2018/12/01(土) 19:00〜19:45 地球ドラマチック「よみがえるアイスマン〜科学とアートが明かす謎〜」[二][字]
これまで唱えてきた説を覆そうとしています。
ゲイリー・スターブは
エッツィの肉体の再現という→
挑戦を続けています。
特に難しい部分にさしかかりました。
損傷した でん部です。
恐らくエッツィの死後肉をあさる動物によって→
かみちぎられたのでしょう。
ここは恐ろしく手間がかかります。
ミイラ全体を作るのと
同じくらい大変です。
スタッフは天然の繊維で再現した腱を
何百と作り→
ぼろぼろにしてパラフィンに浸し→
実物に限りなく似せようとしています。
難しい要素は 例えば→
干からびてしまった筋肉とそれに重なる腱。
骨についている
こういう ぼろぼろの腱。
それから 骨そのもの。
内部が割れて露出しています。
ここには脂肪の層も見えています。
ですから この部分だけでも→
再現するには
多種多様な仕上げが必要です。
今まで取り組んだ中で
最も複雑なプロジェクトです。
でん部を仕上げるだけで
数週間かかります。
一方 科学者たちは
エッツィの身元確認を続けていました。
特に有力な証拠となるのは
遺伝情報です。
(ブスタマンテ)遺伝情報に勝る
手がかりはありません。
あらゆる生物の遺伝的な設計図は
DNAに記されています。
DNAはA C G Tと略される→
4つの化学物質からできています。
この4つの物質が
二重らせん構造となって並び→
細胞内の染色体を構成しています。
そこに私たちの体を作り動かすための→
あらゆる情報が
含まれているのです。
エッツィは
この遺伝情報全体が解析された→
最古のヨーロッパ人の一人です。
そのデータから彼の外見や健康状態を推測する事ができます。
15番染色体の ある遺伝子が→
瞳の色を決めていると考えられます。→
この位置に
「G G」とあると→
その人は
恐らく青い瞳です。
エッツィの場合は
「A A」で→
恐らく茶色い
瞳だった事が→
分かります。
12番染色体の「T T」は→
彼の髪も黒っぽい
色だった事を→
示しています。
他の染色体から分かった情報もあります。
エッツィの血液型はOで
現代の病と思われる→
動脈硬化症や心臓病に
なりやすい体質でした。
ライム病と呼ばれる
感染症を引き起こす→
細菌のDNAも発見されました。
エッツィはライム病患者の最古の例です。
では 彼のルーツは
どこにあるのでしょうか。
強調すべきポイントは
人間はDNAのパターンによって→
形づくられているという事です。→
両親から受け継いだものは→
全て遠い祖先にまで
つながっています。→
ですから 自分のDNAを→
さまざまな地域の人のDNAと比較すれば→
自分たちの祖先が どんな人々で→
どこから来たのかといった有力な手がかりが→
見つかるのです。
エッツィの祖先を探る事は極めて重要です。
彼が生きていたころ→
ヨーロッパでは大きな変化が起きていました。
古代の狩猟採集生活が→
次第に農耕生活に置き換わっていったのです。
エッツィが生きていたのは
時代の変わり目でした。
狩猟採集から
農耕への移行が進み→
人々の生活は
大きく変化していました。
彼は その変化の
真っただ中にいたんです。
4万5,000年前 現生人類が