この小さな石が 30トンの力まで耐えました。 驚きです。
必要な強度の2倍です。
これなら 塔が崩壊するなどありえません。
石は テストに合格しました。

中央の6つの塔の建設に使用することができます。
一方 塔に施す石細工を どのように
デザインし 形にするのか。
その答えを得るためには
3年以上の年月が必要でした。
塔の高さと寸法が


全くの謎に包まれていたからです。
残されたヒントは 僅かでした。
例えば ガウディが若いころに描いたスケッチ。
物理の法則に逆らうかのような
デザインです。
もう1つのヒントは 100年近く前に
つくられた 模型にありました。
模型は 「聖具室」と呼ばれる
低い塔のもので→
教会の裏手に建てるために
ガウディが設計しました。
聖具室には 6つの高い塔に関する
ヒントが隠されています。
建築家のエステーベ・アンベルトは
その秘密の解明に取り組んできました。
灰色のパーツは
オリジナルの模型のものです。
パーツが 部分的に残っていれば
全体を復元することが可能です。
アンベルトのチームは 模型を基に
高さ40メートルの聖具室を建てました。
聖具室は教会の西側に位置し 現在
建築チームの拠点として使われています。
ガウディが サグラダ・ファミリアの建築に
取り組んでいた時→
主な弟子が 4人いました。
ガウディは 弟子たちに 聖具室を 中央の塔の原型とするように伝えていたのです。
中央の塔の寸法に関するヒントは
小さな聖具室の構造に隠されていました。
そこで アンベルトは

コンピューターの3Dモデルで→
聖具室の構造を再現しました。
中央の塔は 聖具室の構造を拡大したものです。
つまり 拡大しただけで
構造の比率は同じだといえます。
私たちは ガウディのスケッチと 塔の
設計方法を示す 聖具室の模型を参考に→
中央の塔を設計しました。
研究によって 6つの塔の設計計画は固まりました。
しかし それを実際につくるには
多くの技術的な課題が→
待ち受けていました。
スペイン カタルーニャ地方。
ここでも 塔が つくられています。
バルセロナの建築現場はスペースが少ないため→
80キロほど離れた この場所で
塔を構成するパーツが→
つくられているのです。
ここは いわば サグラダ・ファミリアをつくる 部品工場のようなものです。
ジャウマ・トレギタートは
ベテランの建築技師。
建築家たちの設計計画を実現する
責任を負っています。
100年前と同じやり方をする
必要はありません。
新しい技術も取り入れています。
もし 石を一つ一つ つり上げていたら完成までに およそ50年かかり→
クレーンで つり上げる作業も
1万4,000回ほど行わなければなりません。
トレギタートのチームは 塔を「パネル」と

呼ばれるパーツに分けてつくります。
1枚のパネルは 16の石材で
構成されていて→
パネル8つで 1階層分になります。
1つの階層が出来上がったら トラックでバルセロナまで運びます。
建築現場では クレーンを使って
パネルをつり上げ→
鋼鉄のフレームに はめ込みます。
この方法なら 石を一つ一つ積み上げるより 16倍も早く→
塔を完成させることができます。
今後3年間で856のパネルをつくる予定です。
かなりの作業量ですよ。
トレギタートのチームは最初のパネルをつくっています。
緑のフレームに それぞれのパネルを
組み立てることで→
1階層分 8つのパネル全てが
完璧に組まれます。
1つのパネルに使われる石材は 16個。
石を正しく配置して モルタルをつければ永久に ずれません。
パネルは 最後に 4つのボルトで
塔の鋼鉄のフレームに固定されます。
ボルトの全ての穴が ミリ単位の
正確さでなければなりません。
そうでないと 上空での作業中
パネルが宙ぶらりんになってしまいます。
全てのパネルで 許される誤差は
僅か1ミリ。
もし ボルトの穴が合わなければ
とんでもなく大きな問題になります。
測量士が レーザーを使って