2018/11/12(月) 22:25〜23:10 プロフェッショナル 仕事の流儀「生きづらい、あなたへ〜脚本家・坂元裕二〜」[解][字]


再びテレビの現場に戻った坂元さん。
原作がある作品の脚本や→
海外でヒットしたドラマのリメイクを請け負った。
書きたいものが見えないまま

8年の歳月が過ぎていった。
転機が訪れたのは35歳のとき
娘が誕生した。
共働きの妻は仕事で家を空けざるをえず→
一人で娘の面倒を見る時間が長かった。
自宅で執筆をしながらの子育ては


想像以上に大変だった。
だが その中で坂元さんは
あることに気付いていく。
そして43歳。
坂元さんは子育ての経験をもとに一本のオリジナルドラマを書き上げた。
怜南も連れてって~!
育児放棄された女の子とその子を救うため→
誘拐犯になることを決意する女性教師の
心の軌跡を描いた物語。
私 あなたを誘拐しようと思う。
ママ!
放送が始まると思わぬ声が届いた。
汚い!
坂元さんは 完成していた
第8話のストーリーを白紙にし→
育児放棄をした
脇役の母親の人生を書くと決めた。
ママが一生 大事にしてあげるからね。
娘を愛していた母親がなぜ虐待に至ってしまったのか。
みんな来るけど ひとみは無理でしょ?
うん…。
ねえ! ちょっと遅くなってもいいかな?
いっときでも子育てから解放されたいという母親の思いや→
逃れられない現実。
ママ… おなか気持ち悪くなってきた。えっ?
自らの子育ての日々を思いながら
無心で書いた。
放送後…
…など 大きな反響があった。
ついに 坂元さんの中で 道が見えた。

たとえ それほど視聴率は取れずシリアスで暗いと言われようと→
生きづらさを抱える人たちのことを
丁寧に描く。
一人でも救われる人がいればいい。
16年の回り道を経て見つけた自分が脚本を書く理由だ。
坂元はプロットを終え
本格的な脚本の執筆に取りかかっていた。
ひと言ずつ 登場人物のセリフを
つぶやきながら書き進める。
表現の制約が多い舞台に
あえて飛び込み→
新たな作風や境地を生み出したいと
考えての挑戦。
しかし その道筋は全く見えていなかった。
そのまま ひと月が過ぎてしまった。
自分の意思とは裏腹に
やってはいけないことをしてしまう→
主人公の近杉と異母兄弟の兄。
長い間 弟に心を開けずぎこちなさを抱えてきた自分。
兄としての深い後悔を どう表現するか。
だが セリフが全く立ち上がってこない。
書いてはみるものの
違和感だけが増していく。
1か月後に迫った舞台の稽古。
中止さえも頭をよぎる。
♪♪~(室内BGM)
突然 坂元が音楽のボリュームを上げた。
おもむろに紙を取り出し 線を引く。
登場人物たちの関係性を 一から見直す。
彼らは どんな状況で出会い

何を話すだろうか。
その会話で 主人公は何を思い→
その心の動きは相手をどう動かすことになるのか。
頭の中で繰り返す
無数のシミュレーション。
一枚の紙が残った。
坂元の中で 登場人物が動きだした。
あふれ出る声。
坂元は登場人物の設定に大きな変更を加えていた。
主人公の兄の職業を
中学校の教師から小説家にした。
自分と同じ職業に引き寄せた。
そして 執筆に取りかかって3か月。
9月下旬 舞台が開幕した。
普通の人は 自分が怖いときはどうしますか?
衝動を抑えることのできない主人公は→
その衝動ゆえに父を殺してしまう。
怖い… 怖いよ お兄ちゃん。
殺して…。
兄は その事実を告白されるが
逃げ出してしまう。
ごめんなさい ごめんなさいね
お邪魔しました。
弟が ガソリンをかぶり
火をつけようとした そのとき。
お~い お~い!
お~い! おい! しっかりしろ!
お兄ちゃん 来たよ!
お兄ちゃん 来たから→
もう大丈夫