2019/01/06(日) 21:10〜22:00 NHKスペシャル「サグラダ・ファミリア 天才ガウディの謎に挑む」[字]
しかし 本当に それがガウディの望みなのか。
バルセロナの郊外で→
内戦で失われたと思われていたガウディの資料が→
大量に見つかりました。
ガウディが建てた コロニア・グエル教会。
この地下に 全く知られていない資料が
隠されていたのです。
ガウディ研究の第一人者
マヌエル・メダルデ博士です。
ガウディの弟子たちが
戦火を免れるため ここを ガレキで塞ぎ→
資料を隠していたことを突き止めました。
発見してから 膨大な資料を取り出して全貌を把握するのに→
20年を要したといいます。
その数 およそ6,000点。
世界で初めて 撮影が許可されました。
ガウディが試作したタイルの数々。
彫刻に使ったヤスリやノミ。
更に 当時発明されたばかりの3Dメガネ。
ガウディは サグラダ・ファミリアを
立体的に見て検討していたようです。
そして最近 この中に→
ガウディがイエスの塔を構想していた時期のものが→
あると分かったのです。
博士からの連絡を受け外尾さんが駆けつけました。
外尾さんが注目したのは→
ガウディが色の研究に没頭していたことでした。
石の断面に現れた 天然の色彩。
100種類もの自然の顔料が入った試験管。
そして ついに外尾さんは
探し求めていた手がかりを見つけました。
それは 色が境目なく混じり合う
グラデーションの実験でした。
貧富の格差や社会の分断が広がり
苦しみが続く 人間の世界。
人間が作る その境目を→
自然のグラデーションのように乗り越える。
それが ガウディが
イエスの塔に託した願いではないか。
外尾さんの結論です。
外尾さんは イエスの塔の新たな構想を形にしていました。
当初試した彫刻やオブジェではなく→
色のグラデーションで→
神から人への贈り物を
表そうと決めたのです。
もともと表現したかった→
水や空気や光や土→
更には 時間や重力など→
この世の全てを色に託します。
試行錯誤の末 たどりついた
外尾さんの構想です。
イエスの塔に入ると
そこには 色だけの世界が広がります。
塔の一番上は 白い壁。
「聖書」の記述に基づき神の世界をあらわしています。
「光あれ」という神の言葉で→
この世の全てが生まれ始めたという記述です。
その白が まず薄い紫に変わり→
人間の世界に降りるにつれて→
さまざまな色の
グラデーションとなります。
空や海を感じさせる青。
森や光を感じさせる緑や黄色。
森羅万象を
壁にはるタイルの色で表現します。
タイル職人に試作を依頼した外尾さん。
サンプルが出来たと聞き確認にやって来ました。
青や赤 さまざまな色のタイルが
イメージどおりに出来ていました。
しかし 1つだけ 出ない色があると
知らされました。
外尾さんが求めたのは
この夜明けの空の紫でした。
一日の始まりに この紫を見ると
希望に満ちた気持ちになるといいます。
いいねぇ 今日は。
(鐘の音)
バルセロナの1日は
この鐘の音で始まります。
ガウディはね 町じゅうに
美しい鐘の音を鳴り響かせたくて→
この4つの塔を作ったのよ。
塔の上 鐘をつるす場所までは426段もある らせん階段を上ります。
不思議な穴はね
鐘の音を遠くまで届ける工夫なんです。
ガウディは 鐘の鳴る塔を 12作って→
まるで 楽器のような教会にしたかったのよ。
ガウディは 全財産を寄付して
着のみ着のままで働いていました。
仕事の合間に ある場所に通っていました。
1km離れた小さな教会。
壁には 戦争の銃弾の痕。
ガウディは ここで毎日平和を祈っていました。
でも ある日 教会に向かう道で
路面電車に ひかれてしまったんです。
貧しい身なりで
誰も ガウディだとは気付かず→
手当てが遅れ 3日後に亡くなりました。
葬儀には 貧しい人もお金持ちもみんながやって来て 悲しみに暮れました。
後を継いだ弟子たちは→