2019/01/05(土) 00:50〜01:45 大阪環状線 Part4 ひと駅ごとのスマイル 〜差出人のない手紙(完全版)〜[再][字]
どないする? ピンポンする?
ええ そのために
僕は ここにいるんですから。
じいちゃん?
アウダーチア。
ピンポーン!
≪は~い。
はい… はっ!
お久しぶりです 神崎周一郎です。
周一郎さん?
あっ いや… いや 私 どないしよ。
こんな顔で
こんな頭で こんな服で。
あぁ… ちょっと待っててね→
ここ 動いたあかんよ ねっ。
ははっ…。
目の病気とちゃうみたいやね。
それでも僕は 彼女に→
謝らなければなりません。≪(窓の開閉音)
≪周一郎さん。
うん?
≪何をとぼけた顔さらしとんねん。
神崎周一郎この世で二度と会いたない顔→
それはあんたの顔や ぼけ!
えぇ~?
僕は愛されてもいましたが
憎まれてもいたんですね。
そらそうやろ。
難儀やな 愛とか恋とか。
俺 彼女いんくて正解やわ。
つるぎ君にも→
大好きになれる人が
いつか現れます。
全ての難儀を引き受けてもいい→
頭からバケツの水を浴びてもいい→
そう思わせてくれる出会いは
きっとあります。
大好きな人なら
もう おるんやけど。
いるんですか?
それは申し訳ないことをしました。
もう大丈夫です こっから先は
僕が1人で捜しますから。
君は その女性の元に
走ってお行きなさい。
あぁ いや べつにええんよ。
良くはないでしょ。
その子だって きっと
君に会いたがってるはずですよ。
いや 向こうは俺のことなんか
視界にも入ってへんと思うし→
べつに その子と
どうにかならんくても→
俺 かめへんし。
言うたやろ。恋愛なんて難儀で面倒なだけやん。
どこ行きたいか 何食べたいか
察しなあかんし→
記念日も覚えとかなあかんし。
しかしそのどれもが重要ではありません。
えっ?
大好きな人というのは→
ただ同じ空間を
共にしているだけでいい→
そういう人ですから。
じいちゃんの若い頃とはちゃうねんて。
原始時代から
太陽が燃え尽きる先まで→
これは変わりません。
真理とは そういうものです。
わからん 俺。
その板で 地球の裏側のことまで→
教えてもらうことも
すてきですが→
ただ黙って何も言わずに→
寄り添っていられる人がいるとしたら→
そのほうが幸せなはずです。
何で そう言い切れるんよ。
そこに空間があるからです。
空間があるから→
そこに愛を満たすことが
できるんです。
愛って何なん。
つるぎ君。何?
会いにいきましょう。
誰に?
大好きな女性に
会いにいきましょう。
はぁ~ いや じいちゃん→
この手紙の差出人さん捜すんやろ?
ちょ… はぁ~。
僕は君の質問に答えたい。
大学教授ですから。
質問って?
愛とは何なのかです。
いや じいちゃん 音大の教授やん。
哲学科なら まだしも。
セレナーデというものを知ってますか? つるぎ君。
音楽のジャンルやろ。
セレナーデ これは日本語では→
夜の曲 夜曲と訳されていますが→