2019/01/07(月) 22:00〜22:45 プロフェッショナル 仕事の流儀「答えを求めて、声を探す〜声優・神谷浩史〜」[解][字]


(笑い声)
これが その完成シーン。

行くぞ 今度はこっちから仕掛ける。
制作者が求めるものに
どこまでも応えようとする神谷。
信頼は絶大だ。
そして神谷は オッケーが出ても決して表情を緩めない。
声優として
自らに課す 一つの思いがある。
自ら 出来上がりに終わりを決めない神谷。
その姿勢は徹底している。
外国ドラマの
日本語吹き替えでのことだった。
全員 移動しろ!
「コペンハーゲンで恐ろしいテロが発生しました」。
物語は デンマークを舞台にしたテロ事件。
神谷が演じるのは事件解決に挑む特殊部隊の指揮官だ。
ダニエル 下がってろ!
デンマーク語から日本語に翻訳された台本。
神谷は あるシーンのセリフに


違和感を感じていた。
それは 事件現場に特殊部隊が突入→
それを知らされていない仲間が司令室に入ってくるという場面だ。
クラーマー 救命士が降りる。
「何してるの?」。
神谷は この「ルイーセ 出てけ」という
ひと言に 引っかかりを感じていた。
テストが終わり 特に修正もなく
本番に入ろうとした時だった。
神谷が演出家に声をかけた。
ああ はい。
は~い。
神谷の発した疑問をきっかけに 焦りの感情を表現すべきという結論に至った。
テストと本番を比較してみよう。
「何してるの?」。
「何してるの?」。
神谷は常に キャラクターの心の動きを徹底的に突き詰める。
「君に計画を知らせなかったのは
犯人に気付かれるからだ!」。
それは 吹き替えだけではない。
ナレーションでは 登場人物の雰囲気や番組全体のトーンを 声の力で演出する。
(神谷)「衣がえを終えて間もない この時期
クリーニング店は書き入れ時。→
炒めたピーマンにミニトマト
ハムエッグ」。
「とっても ジューシーでうまいぜぇ」。
現場現場で 神谷は自分に何ができるかを追求し続ける。
「気を確かに。
あなたの人生が終わりますよ」。
なぜ神谷は

相手の期待以上のものに こだわるのか。
そこに 神谷の神谷たる 流儀があった。
(神谷)その瞬間その瞬間やらなきゃいけないというか→
果たさなきゃいけない役割を やろう!
(神谷)今の不安というか ずっとですよ。ずっと思ってます。
この仕事始めてから こっち
安定なんて一切ないですから。
何にも 頼りになるものがない。
「全盛期は全盛期でも人間時代の全盛期→
キスショット・アセロラオリオン・ハート
アンダーブレードとの謁見を終えて→
場外へと出たところだった」。
オファーがなければ収入ゼロという厳しい現実。
そして 自分の自信のなさを埋めるため
努力し続ける神谷。
そうまでして
なぜこの仕事に のめり込むのか。
聞くのは野暮か。
(神谷)僕 なんだかんだ言って やっぱり現場にいることが好きなんですよ。
だから そこに居続けるための努力を
しているんだと思います。
(笑い声)
ありがとうございました。
失礼します。
♪♪~
声優ブームの今。 その活躍の場は
大きく広がっている。
♪♪~
業界きっての実力派の神谷。
声だけではなく さまざまな姿を見たい

という多くの女性ファンを抱える。
その期待に応えるため
10年前から音楽活動も行っている。
求められれば 何でもやるという神谷。
そこには 声優という仕事を全うしたいという 一つの覚悟があった。
養成所を卒業した1年目に
デビューを果たした。
♪♪~
「銀太すごい!」。
神谷にチャンスが訪れたのは
20代半ばの頃。
念願のアニメの仕事が
増え始めた時だった。
その後の人生を大きく変える
事故に見舞われた。
病院に担ぎ込まれた神谷は
その後ひとつき半→
ベッドの上で過ごすことになった。
(神谷)ああそっか 究極僕じゃなくても成立するんだなって。
神谷は ベッドの上で