2018/11/13(火) 14:00〜14:10 NHK高校講座 あらためまして ベーシック国語「文学史〜寺山修司〜」[字]


ここから読み取ったのは…。
ネガティブな事 言ってるんだけど→

あえて言ってるみたいな。
あ~。
だから ほんとに軽やか。
寺山さんの作品の中で
最も好きな作品は どれでしたか?
あのね 持ってきたんだけど…。
(カレン)え~。
ありがとうございます。
寺山修司の→
この「少女詩集」っていうのが
あるんだけど→
その中に 2ページの
ちょっとした物語があるのよ。
へえ~。
「海を見せる」って話なんだけど。
寺山修司の世界が→
詩を中心とした作品で表現されている→
「寺山修司少女詩集」。


「海を見せる」は→
一編の詩から始まる
短編ストーリーです。
女の子がね 入院してる訳よ。
その子は 海を見た事がないの。へえ。
…で その子に 男の子が言うの。
「この世の中には海っていうのがあるんだよ」。
「どういうもの?」
「海っていうのは→
ものすごく青くて
ものすごく広いんだ」。
でも この子は
病院から出た事ないから→
「うそおっしゃい そんなもの
ある訳ないわ」って言うの。
「ちょっと待ってて」って言って
男の子は バケツを持って→
5月の海の 一番 海の部分を
すくって 病室戻ってきて→
「これが海だよ」って言うの。
でもさ 実際 バケツの中に入ったただの水じゃん。
そうですね。
だから 病院の中の女の子は言う訳。
「何 言ってんの? 青くもないし
広くもない ただの水じゃない」。
そしたら 男の子は→
「でも さっきまでほんとに海だったんだ」→
…って言って終わるのよ。
ちょっと この話さ 終わり方→
「えっ?」ってなるかも

しんないけど→
これが好きなのよ 俺。
…っていう たった2ページの短い話なんだけど→
ここに 寺山修司の良さ
俺 入ってると思ってる。
何かさ
どうしても 今の時代とか…→
まあ 時代のせいにするのも
あれだけど→
損得って考えちゃうじゃん。
「これやると得だよね」とか→
「そんな事やって 何の得あるの?
損しない?」とか言うけど→
海をすくって持ってくる。
…で 「海じゃないじゃない」って言われるの 一個も得しないけど→
この少年は やる訳じゃん。
喜ばせたくて。うん。
周りの人を…
これまでの人生で 寺山さんが救いになった事とかは→
ありますか?
う~ん… あると思う。
えっ でもさ…
あのね 落ち込んでる時私は 何も聞かなくなっちゃうし→
寝るっていうので
いつも やってる人だから→
逆に そういう音楽とか本とかで→
この言葉に勇気もらったって言うじゃないですか。
俺は… うん。
何か それって どういう感情…。
それが いきなり ポンって

頭に浮かんでくる…?
多分ね…
…っていうのじゃない?
ああ…。
「こういう時 こういう事思ってるの→
私だけじゃないんだ」。
いや 俺 別に…
悩みも ちっぽけなものだって
思わせてくれるんですね。
だから 寺山修司はね そういう事
言わないのが好きなの 俺。
読んでるうちに
自然に 自分が→
そう
思えてくるから好きなの。
ポジティブに
なれるんですね。そうそう。
「さあ
みんなで 立ち上がろうぜ!→
肩組んで頑張ろうぜ」