2019/02/09(土) 15:05〜15:55 NHKスペシャル選「知床 ヒグマ運命の旅」[字]
子グマにさえ容赦ない。
♪♪~
メスグマたちの争いを終わらせたのは→
あのルシャの王者…
オレンジが 悠々と獲物を独占した。
年老いたとはいえ
威厳は失っていない。
シロが遠巻きに
オレンジの様子をうかがう。
だが イルカの肉を
十分 口にできないまま→
諦めるしかなかった。
獲物を食べ尽くした オレンジ。
僅かな食料は
力の強いオスのものだ。
(雨音と雷鳴)
ヒグマたちが待ちに待った→
川にマスが押し寄せる季節が
やって来た。
だが この年は異常だった。
誰ひとり狩りを始めようとしない。
まだ
マスが川にやって来ないのだ。
イチコだ。
シロと同じように痩せてしまっている。
原因は 過去30年 例のない
海水温の高さにあった。
マスの遡上は ひとつきも遅れた。
我が子に満足に乳を与える事もできなくなった 母グマ。
ヒグマたちは
激しい飢餓に苦しんでいた。
このさなか シロとイチコの姿が
ルシャから消えていた。
間もなく 地元の研究者が
異様な光景を目にした。
飢えたヒグマが
何かの肉をあさっていたのだ。
餓死した ヒグマ。
その肉はほかの者に食べ尽くされていた。
結局 ルシャで暮らすヒグマたちの1/3
9頭が 飢えで命を落とした。
シロとイチコは 無事なのか。
その行方は思わぬ形で明らかになった。
15kmほど離れた海岸で→
地元の写真家が偶然 イチコの姿を捉えたのだ。
海へと近づく イチコ。
海面に顔をつけている。
定置網に掛かったマスを外して
食べていた。
傍らには シロの姿。
イチコとシロはしたたかに生きていた。
同じ頃 うれしい出会いがあった。
ひとり立ちしたクロを見つけたのだ。
胸に
母親譲りの白い模様が見える。
オスの世界で
なんとか居場所を見つけて→
苦しい夏を生き延びたのだ。
命の危機を乗り越えたシロとクロ。
しかし 2頭は まだ若く 弱い。
これから待ち受ける長い旅を無事 生き抜いてくれる事を→
私たちは願っていた。
森を旅するオスたちの生存競争。
この年
その厳しさを物語る事態が起きた。
あの年老いたオス オレンジが
意外な場所に現れたというのだ。
ルシャから南西に20km→
1,200人が暮らす斜里町ウトロ地区の外れだ。
オレンジを目撃した 増田 泰さん。
野生動物の保護と管理を町から委託された知床財団で→
ヒグマの対応に当たっている。
町は 目と鼻の先車が行き交う国道沿いに→
オレンジは現れた。
川のサケを食べる姿が→
繰り返し 目撃された。
人目を避けてきた オレンジが初めてとる行動だった。
年老いた オレンジが
力を失った結果だと→
増田さんは考えていた。
森を動き回る オスグマ。
食料などを巡る競争の中で→
弱いオスは 強いオスにはじかれてしまう。
森で食べ物を探せなくなった
弱いオス。
その結果→
ふだんなら 警戒して近づかない人里へ 出てしまうというのだ。
オレンジは 再び山に戻った。
だが 人里に現れた事は→
オスグマとしての地位が下がった事を
物語っていた。
ヒグマたちが暮らす森と隣り合う
知床の町。
実は 弱いオスグマにとって
町に迷い込む事は→
命の危険を意味する。
人に危害を及ぼすと見なされると駆除されるのだ。
知床では 年間のヒグマの目撃数が
1,000件にも上る。
いつ 出会い頭の事故が起きても