2018/12/16(日) 21:10〜21:59 NHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」[字]
20分後には黙り込んでしまう。
何を しゃべっていたのか。
ノルバウに見てもらった。
この時 何度も繰り返された単語は2つ。
先住民以外の人間を指す カライー。
長い時間 ふたりで歩くことを意味する
オティマノエ ムクイン。
ノルバウが こう推測した。
文明側の人間と森で初めて遭遇した時のことを→
話しているのではないか。
アウラたちが現れたのはアマゾンの森の中だった。
そのころ 森を貫く幹線道路が出来→
土地を持たない農民たちが奥地に入り込み始めていた。
そして ある日…。
この小屋に アウラたちが突然 押し入ってきたのだ。
同じ部族がいれば
彼らだけの保護区を設けることもできた。
だが いくら森を探しても
ほかに 誰も見つからなかった。
開拓民とのトラブルを恐れ 政府は
2人を森から連れ出すことにした。
半年をかけて おびき寄せ
2人を車に押し込んだという。
車が 開拓地に立ち寄ると
村人たちが取り囲み→
代わる代わる 中をのぞき込んだ。
その後…。
アウラとアウレは
施設や保護区を→
転々とすることになった。
ほかの部族と同居させようにも→
行くさきざきで
トラブルが持ち上がり→
毎回
失敗に終わった。
アスリニ族の集落では
人をあやめた。
アスリニの男を
ナタで切り殺したのだ。
流れ流れて→
ここは 13か所目の土地だ。
その日。
アウラは 小屋に籠もったまま外に出てこなかった。
保護区に住み込む看護師が
様子を見に行くことになった。
(せきこみ)
アウラは 重いかぜをひいていた。
早速 抗生物質と炎症を抑える薬が
与えられる。
アウラは 今
文明の力によって生かされている。
小屋から出てきたのは
2日後のことだった。
看護師の許可を得て 小屋に近づく。
せきは おさまっているようだ。
アウラが 話し始める。
ノルバウによれば アウラは同じ話を 何度も繰り返すという。
だが 一つだけ→
一度 語ったきり 二度と口にはしないある出来事があった。
たった一人の仲間だった
アウレのことだ。
保健所にやって来た時に→
いくつかの単語でアウレのことを聞いてみた。
アウレのことは語らず→
動物や果物の名前を言い続けるだけだった。
当時を知る者によれば
アウレは いつも→
何かに おびえているように
見えたという。
出現から15年後
2002年に記録された映像だ。
文明側の人間と向き合う時は
ほほ笑みを作りながらも→
感情の読めない 複雑な表情になった。
一方のアウラはいつも平然としているように映った。
アウラにとって アウレとは→
守り 支えるべき仲間だったのではないか。
そして 何よりも
共に森を生き抜いてきた時間を→
全て共有できる
唯一の存在だったのではないか。
2人が兄弟かどうか
それは分からなかった。
だが 2人は いつも一緒にいた。
2人だけで 狩りに行き→
2人だけで食べ 2人だけで話していた。
(アウラとアウレの話し声)
2人の言葉が
小屋から途切れることはなかった。
(アウラとアウレの話し声)
この世界に現れてしまってから23年目。
2人だけの暮らしが
突然 終わった。
アウレが痩せ始め 動けなくなったのだ。
町の病院へ 連れていかれることになった。
車に揺られて 見知らぬ町まで6時間。
2人は ずっと身を寄せ合っていたという。
(クラクション)
病院は初めてでベッドは見たことがなかった。
この部屋で…→