2019/02/09(土) 15:05〜15:55 NHKスペシャル選「知床 ヒグマ運命の旅」[字]
不思議はない。
毎年 20頭ほどのヒグマが
駆除されている。
オレンジは 一度 ルシャに戻った。
その ひとつき後→
私たちは 変わり果てた姿を
目にする事になる。
尻の皮が 大きくめくれていた。
ほかのオスと戦って敗れたのだろう。
これが 私たちが捉えた→
王者 オレンジの最後の映像となった。
♪♪~
厳しい夏を乗り越えたシロとクロは→
元気でいるだろうか。
冬が迫る ある日ルシャで シロを見つけた。
相変わらず イチコと一緒だ。
夏に痩せていた時とは見違えるほど 大きくなっていた。
冬籠もりの準備に忙しい親子。
シロの狩りは上達したのだろうか。
素早い動きで 魚を捕らえた。
間もなく 母のもとを離れ→
1人きりの旅が始まる事だろう。
2013年 春恐れていた事が起きた。
シロより先に ひとり立ちし
オスの世界で生きていたクロ。
半島の南側→
羅臼町の中心部に現れたのだ。
昼の市街地を ヒグマが横切るのは
知床でも 異例の事態だった。
第一発見者の…
リビングの窓からクロが歩いているのを見つけた。
胸に 母親譲りの白い模様。
間違いなくクロだ。
クロが現れたのは 朝7時過ぎ。
子どもたちが学校へと向かう時間だった。
ハンターは 駆除を視野に入れ
追跡したという。
道路のところに 顔を出すので
鉢合わせが→
一番 怖かったなという
そのつもりで ずっと…。
幸い クロは 10分ほど
町なかを歩いただけで→
森へと消えた。
しかし これを機に クロは危険なヒグマだと認識された。
翌日 クロが また同じ町に現れた。
まだ若い クロ。
ほかのヒグマとの争いで
弱い立場に置かれたのだろうか。
これ以上
森から出てこないでほしい…。
だが 再び クロは
民家が並ぶ この海岸に現れ→
ついに 駆除されてしまう。
子グマの時から私たちが追いかけた クロは→
人里で 3年の短い生涯を終えた。
♪♪~
ヒグマの対応に当たる人々は
強い葛藤を抱えている。
野生動物を管理する 知床財団。
実は 20年以上にわたりヒグマとの共存を目指し続けてきた。
町と森の境に 電気柵を設置。
ヒグマが 町なかへと迷い込まないようにした。
(花火の音)
人前に出た ヒグマのほとんどは→
花火で威嚇して
山に追い返してきた。
だが それでも人里へ現れてしまう
ヒグマは 後を絶たない。
人の安全を守るために→
駆除もやむをえない場合があるという。
森の争いに敗れ
町に出て 駆除される。
知床のオスグマの一つの運命だった。
(カモメの鳴き声)
クロの死から ひとつき後。
私たちは シロと 望まぬ形で再会を果たす事になった。
ルシャから30kmの人里近く
国道沿いの海岸。
シロだ。 明らかに痩せている。
ひとり立ちしたあと→
森に 居場所を見つける事が
できなかったのだ。
そこへ
知床財団の職員が駆けつけた。
事務局長の増田さん。
シロを 森へと追い返すつもりだ。
シロが砂を掘るのが
遠目に見えた。
こらっ!
増田さんは鋭く声をかけ シロを威嚇する。
だが シロは
その場を動こうとしない。
このままでは 兄弟のクロと
同じ運命をたどる事になる。
増田さんが動いた。
(花火の音)
シロが 下りてきた山へ逃げ帰る。
(花火の音)
追い払いは 成功したかに見えた。