


違う 違う 違うよ。
僕が言いたいのは…。

レモンぐらいで怒らなくていいじゃないか。
別府君 から揚げは洗える?
洗えません。
レモンするってことはさ 不可逆なんだよ。
不可逆…。
二度と元には戻れない。
すいません。
いかにして直接的な表現を用いずに
人物の個性や感情を伝えるか。
こう 紙に「スキです」って書いても→
スキですっていうのは伝わらないんですよね。
坂元さんは 何気ない会話や
ささいな しぐさなど→
日常を徹底的に書き込む。
ナポリタン 危険です。
いただきます。
いただきます。
だからこそ


坂元さんが大切にしていること。
どんなに忙しくても
毎朝5時に台所に立ち→
娘の弁当を作る。
妻と交代で 12年間一日も休まず続けてきた。
日常へと立ち返る時間が→
感情を揺さぶる物語を生み出している。
取材が始まってから1か月。
坂元は プロットと呼ばれる→
物語の骨組みを作る作業に
取りかかっていた。
自分の意思とは裏腹に
やってはいけないことをしてしまう→
主人公の近杉は
小さなガソリンスタンドを経営している。
そこに 異母兄弟で教師の兄が
訪ねてくることから物語は始まる。
兄は ふとしたことから
ガソリンスタンドの地下に埋められた→
父の死体を見つけてしまう。
その死に疑問を抱く兄に対し近杉が理由を明かす場面。
坂元は書けずにいた。
なぜ 父親は死んだのか。
坂元は 衝動に逆らうことのできない弟が
父親を殺してしまったと考えた。
だが 殺そうとしたものの
実は殺していないというほうが→
意外性があり 興味をかきたてる。
何度も 消しては書き直す。
いつも難しいテーマを扱い

社会派と言われることも多い坂元。
だが 脚本を書くとき
テーマや劇的な展開ありきで→
物語を作ることは ないという。
丸一日 考え 坂元は→
主人公の近杉が父親を殺したと書いた。
この日 坂元さんは奈良の実家を訪ねた。
母の清美さんが見せてくれたのは
坂元さんが小学生のころに書いたノート。
物語を空想し それを書くのが
大好きな子どもだったという。
(坂元)「ユニークな日記だ。
なんとなく話している二人のことばが→
文章になっています」。
脚本を通し 生きづらさを抱える人たちの背中を押したいという坂元さん。
だが 若き日の作風は
今とは全く違うものだった。
坂元さんは高校卒業後
フリーターをしながら→
脚本家を目指していた。
19歳のとき 応募したテレビ局のシナリオコンクールで大賞を受賞。
すぐに上京し
テレビ局のアシスタントをしながら→
脚本の腕を磨いた。
そして 23歳で あの大ヒット作→
「東京ラブストーリー」を世に送り出す。
もう リカとやっていく自信ない。
「放送日にはOLが街から消える」
と言われ→
最高視聴率 32%の記録を打ちたてた。

一躍 テレビドラマ界の寵児となった坂元さんには→
ラブストーリーを書いてほしいという
依頼が殺到。
トレンディドラマの名手と
言われるようになった。
だが その声に一番 戸惑っていたのは
坂元さんだった。
自分は 何がしたくて
この仕事をしているのか。
27歳のとき
坂元さんはテレビ業界を去る。
違う経験を積みたいと企画を売り込み
映画監督に挑んだ。
愛と死をめぐる難解な物語を書いたが→
評価は厳しく 失敗に終わった。
ならばと 32歳のときに自宅に籠もり
小説を書き始めた。
だが 3年間 書き続けたものの→
物語を完成させることすらできなかった。
生活のため