2018/12/16(日) 15:05〜15:55 NHKスペシャル選 大アマゾン最後の秘境(2)ガリンペイロ黄金を求める男たち[SS][字]


女たちは 奥地の金鉱山を転々として生きている。
♪♪~

支払いは もちろん 黄金だ。
♪♪~
午前3時を回った頃→
4人の男女が酒場を出て
何やら 相談を始めた。
全員で 川に向かう。
数分後 彼らは 2組に分かれて→
女たちが間借りをする小屋に
消えた。
国家権力の及ばない
深い密林の中では→
何をしようが ガリンペイロの自由だ。
その気になれば黄金以外は 何でも手に入る。
酒 女 ドラッグ。
男たちの欲望に 限りはなかった。
狂乱の夜が明けた
日曜日の朝だった。
私たちが


寝泊まりしている小屋に→
ここで最も恐れられている
元殺人犯の男がやって来た。
刃物でえぐられた深い傷痕がある。
ひとしきり私たちを からかったあと→
男は唐突に 身の上を語り始めた。
黄金を手に入れ 復讐の旅に出る。
男の背中には 誓いの証しだという
入れ墨があった。
自分の体に刻みつけた
父親の墓標だ。
♪♪~
ここにやって来る男たちにはそれぞれの覚悟があった。
♪♪~
また一人 新入りのガリンペイロが金鉱山にやって来た。
二十歳の若者だった。
ラップばかりを歌っている元ドラッグ中毒の若者だ。
若者が回されたのは
チームを組んで 黄金を探す→
最も奥地の穴だった。
若者は ここから 1,500キロも離れた田舎町のスラム街で生まれた。
貧困のあまり 学校にも行けず
職に就く事もできず→
いつしか 麻薬に溺れた。
ほかのガリンペイロと違って若者は 過去を隠さなかった。
ずっと住む家がなかった事。
親には黙って やって来た事。
♪♪~
若者が任されたのは→
黄金を含んだ土砂を流す

水路での仕事だった。
しかし 全く経験のない若者は
水の中を歩く事も ままならない。
すぐに 雑用だけを
命じられるようになった。
金鉱山では ベテランも新人もなく
取り分は同じだ。
ガリンペイロは 取り分に
見合わない男を徹底的に見下す。
犯罪者であろうが
酒に溺れていようが→
ここでは 誰もが 休みなく働く。
手持ち無沙汰のまま突っ立っているのは→
若者だけだった。
翌日 ガリンペイロが夜明け前に起きる。
甘いだけのコーヒーを
一杯だけ飲み干すと→
すぐに穴に向かう。
しかし 若者だけがまだ ハンモックの中にいた。
結局 2時間 遅刻した。
その日の午後→
黄金の悪魔の配下の者が
やって来て 通告がなされた。
ガリンペイロから 取り分が減るだけの
存在だと見限られたのだ。
1時間後 若者が
再び やって来た。
何かを見に来たようだった。
たらいの中に 1グラムにも満たない黄金の粒がある。
初めて間近で見る 黄金だった。

♪♪~
その夜 「聖書」を手に
若者が賛美歌を歌っていた。
ガリンペイロの中で
彼だけが「聖書」を持っている。
翌朝 若者は どこかに姿を消した。
秘密の金鉱山では→
毎年 20人以上の男が
ここから去っていく。
一方で 残り続ける男たちもいる。
しかし 人生を一変させるようなでかい当たりは→
10年 20年に一度しか来ない。
彼らは本当に いつか黄金が出ると信じているのか。
♪♪~
なぜ 彼らは ここに居続けるのか。
1か月がたった。
誰もが穴を掘っている時間→
ベテランのガリンペイロが
一人で小屋の中にいた。
泥酔していた男は