2019/01/05(土) 15:45〜16:30 地球ドラマチック・選「世界びっくりハウスめぐり」[字]


恐怖は 今もあります。
(ヴォルカ)世の中には普通の生活を
好まない人間がいます。
この秘密のシェルターは
私の安息の場です。→
奇妙なやつと言われてもいい。
普通の暮らしには興味がありません。
核シェルターでプールパーティー。

人には容易に気付かれる事のない→
秘密の家です。
どこにでもありそうな入り口ですが…。
(ケレット)ある時 9歳の息子が→
この家がギネス世界記録集に載っているのを見つけたんです。
大興奮でした。
何と これが玄関です。
この家は イスラエル出身の小説家
エトガル・ケレットが→
ワルシャワに滞在する時のミニハウスです。
家の正確な大きさは分かりませんが→
「幅は?」と聞かれたら


これだけです。
家の幅は 狭い所で72センチ。
広い所でも122センチしかありません。
2層からなる家の床面積は
たったの14平方メートルです。
(ケレット)この家にいるだけで
冒険気分が味わえます。
息子も楽しそうだし
友達も よく遊びにきますね。
多分 物語の中の世界
海賊船や潜水艦→
宇宙船の中にいるような
感じがするんだと思います。
(ケレット)ここでは
何でも遊びになります。→
壁を登るのも楽しいもんですよ。
床が はるか下に見えます。→
息子も
よじ登るのが大好きなんです。→
スーパーヒーローになった気分と
言っています。
狭くても 造りは機能的です。
あまり物を持たない事にしています。
もともと
広い家は好みじゃないし→
壮大な小説を
書くわけでもありません。
物は必要最小限にしたいんです。
バスルームは面積をとらないよう上にシャワー 下にトイレがあります。
小さなリビングやキッチンも備えています。

(ケレット)こうして お皿も洗えるし料理も作りますよ。
お湯を沸かす やかんや
コンパクトな冷蔵庫もあります。→
これでも必要なものを
入れておくには十分です。
牛乳とか チーズ 飲み物。
シャンパンも小さなボトルだったら冷やせます。
しかし 不都合な事もあります。
大勢で飲むには向いていません。→
人を呼んでパーティーを開く事は
難しいです。→
狭いより何より 床が
抜け落ちる危険がありますから。
更に この家に人を泊める事も
できそうにありません。
幅1メートルほどの土地に
家を造るために→
建築家は
ミリ単位まで正確に測り→
鉄骨を別の場所で
組み立てる必要がありました。
また前例のない狭い建物のため→
建築許可が3年間 下りませんでした。
(シュチェスニー)建築物に関する
ポーランドの法律を→
クリアする事ができなかったんです。
結局 建物ではなくアート作品とする事で→
ようやく許可を得られましたが→
「狭すぎる」 「へんてこすぎる」と言われました。
作品名は「ケレット・ハウス」。

ポーランド現代美術財団の所有物です。
アート作品としての「ケレット・ハウス」には→
ワルシャワの歴史や文化が反映されています。
この家は第2次世界大戦の
前と後という→
2つの時代をつなぐ
象徴的な架け橋なのです。
狭さを極めようとしたわけでは
ありません。→
1920年代と80年代の建物の間に
目が留まりました。
第2次世界大戦の前と後。
2つの時代を結ぶものをここに造りたいと思いました。
つなぐ事に意味があると。
(シュチェスニー)この家をここに建てる事に→
意味がありました。
ワルシャワとここで暮らしたユダヤ人にとって→
重苦しい歴史の記憶に満ちた
場所だからです。
かつて ここにはゲットーと呼ばれる