2018/12/15(土) 16:15〜17:05 NHKスペシャル選「沢木耕太郎 アマゾン思索紀行〜隔絶された人々 イゾラド〜」[字]


好奇心の強い子どもだった。
ポスエロや 基地の隊員が
持っている物に 強い関心を示す。
番組スタッフが使う機材にも
興味を持ち 進んで近づいてきた。
ケイゾウ。

ケイソ…。
ケイゾウ。
ケイゾウ…。
少女は 4歳。 最初の接触以降に
生まれた 子どもだった。
コルボの家は ジャングルの
3か所に 点在している。
3つの家を回り→
健康状態を把握しようとするポスエロの活動に→
好奇心旺盛な
その少女の家族も ついてきた。
この家には 接触した集団の
リーダーが住んでいるという。
ポスエロが話し込んでいるのが
リーダー。 だが 実際は→
その横に座る 彼の妻が
主導権を握っているらしい。
リーダーの男が 突然
カメラに 飲み物をかけた。
しばらくして
ナタが持ち出された。
ポスエロが
コルボと接触したのは→
以前と変わらぬ暮らしを


続けさせるためだった。
しかし彼らは しだいに文明社会の
利便性に 目を奪われていく。
ポスエロは つぶやいた。
「イゾラドは 物を手に入れ笑顔を失っていく」。
すべての家で
健康チェックを終えると→
コルボ全員が
ボートに乗ってきた。
「皆で遊びに行きたい」と言うのだ。
そのボートの中で→
私は 心を動かされる光景を
見ることになった。
いや 見たのではなく 聞いたのだ。
それは あの好奇心の強い少女が→
別の船に乗っている 親に向かって
呼びかける声だった。
(呼びかける 少女の声)
少女が口にしたのは コルボが誰一人として行ったことのない→
文明社会の都市の名だった。
あの少女はどうして タバチンガや→
マナウスといった 地名を
知っていたのかは 分からない。
ただ 通訳をしている
マチス族の若者から→
聞かされていただけ
なのかもしれない。
「森の ずっと向こうには
不思議な場所があるのだよ」と。
しかし あの少女の まるで

歌のような 呼びかけには→
やがて 文明社会に
飲み込まれていくだろう→
彼らの 危うく 切ない未来を
予感させるものが含まれていた。
「お父さん お母さん
さようなら。→
私は これから タバチンガ
マナウスに 行くのよ」。
♪♪~
私は 「イゾラドへの旅」の最終目的地に向かおうとしていた。
♪♪~
二人だけの「イゾラド」アウレとアウラ。
1987年に忽然と現れ その後
各地を 転々とさせられた彼らは→
1991年 フナイから
小さな保護区が与えられた。
二人は 今
そこに住んでいるという。
私には 「彼らが生きている」と
いうことが→
うまく のみ込めないでいた。
あらゆるものから 切り離され→
人は どのように生きることが
できるのだろうか。
しかも 自分たちを
取り巻く すべてが→
受け入れ難い
違和感だらけの世界で。
二人が この チラカンブで

暮らすようになって 10年余り→
意外にも 穏やかな生活が
続いているという。
保護区の責任者に先導され
チラカンブの森を歩いた。
この森を抜けた所に
二人の家があるという。
(通訳)ちょっと驚くから
後での方がいいって…。
「驚くから 後にしてくれ」と。