2018/11/28(水) 00:40〜01:30 NHKスペシャル 人生100年時代を生きる 第2回▽命の終わりと向き合うとき[字][再]


長崎腎病院です。
(警報)

血圧の急激な低下を知らせる警報があちらこちらで鳴っていました。
(警報)
90歳の患者の意識が遠のいていました。
以前は 透析困難症が起きると→
生きていくために必要な この治療を断念せざるをえませんでした。
今では 医療技術の進歩によって
症状をコントロールしながら→
衰弱が進んだ高齢者でも
透析を続けられるようになりました。
80歳以上で透析を受けている
患者の数は 年々増え続け→
現在 およそ6万人。
統計をとり始めた1982年に比べ→
300倍に増えています。
ところが 患者の高齢化によって思わぬ問題が起きています。
本人の意思を確認できないまま
透析を続ける事態が広がっているのです。
7年前から透析を始めた この女性は→


治療を受けている間に認知症を発症しました。
女性は 重い腎臓病で
透析をしなければ命に関わりますが→
治療のことが分からず
管を抜いてしまいます。
手 伸ばしますよ。
そのため 家族の許可を得て手袋で拘束して治療せざるをえません。
この病院で透析を受けている
70人の入院患者のうち 9割が認知症。
本人が望んでいるのか分からないまま→
透析が1日4時間 週3回続けられています。
(サイレン)
自宅で最期を迎えたいという願いがかなわない事態も広がっています。
救急医療の現場に→
100歳近い終末期の高齢者が次々と運び込まれているのです。
この日も 自宅から
97歳の女性が搬送されてきました。
呼吸が弱くなっていたところを
家族が見つけ→
慌てて 救急車を呼びました。
医師は 自然に命を終えようとしている終末期の患者だと判断しても→
救命のために全力を尽くします。
女性は 一命を取り留めました。
しかし 意識は回復せず
人工呼吸器をつけて→
命をつなぐことになりました。
なぜ 終末期の高齢者が救命救急の現場に運ばれてくる事態となっているのか。
国は 財政がひっ迫する中で→
高齢者を病院から自宅へと移す→
医療制度改革を進めてきました。

高齢者は 在宅医などのケアのもと→
自宅で最期を迎えることを
想定していました。
ところが 家族が
命の終わりかどうかの判断がつかず→
救急車を呼ぶケースが続出。
結果的に 病院で延命医療を受ける高齢者が増えているのです。
家族は 限られた時間の中で
延命するかどうか→
選択を迫られる場合もあります。
自宅から搬送されてきた 84歳の男性。
すぐに人工呼吸器を取り付けなければ
危険な状態でした。
男性の呼吸が弱くなったため
思わず救急車を呼んだ家族。
もともとは 自宅で看取るつもりでした。
一度 呼吸器を取り付けると→
多くの場合 意識が戻らぬまま
延命医療が続くことになります。
最期に どこまで医療を受けるのか。
家族は 本人と話していませんでした。
やっぱり こうやって…
家族が戻ってきました。
分かりました。
家族が選択したのは 延命でした。
男性は そのまま
集中治療室に入ることになりました。
集中治療室にある30のベッドが→
意識が戻らない高齢者で埋まることも少なくありません。
その後 患者たちは

地域の病院に移ります。
多くの場合
延命医療が長期化していきます。
この病院の60床ある療養型ベッドは→
延命医療を受けている高齢者で占められています。
この病院は
高齢者のリハビリにも力を入れています。
しかし 救命救急センターから
転院してきた患者で→
リハビリができるまで回復する人は
ほとんどいません。
ある調査では…
この病院に6年間入院している83歳の男性です。
脳梗塞の後遺症で
会話や意思表示ができません。
胃ろうによって命をつないでいます。
おいしいですか? ごはん。
毎日 病院に通ってくる妻。
夫の存在が 自らの支えにもなっています。
入院生活が いつまで続くのか。