2019/02/10(日) 13:50〜15:00 あの日 あのとき あの番組「シリーズ平成 無縁社会 いま そして 未来」[字]
繁忙期だけ声がかかる日給1万円の仕事でした。
小林さんは 亡くなる直前まで→
両親の供養料をふるさとの寺へ送り続けていました。
東京の無縁墓地に埋葬された小林さん。
ふるさとに戻ることは できませんでした。
小林さんは
ふるさととの つながりをなくし→
東京でも つながりを失ったまま
無縁死していました。
小林さんの「官報」の記事です。
「本籍・住所・氏名不詳の男性。→
所持品 現金10万983円。 預金通帳2通」。
その記事は 10行で終わっていました。
ごく当たり前の生活をしてきた人が→
一つ また一つ つながりを失い→
独り 孤独に生きて
死んでいった姿が見えてきました。
3万2,000人の無縁死。
取材をしていくと そのほとんどが→
家族がいるのに引き取られないケースだと
分かってきました。
今 無縁死の現場で→
かつてない 新たなビジネスが生まれています。
自治体などの依頼で 家族に代わって
遺品を整理する専門業者です。
僅か数年で 30社余りに上っています。
部屋には息子が引き取らなかった両親の遺骨が→
残されていました。
業者は 宅配便で こうした遺骨を引き受ける寺へ送っていました。
遺骨が届いていたのは
富山県にある寺でした。
おととし 全国から→
行き場のない遺骨の引き取りを始めました。
(読経)
私たちだって一つ人生… 一つ間違えば→
私たちだって 一つ 歯車が狂えば→
独居老人になって孤独死をせな いかんのかも分からん。
決して 我々とは違った人生を
歩いてる人たちじゃないんですね。
みんな ちゃんとした一生がある。
子どもを持っておったかもしれない。
子どもを一人前に育てたかもしれない。
生まれたことで親を喜ばせたかもしれない。
みんな それぞれの一生があるのに→
ただ 人生の終盤地点で孤立をして全く どこに埋葬されているのか→
その人の痕跡が何も残らないという→
こういう何か… 不条理というんですかね。
そういうものが おかしいと
私は思うのです。
(読経)
家族のつながりが薄れる中で無縁死が起きているのではないか。
私たちは 去年4月に亡くなった→
独り暮らしの男性の死を追うことにしました。
こんな感じですよ。
こういう感じですよ。こんな感じで…。
(取材者)あおむいて?
あおむいて こんな感じで…。
亡くなっていた 常山善治さん。
かつて タクシーの運転手をしていました。
市役所が親族を捜したものの
誰にも引き取られませんでした。
学生 まあ こんな感じで。
この大学病院では 学生が実習で扱う献体が不足していました。
常山さんの遺体は 親族の承諾を得て
ここに送られていました。
私たちは 常山さんの親族を捜しました。
まず 市役所から連絡を受けていた叔父と会うことができました。
(鈴の音)
承諾のサインをしていたのは 兄でした。
私たちは
富山県内に住む兄のもとを訪ね→
事情を聞くことにしました。
兄は こう話しました。
家族でさえ つながりが薄れ
関わり合いを持たなくなっている時代。
その中で 無縁死は起きていました。
これです。
献体番号 683。
常山さんは 今 ここに安置されています。
♪♪~
3万2,000人の無縁死。
取材を進めていく中で 無縁死は→
将来 更に拡大していく兆しがあることが分かってきました。
今 頼れる家族がいない人たちが
NPOの窓口に殺到しています。
家族に代わり 亡くなったあとの
手続きなどを行うNPOが→
ここ数年 相次いで設立されています。
今ですか?今。
あんまり緊張しないでいいんで…。
死後の葬儀や納骨 遺品整理などをしてもらう生前契約を結び→
入会金を納めます。
生活に ある程度 余裕のある人たちでも→
独り暮らしに不安を抱えて やって来ます。
設立から8年。
年々 会員は増え続け
今年 4,000人近くになっています。
最近では 定年退職前の50代で
入会を決める人もいます。
58歳の時 NPOに入会した