2018/11/18(日) 13:50〜15:00 あの日 あのとき あの番組・選「里山の恵み 響きあう人と水の物語」[字]
日本には 自然と調和しながら人が暮らす場所が 今もあります。
伝統的な漁が残る
琵琶湖のほとりも→
その一つです。
人の傍らに息づく たくさんの命。
さまざまな形で
水の恵みを受ける人々。
(風鈴の音)
集落には湧き水が引き込まれ→
同じ水を 人と生き物が
分かち合いながら暮らしています。
こうした
昔ながらの身近な自然は→
里山や里地と呼ばれます。
よいしょ。
(トビの鳴き声)
里山には 自然と共に生きる知恵が隠されています。
命きらめく 水の里の一年を
見つめます。
(トビの鳴き声)
冬の終わり 琵琶湖畔の水の里は人によって 命を吹き込まれます。
(ヨシが燃える音)
ヨシ焼きです。
枯れたヨシを焼き払う事で
害虫を退治し→
出来た灰が
格好の肥料になります。
丈夫なヨシを育てるために 毎年
続けられている 大切な作業です。
ヨシ焼きから 1か月
新しい命が動き出します。
ヨシの芽吹きです。
そして 雪解け水が流れ込み→
焼け跡の表情は
瞬く間に一変します。
(魚が跳ねる音)
突然 ヨシ原に水しぶきが上がりました。
しぶきの主は… コイです。
80cmもある 大きなコイが列を作っています。
(激しくコイが跳ねる音)
激しい動きに変わりました。産卵です。
雌が卵を産むと同時に
雄が競って 受精させます。
♪♪~
コイは ふだんは深い所にいて→
産卵の時にだけ
浅瀬に やって来ます。
この日 集まったコイは
200匹を超えました。
♪♪~
ヨシ焼きによって生まれた開けた浅瀬は→
絶好の産卵場所なのです。
♪♪~
このコイを 絶妙のタイミングで
狙っている人がいます。
近くに住む 田中三五郎さん。
三五郎さんは 60年にわたって→
昔ながらの方法で
漁を続けています。
愛用しているのは 木の舟。
それを 長い竹ざお1本で巧みに操ります。
迷路のようなヨシ原も
まるで 庭のようなもの。
あちこちに 50個ほど
仕掛けが沈めてあります。
見事なコイです。
よっ。 よいしょ。
コイは 琵琶湖では 昔から→
格別な春の恵みとされてきました。
仕掛けは モンドリと呼ばれ→
餌も入れずに沈めておく素朴なものです。
魚の通り道に仕掛けておき
翌日 引き揚げます。
コイのほかにも
産卵に集まった魚がかかります。
こんだけ おるや。
これは 全部フナ。
自然や生き物の微妙な動きを
知り尽くした漁です。
♪♪~
三五郎さんは 早速魚の料理を始めました。
ふだんは
夕食のおかずにしますが→
今日は特別 鮒寿司を作ります。
鮒寿司は 琵琶湖周辺の家庭で古くから作られてきた→
なれ寿司の一種。
出来上がるまでには時間がかかります。
フナを塩漬けにして 3か月。
そのあと ごはんと混ぜて6か月ほど発酵させます。
こうして 春にとれた魚を
冬まで保存します。
(鳥のさえずり)
湖畔に近い集落ではあちこちで湧き水が噴き出し→
清らかな川が 流れています。
人の手で 張り巡らされた水路は琵琶湖へとつながっています。
♪♪~
初夏 水の中は 一面のお花畑。
澄んだ流れに 梅に似た
かれんな花を咲かせます。
♪♪~